昭和は、こういう人物がいた時代だったのか!?
主人公の猛夫、(家族も含む)お前はどれだけ周りを巻き込んで混乱させるのか。
猛夫の母タミ、タミの姉のカツ、カツが営む旅館で下働きの駒子、妻の里美など女性たちに助けられ救われ続ける。
ある意味ラッキーだな。
タケオがトントン拍子に理容師として独立して、このままでは終わらないだろうと思っていたら、巻末には、砂上の楼閣的なラブホテルの経営へと動いていく。
これが桜木さんの直木賞受賞作品にあった「ホテルローヤル」に辿り着くとは思いもよらなかった。
タケ、届かぬ夢だけを追い続けた男の行く末は、波乱万丈だったな。
極端に幅が揺れる出演者たちの喜怒哀楽からは、「人生万事塞翁が馬」の言葉を強く思い出させられた。
※桜木紫乃さんは、薄汚くて薄幸な哀しい男女を描かせるとほかより頭一つ抜け出ている小説家だと思う。
<目次>
一章 鉄の町
二章 修業
三章 別れ
四章 長男
五章 夫婦
六章 闘い
七章 新天地
八章 落城
桜木紫乃さん
1965年北海道生まれ。2002年「雪虫」で第82回オール讀物新人賞受賞。13年『ラブレス』で第19回島清恋愛文学賞、『ホテルローヤル』で第149回直木三十五賞受賞。20年『家族じまい』で第15回中央公論文芸賞受賞
