「あんたね、価値があるかどうかなんてのは、人に聞くことじゃないよ。自分で決めることだろう」の「旅をする本」は、自分が売りに出した本に外国で何回も遭遇してしまう。
「ミツザワ書店」は、「だってあんた、開くだけでどこへでも連れてってくれるものなんか、本しかないだろう」、本は、世界への扉だった。
角田光代さんとぼくも同じ感覚を持つ。こんな感覚の人と出会ってうれしかった。
227P
そう、人は本を呼ぶのだ。
本屋の通路を歩くと、私だけに呼びかけるささやかな声をいくつか聞くことができる。私はそれに忠実に本を抜き取る。そして出会った作家が幾人もいる。
こんな本に出合えてよかった。出会ってうれしいと久しぶりに僕も思った。
236P 書評家 岡崎武志
角田さんは本書で、小説を読む喜びを読者に与えるとともに、本そのものが持つ魅力を、人混みで恋人がささやくように静かに伝えている。
読んだ後、きっとあなたはこれまで以上に本のことが好きになっている。生きていると同じくらい、本と出会ってよかったと思うはずなのだ。
<目次>
旅する本
だれか
手紙
彼と私の本棚
不幸の種
引き出しの奥
ミツザワ書店
さがしもの
初バレンタイン
あとがきエッセイ 交際略歴
解説 人間は本を読むために生まれてきた動物 岡崎武志
角田光代さん
1967(昭和42)年神奈川生れ。魚座。早稲田大学第一文学部卒業。’90(平成2)年「幸福な遊戯」で海燕新人文学賞を受賞しデビュー。’96年『まどろむ夜のUFO』で野間文芸新人賞、2003年『空中庭園』で婦人公論文芸賞、’05年『対岸の彼女』で直木賞、’06年「ロック母」で川端康成文学賞を受賞
