【No1462】マイナ保険証の罠 荻原博子 文藝春秋(2023/08) | 朝活読書愛好家 シモマッキ―の読書感想文的なブログ~Dialogue~

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荻原さんを見ていると、本を読んでいると、あくまで国民の方の側に立って国民のためになるような発言や行動をしている方だと思う。

トラブル続きの「マイナ保険証」。7000件以上の誤登録があった。医療現場でのシステム障害もあった。2024年の秋には、現行の健康保険証は使えなくなる。

健康保険証を廃止に反対なのか。マイナンバーカード作成に賛成なのか。

2万円のポイント付与が目立ったが、それぞれのメリットやデメリットについて、もっと国民に伝えてくれないといけないのではないか。

荻原さんによると、イギリスなどでは、リスクを回避するためにマイナンバーカードのようなカード事業から撤退があった国があったことから、カード表面の情報や暗証番号4桁のマイナンバーカードによる情報流出のリスクは決して否定できないこと、5年毎に更新できない介護者などの情報弱者切り捨てなど、利用者の不安や動揺を払拭するためにはどうすればよいのかをもっと考えて議論して開示してほしいと思う。

 

マイナンバーは、国による「強制」だが、マイナンバーカードは本人の同意をもとにした「任意」だった。

221P 7年前にスタートしたマイナンバーカードも、どうすればみんなの生活が便利になるのかという視点よりも「普及ありき」で突き進み、医療関係者や介護関係者が悲鳴を上げているのに関わらず、立ち止まって検証する臨機応変さがありません。これでは日本の医療現場は「第二の敗戦」を迎えることになってしまいます。日本が60年かけて作り上げた国民皆保険を崩壊させることはあってはならないことです。

 

世の中に混乱を生じさせているマイナンバーカードとこのカードを普及させるための手段となったマイナ保険証の基本を知りそこに隠されている罠を紐解くことでなぜ危険なのかを伝えるために荻原さんが書かれた本です。

ここに書いてあることがリアルならば恐ろしい。由々しき事態になろうか。国に個人の情報が管理され、民間事業者などに情報が洩れていくとか筒抜けになっていくことが否定できないだろう。

◎42P マイナンバーの目的はズバリ「国民の財産の把握」!

マイナンバー制度は「社会保障・税番号制度」です。一番の目的は、国民の財産の把握です。名寄せによって、国は、誰が、どこで、どれくらい稼いでいるのかといった情報から、課税したり社会保険料を徴収したりできます。脱税や社会保険料逃れはできなくなります。

45P あらためてマイナンバーカードって何?

利用主体は公的機関に限られません。銀行やカード会社、医療機関なども広く利用できる仕組みです。悪意ある人がマイナンバーカードを入手し、なんらかの手段で暗証番号を割りだしたら個人の財産や健康などの重要な個人情報が危険にさらされることになります。

銀行口座とマイナンバーカードの紐づけは始まっていて、政府はいずれ銀行のキャッシュカードやクレジットカード機能もマイナンバーカードに紐づけることを計画しています。

 

◎150P 薬をもらうために大量のマイナ保険証と暗証番号を持ち歩く?

151P マイナンバーカードの管理ができない施設が9割以上

特養・老健施設では、健康保険証が廃止されたら、暗証番号も含めてマイナンバーカードの管理ができない。健康保険証なら預かれるけれど、マイナ保険証と暗所番号を預かるのは難しいということです。マイナンバーカードの更新は10年ごと、マイナ保険証(電子証明書)の更新は5年です。

 

 <目次>

政府は嘘をついている

第1章 「マイナンバーカード」の正体

第2章 マイナンバーカードは本当に安全か?

第3章 マイナ保険証のどこが「便利」なのかわからない!

第4章 頭を抱える医療の現場

第5章 介護現場は悲鳴をあげている

第6章 健康保険証の廃止で、医療崩壊が始まる

座談会 「健康保険証」廃止の撤回を!―全国保険医団体連合会と語る

あとがき

 

 

1954年長野県生まれ。経済ジャーナリスト。大学卒業後に経済事務所勤務を経て、1982年にフリーのジャーナリストとして独立。難しい経済の仕組みをわかりやすく解説することに定評があり、家計経済のパイオニアとして活躍する

著書に「年金だけでも暮らせます」「最強の相続」など。