自然界や解剖の世界に触れて学んだこと、ものの見方や考え方、脳と心の関係、意識の捉え方などから、養老孟司さんの「わかる」ということは、「共鳴」することだったんだ。
「わかる」とはどういうことなのか、それが「わからない」。
じゃあ説明してみましょうか、ということでこの本が始まりました。
それなら私が「わかるとはどういうことか」わかっているのかと言えば、
「わかっていない」。「わかって」いなくても、説明ならできます。
訊かれた以上は、何か答えるというのが、教師の抜きがたい癖なのです。
60P
学ぶことは、「わかる」基礎です。考えることが自分を育てる。
200P 「わかる」根本にあるもの
自然の中に身を置いていると、その自然のルールに、我々の身体の中にもある自然のルールが共鳴する。すると、いくら頭で考えてもわからないことが、わかってくるのです。
自然がわかる。生物がわかる。その「わかる」の根本は、共鳴だと私は思います。
人間同士もそうでしょう。なんだか共鳴する。「どこが好きなんですか」と聞かれても、よくわからない。理屈で人と仲良くなることはできません。
<目次>
まえがき
第1章 ものがわかるということ(代数がわからない、他者の心を理解する ほか)
第2章 「自分がわかる」のウソ(脳から考える「わかる」ということ、頭の中のさまざまな世界 ほか)
第3章 世間や他人とどうつき合うか(理解しなくても衝突しない方法、すべてが意味に直結する情報化社会 ほか)
第4章 常識やデータを疑ってみる(脳化社会は違うことを嫌う、数字が事実に置き換えられる情報化社会 ほか)
第5章 自然の中で育つ、自然と共鳴する(都市化が進み、頭中心の社会になった、自然とつき合う知恵とは ほか)
あとがき
1937年、神奈川県鎌倉市生まれ。東京大学名誉教授。医学博士。解剖学者。1962年、東京大学医学部卒業後、解剖学教室に入る。1995年、東京大学医学部教授退官後は、北里大学教授、大正大学客員教授を歴任。京都国際マンガミュージアム名誉館長。1989年、『からだの見方』(筑摩書房)でサントリー学芸賞受賞。2003年、毎日出版文化特別賞を受賞した『バカの壁』(新潮新書)は450万部を超えるベストセラーに。大の虫好きとして知られ、現在も昆虫採集・標本作成を続けている。
