衣食住などの平安時代の宮廷貴族の日常を知るのはとても面白い。
大河ドラマ「光る君へ」の紫式部や藤原道長などの貴族たちの関係を知って、これから番組を継続して見て楽しむために大いに参考となる書だった。
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平安朝の半ばころ、道綱母や清少納言だけでなく、新しい長編小説、世紀のベストセラーを完成させた紫式部、自分の愛を高らかに歌いあげた和泉式部、歴史の中の真実を物語に収斂した赤染衛門など、数えきれないほどの女たちが、文学の中で自己表現してきた。まさに書く女たちの世紀であった。
男たちが、借り物の外国語である漢籍を下敷きに日記を書き、公的文書や漢詩をつくっていたとき、女たちは、心の内面を描写できる仮名、いわば自国語で、自己を語ったのである。この仮名文学が、我が国の平易な日本文を定着させていったことはいうまでもない。女たちは、伝統文化の基礎をしっかりと固めたのである。
<目次>
序章 『源氏物語』の時代
第1章 結婚する女たち
第2章 住まう女たち
第3章 産み育てる女たち
第4章 働く女たち
第5章 切り盛りする女たち
第6章 文化を創る女たち
第7章 旅する女たち
第8章 老いて死にゆく女たち
終章 家の成立と女性
1947年生まれ。歴史学者、埼玉学園大学名誉教授。専門は平安時代史、女性史。東京都立大学大学院人文科学研究科博士課程単位取得退学。文学博士