明治時代後半道東の山で暮らす猟師を主人公とした物語。
雄熊との闘い。これは生と死が隣り合わせだった。見物で読み応えがあった。肉を貪り食うようにして最後まで猪突猛進気味で読み切ってしまった。
漁師の熊爪をはじめ、北海道の厳しい大自然の中で悪戦苦闘を繰り広げる生き物。特に獣に対して五感を研ぎ澄ました命のやり取り場面がすさまじかった。緊張のなかで細かな心理描写が臨場感を盛り上げた。
息もつかさず高揚した状態のまま読み進めていけるため、読みごたえがある優秀作品だった。
<目次>
一 冬山の主
二 人里へ
三 異物来たる
四 狩りと怒り
五 春の孤闘
六 根腐る
七 再び熾る
八 毛物
九 化物
十 片割れの女
十一 喰らいあい
十二 とも喰らい
1979年北海道別海町生まれ。2012年「東陬遺事」で第46回北海道新聞文学賞(創作・評論部門)受賞。14年『颶風の王』で三浦綾子文学賞、同作で15年度JRA賞馬事文化賞、19年『肉弾』で第21回大藪春彦賞、20年『土に贖う』で第39回新田次郎文学賞を受賞。他書に『絞め殺しの樹』(直木賞候補作)などがある。
