清少納言と紫式部、藤原道長などを紹介する書籍を書店や図書館でよく見かける、大河ドラマに関する賑やかなコーナーが設けてあるからだ。
平安時代は、裏を知るとオモロシロイ。
雅とはかけ離れた陰の世界には、兄弟でも熾烈な権力闘争があり神経戦が繰り広げられる。自分の娘をできるだけ早く入内させ天皇の御子を身ごもらせたく、次の春宮となり天皇となるような男子を生ませるような権謀術数が内裏にはびこる。
紫式部が経営するバー「ゆかり」でのくだけた雰囲気。バーテンダーは三蹟の一人の藤原行成。藤原道長は常連さんとして行き来している。
花山上皇や繁子、彰子らも訪れてきて、紫式部、清少納言、道長が活躍した時代の裏話や真実がアリアリと解りやすく面白く語られる。
想像だけではいけない。史実に基づいた内容で伝えないといけないし、特にこれから長く生きていく子どもたちには嘘を記憶させ誤りを語らせてはいけないと思う。間違った歴史が独り歩きするからだ。
藤原氏や天皇家の系図も出てくるので複雑な人間関係を整理するのにも役に立った。
藤原行成が説明するコーナーでは、「摂政と関白の違い、内覧とは何する人?貴族たちの記録(日記)」などの詳しい解説もあって歴史の勉強となった。
権記、紫式部日記、小右記、御堂関白記、枕草子などに記された後世に伝えられた範囲内で語られる。内容は史実に沿って文献を引用し真面目に語られているので、これまでに読んだ関連本の復習にもなる良本だと思う。
<目次>
OPEN
主な登場人物
第1夜 オレにも可愛い時代があった
第2夜 家族って大変!
第3夜 結婚にまつわるモヤモヤ
第4夜 人生は陰謀だらけ
第5夜 シングルマザーの再出発
第6夜 言い訳したい夜もある
第7夜 この世をば
引用・参考文献一覧
1966年愛知県生まれ。名古屋大学大学院文学研究科博士課程修了。文学博士。主な研究対象は「蜻蛉日記」「源氏物語」「とはずがたり」など、平安・鎌倉時代の仮名文学。小説家としては、2007年に「平家蟹異聞」で第87回オール讀物新人賞を受賞。09年、受賞作を含む『源平六花撰』で単行本デビュー。18年、『葵の残葉』で第37回新田次郎文学賞、第8回本屋が選ぶ時代小説大賞を受賞。NHKカルチャー講師として「源氏物語」などを数年にわたり出講。