【No1537】「さびしさ」の正体 和田秀樹 小学館(2023/10) | 朝活読書愛好家 シモマッキ―の読書感想文的なブログ~Dialogue~

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読書は、例えば著者、主人公、偉人、歴史、自分等との、非日常の中での対話だ。

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自分を偽り周囲に合わせて生きる人生では、どんなに人に囲まれていてもさびしさは消えません。

自分を信じて合わないものは合わないと覚悟を決めて、孤独でも楽しい人生を送るための考え方を教えてくれます。

 

孤独かどうかさみしいかどうかは、まさに本人の自覚次第だと思います。

◎17P 孤独な人はさびしい人?

問題は孤独であることではなく、本人が孤独感や疎外感を覚えているかどうかです。

疎外感は、自分が回りから疎まれているとか、排除されている、仲間はずれにされているなどと感じるときに生じる感情です。一人でいるときでも、自分は排除されていると感じなければ、孤独感や疎外感は生じません。

 

 

将来を見据えて、子どもたちに対してどうしていくべきなのか。ずっと彼らは学校の中にいるのではありません。

学校の中にいるときだけよければよいのではありません。

◎58P 過保護に育てられた子どもは幸せか

学校で子どもが傷つかないように配慮されたとしても、社会に出ればいまだにパワハラやセクハラ、モワハラなどが横行している組織もあります。差別はよくないと言いながら、性別や国籍、出身地、外見、学歴などいろいろな理由で差別が行われることもあります。

子ども時代は人間性がもっとも重視されて育つのに、社会に出てからもっとも評価されるのは「いかにお金を稼げるか」や「どれだけ効率よく仕事ができるか」ということです。社会に出た途端、日本だけでなく世界との競争を強いられ、そこで業績が悪ければ上司に叱られ、場合によっては減給や降格もあり得るのです。

つまり、今の教育というのは、大事なペット状態で育てた子どもをいきなり野生のサバンナに放り込むようなことをしているわけです。

子ども時代に、絶対に傷つけないような配慮をされていた子どもたちが、いざ社会に出てうまくやっていけるでしょうか。私は疑問だと思います。

そして、過保護に育てられた子どもは果たして幸せなのでしょうか。

 

 

同調圧力が強い日本で、本音を言えるような自分の意見をちゃんと言える人を尊敬しています。全員に好かれる必要もないし、全員に好かれることもありません。少数の人にでもいいから、自分のことをわかってもらえたらよいのではないかな。そう考えると生きやすくなります。

◎144P 「自分らしさ」の核

数あるコミュニケーション能力のうち、若いころに学ぶべきなのは、周りの空気を読んで自分の感覚や欲求を押し殺すことより、自分の考えや気持ちをうまく人に伝える力です。そのための練習をする時期です。

あなたの意見や考えと合わない人からは批判されるかもしれませんが、それをいいと思ってくれる人は、あなたの大きな味方になってくれるはずです。その人こそ、あなたの一生の宝になるのです。

 

 <目次>

はじめに 第1章 「さびしさ」って何だろう(孤独な人はさびしい人?友だちにも親にも本音を言えない ほか)

第2章 本音を言えない若者たち(嫌われる前から遠慮する、成績よりも友だちの数を競うように ほか)

第3章 味方は1人でもいい(つるんでいる友だちは多いけれど…、偽りの自己しか持てない人々 ほか)

第4章 ありのままの自分で生きていく(今の自分で何ができるのか、できることがあると自信につながっていく ほか)

第5章 人も社会も変わっていく(性格は自然に変わっていく、なぜコミュニケーションスキルを学ぶのか ほか)

さいごに

 

1960年、大阪府生まれ。東京大学医学部卒業。精神科医。東京大学医学部附属精神神経科助手、米国カール・メニンガー精神医学校国際フェローを経て、立命館大学生命科学部特任教授。高齢者専門の精神科医として、30年以上にわたって高齢者医療の現場に携わっている。