老舗居酒屋を継ぐことになった三代目が、二代目から突きつけられた“奇妙な条件”。
表題作「跡継ぎの条件」をはじめ、古いアーケードの飲み屋、どこにでもある居酒屋、地方都市の隠れた名店など――ごく普通の場所に潜む“かすかな異界”を描いた短編集。
酒を片手にふらりと迷い込んだ先で、ふっと背筋を撫でるような寒気。
明確な恐怖ではないのに、どこか落ち着かない。
そんな“日常のすぐ隣にある闇”を、恩田陸らしい筆致でじわりと立ち上げていく。
人間の心理の奥に潜む怖さの描き方が絶妙で、読んでいるこちらの感覚までも、そっと揺らされるようだった。
目次と各編の印象(一部)
一、跡継ぎの条件
静かな店の奥に、代々受け継がれてきた“見えない掟”が息づいているようだった。
二、夜のお告げ
夢と現実の境目が曖昧になり、何かが近づいてくる“予兆のような不安”が胸に残る。
三、昭和94年の横丁
時間がゆっくりとねじれ、過去と現在が重なり合うような奇妙な感覚に包まれる。
ほか
あとがき
特別編 ムーン・リヴァー
著者紹介
恩田陸さん
1992年『六番目の小夜子』でデビュー。
2005年『夜のピクニック』で吉川英治文学新人賞・本屋大賞。
2006年『ユージニア』で日本推理作家協会賞、2007年『中庭の出来事』で山本周五郎賞。
2017年『蜜蜂と遠雷』で直木賞・本屋大賞を受賞。
