武器を持って政府と戦うこと、それに反して自分の身を守ること、人種による迫害、いじめ、差別。戦争が人を醜く悲しくさせてゆくものだった。人間は悪にも善にもなりきれない。メッセージ性を強く感じた。
戦争を起こした政府とそれを容認する国民、そして関係のないふりをする無作為の人たち。こういった環境では、敗戦でしか戦争が終わらない。
ナチス体制下のドイツで「エーデルヴァイス海賊団」を名乗り、反抗した少年少女を描いた物語だった。故郷に強制収容所が開設されたと知り妨害しようと、厳しい批判の言葉を選び実際に行動に移した海賊団だった。
自分ならば安易な方向に身を任せるのではないのか。彼らのように作為を持って行動できるのかどうか。
海賊団のメンバーのレオンハルトからヴェルナーへの手紙・遺書は涙腺が緩んだ。
歌おうとする海賊よりも歌わなかった人が多数であったが、ラストでの祖母アマーリエが孫のクリスティアンへの子守唄の事実は救いとなった。
1985年、埼玉県生まれ。明治学院大学国際学部国際学科卒。2021年、『同志少女よ、敵を撃て』で第11回アガサ・クリスティー賞を受賞しデビュー。同作で2022年本屋大賞、第9回高校生直木賞を受賞した。
