【No1604】マリリン・トールド・ミー 山内マリコ 河出書房新社(2024/05) | 朝活読書愛好家 シモマッキ―の読書感想文的なブログ~Dialogue~

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読書は、例えば著者、主人公、偉人、歴史、自分等との、非日常の中での対話だ。

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コロナ禍で大学に進学し入学式がなく授業もオンラインのみ。

コンビニの店員以外、誰とも合わずに一日が過ぎていく、誰とも気持ちを分かち合えない。

あの時、主人公の瀬戸杏奈のような不安な日々を過ごす一人暮らしの人たちがたくさんいたのだ。

 

杏奈は、自宅から持ち込んだプリンセステレフォンに突如マリリンモンローからの電話を受けた。これをきっかけにしてマリリンモンローに想いを寄せていく。

 

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だけどあたしは知ってるよ。マリリンが努力家で、向上心にあふれた、見かけとは全然違う一面のある、素敵な女性だったってこと。

あたしは街でマリリンと遭遇するたび、友達とばったり再開したような気持ちになった。永遠に報われないわが友マリリン。孤独を分かち合えた、ただひとりの女性。あたしは手のひらを口元に押し当て、マスクの中でふうっと息を吹きかけて、彼女に投げキッスする。

マリリン大好き、お願い幸せになってと、叶えられない祈りを込めて。

 

マリリンモンローを題材にして、セックスシンボルやSexyなどのイメージで人を判断する危うさや性差別の罪深さを説いていた。

杏奈を通じてマリリンの不遇時代からスターになるまでの過程で売れる商品として扱われてきた不満を知りジェンダー問題に触れるよい機会となった。

 

 

 <目次>

2020年・春

プリンセス・テレフォン

ステイ・ホーム

オンライン授業の日々

ジェンダー社会論演習Ⅳ 松島ゼミ

ゼミランチ

あなたを研究したい ほか

 

 

1980年富山県生まれ。2008年に「女による女のためのR‐18文学賞」読者賞を受賞。12年、受賞作を含む連作短編集『ここは退屈迎えに来て』を刊行してデビュー

著書に「あのこは貴族」「一心同体だった」など。