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ほとんどの人間は聞きたいことしか関心を持たない。
その上、自分の話したいことにしか関心を持たない。
イッセイミヤケのピンクのワンピースと黒のジャケットを羽織って、
彼女は、颯爽と会場に入ってきた。
いつもの歴史番組のように悩ましい顰め面ではなく、乙女のようにリラックスした柔らかい表情だった。
中野信子さんのトークイベントの参加者は、ほぼ9割が女性だった。
女性に人気があるのがわかった。
約50人も入らないくらいの狭い会場でちょっと手を伸ばしたら、彼女に届きそうなくらいに目の前の席に座れたのは幸甚の至りだった。
この「脳の闇」は、内面の声を受け取ってもらうために読んでほしいとおっしゃっておられた。特に女性に対して、内容に共感してくれるはずだと。
知的に優れていたゆえに家族や社会から受けた理不尽な体験を吐露しながら、人間の存在への憐憫の情と諦念を感じさせられた。
底辺から抜け出すためのカードは、唯一自分の「知能」しかなかったことから、超一流大学に入ったのだと彼女はそう告白された。
264P 読みづらいことを、本書ではできるだけまわりくどく、わかりやすいようになどと斟酌することもなく書いた。
本書を理解することが困難な人がもしいるとしたら、あなたの知的水準がいまいちなのは私のせいではないので、どうかそのことだけはご理解いただきたい。
<目次>
はじめに
第1章 承認欲求と不安
第2章 脳は、自由を嫌う
第3章 正義中毒
第4章 健康という病
第5章 ポジティブとネガティブのあいだ
第6章 やっかいな「私」
第7章 女であるということ
第8章 言語と時間について
あとがき
1975(昭和50)年東京都生まれ。脳科学者、医学博士。東京大学工学部応用化学科卒。同大学院医学系研究科脳神経医学専攻博士課程修了。現在、東日本国際大学特任教授、京都芸術大学客員教授。
