物事は知らないよりも知っていた方がよいと思う。選択の幅が広がるからだ。
経験してもよいが、人生は、一人で経験できるほどそんなに長くはない。
たとえ経験しなくても先人がしてきたこと(特に失敗や挫折など)を人から聞くのではなく本のなかから自分なりに噛み砕いて疑似体験し学べばよい。
過去の英雄には、書物のなかでいつでも会えるし、こうでないか、こう思うなどと、彼らとこころのなかで語り合うことが出来る。
例えば、あの坂本龍馬といっしょに勝海舟のところに刺し違え覚悟で乗り込んでいったり、彼のそばで薩長同盟時に参加していたかというような錯覚に陥ったこともある。
本は、ただ独りだけで読めるし、課題本などでみんなでいっしょに読めるし、独りよがりではない他者の感想を聴くこともでき視野が広がる。
1冊の本を通じて著者さんとも知り合うことができるし、サイン会などで一言ことばを交わすことができる、講演会で本の内容を復習することができる……等々。
本についてぼくが考えるところでは、総合的に判断しても生きていく上で、人生でとっても素晴らしいツールだと思う。
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本は一人でも読める。だけど、一冊の本がきっかけで、誰かと仲良くなったり、喧嘩をすることさえある。会話の中で、思いもよらぬ発見をすることもある。その意味で、誰かと読む本は楽しい。
この先の世界がどうなっていくかわからない。どんな時代が訪れても、知識が無駄になることはない。知識は人を自由にしてくれる。この本や、この本で取り上げた名著が、誰かの人生に、少しでも自由にしてくれますように。
多数ではないけれども、こんな本を望んでいる人がいるものと思います。
名著は長くて時間がかかる、読みづらい、理解しにくいものというイメージがあります。
全体の流れを摑んでから個々を読んでいく方法はありです。
森を見てから木を見ると内容が入ってきやすいものと思います。
古市さんは、いまの世の中で若者が何を望んでいるのか、どんな本を書けば読んでくれるかという五感のような感覚が人一倍鋭い人なのではないかと思います。
一章が10分で読み切れるサイズになっている、名著の勘所ががわかる。
厳選した12の名著や古典のその道のプロによる読み方や読みどころを聞いてきた「名著の歩き方」のような本だ。
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僕がお勧めするのは、何かの目的を持って「名著」や「古典」を読むことだ。読むスピードが速くなることに加えて、達成感を得やすい、という効能もある。
本の読み時というのは、感覚的にも経験しているので意味がわかります。
そのとき読めなくてもいい。
あとで読んでみたくなったとき、課題本など読まねばならなくなったときなどにそれを読めばよいと思います。
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高遠弘美さんが言っていたように、本を読むのは義務でも何でもない。好きな時に、好きな本を読み、好きなページを開けばいい。もしもその本が今、面白くないと感じたならば、それは「読み時」ではないということなのだろう。
人生百年時代である。長い人生の中で、ゆっくりと本を読んでいけばいい。その時、この本に記された何らかの言葉が役に立つのかも知れない。
<目次>
はじめに
ダンテ『神曲』 原基晶
紫式部『源氏物語』 大塚ひかり
プルースト『失われた時を求めて』 高遠弘美
アインシュタイン「相対性理論」 竹内薫
ルソー『社会契約論』 東浩紀
ニーチェ『ツァラトゥストラ』 竹田青嗣
ヒトラー『わが闘争』 佐藤卓己
カミュ『ペスト』 佐々木匠
『古事記』 三浦佑之
マーガレット・ミッチェル『風と共に去りぬ』 鴻巣友季子
アダム・スミス『国富論』 野原慎司
マルクス『資本論』 的場昭弘
おわりに
1985年、東京都生まれ。社会学者。慶應義塾大学SFC研究所上席所員。日本学術振興会「育志賞」受賞。若者の生態を的確に描出し、クールに擁護した著書『絶望の国の幸福な若者たち』、世界の戦争博物館を巡り戦争と記憶の関係について考察した『誰も戦争を教えてくれなかった』(以上、講談社)で注目され、メディアで活躍
