【No1435】木挽町のあだ討ち 永井紗耶子 新潮社(2023/01) | 朝活読書愛好家 シモマッキ―の読書感想文的なブログ~Dialogue~

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芝居小屋のすぐそば、雪夜に赤い振袖が舞うなか、華麗な若衆・菊之助が無頼の博徒を仕留めて首級を上げた。返り血を浴び白装束を染めるところは緊迫感がひしひしと伝わってきた。

 

菊之助の縁者だというひとりの侍がその顚末を知りたいと芝居小屋を訪れる。

この木挽町での仇討ちを目撃した五人。一八、与三郎、二代目芳澤ほたる、お与根(久蔵)、野々山正二。彼らが一人称で語り始めるそのリズム感は心地よかった。

 

最初は単なる目撃談であったが、理由があって矛盾や疑念が生じてきた。

あだ討ちの意味を解き明かす結末は、重なり合うほどほんとうに上質だった。

 

木挽町のあだ討ちは、見事な徒討ちであった。

 

 <目次>

第一幕 芝居茶屋の場

第二幕 稽古場の場

第三幕 衣装部屋の場

第四幕 長屋の場

第五幕 桝席の場

終幕 国元屋敷の場

 

1977年、神奈川県出身。慶應義塾大学文学部卒。新聞記者を経て、フリーランスライターとなり、新聞、雑誌などで幅広く活躍。2010年、「絡繰り心中」で小学館文庫小説賞を受賞し、デビュー。2020年に刊行した『商う狼 江戸商人 杉本茂十郎』は、細谷正充賞、本屋が選ぶ時代小説大賞、新田次郎文学賞を受賞した。2022年、『女人入眼』が第一六七回直木賞の候補作になる。