「すぐに役立つものは、すぐに役に立たなくなる」
いわゆるハウツー本は、まさにそう思います。
すぐには役立たないとしても、知っていると自分の発想を豊かにしてくれます。
じっくりと時間をかけて学んで身につけた知識は、じわっと体に効いてきて後々自分のために役に立つものです。
人生や仕事上で起こる出来事のなかで何か的確な判断できるために、まず多くの本を読んでたくさんの情報や知識を得ることが必要と思い込んでいました。
しかし、厳密にはそうではありません。
教養とは何かヒントが得られます。
文系であれば理系を学ぶ、理系ならば文系などの専門外を学ぶのです。
知識や論理の左脳でなく、イメージの右脳を使うようにする。逆もまた同じ。
一元的ではなく、宗教などを取り入れて二元的複線的な考え方を取り入れるのです。
現代に求められている教養について、池上彰と東工大リベラルアーツセンターの教授達との対談をまとめた本です。
教養=リベラルアーツのリベラルとは、与えられた問題の解を出すのではなく、自ら自由に問題を設定して、新しい解を探していくことにありました。
300P
なぜ大学で教養教育が必要なのか、改めてお話しします。
東工大のような偏差値の高い大学で、少ない専門科目だけを勉強するようになるとどうなるか。学生がみんな目先の100点だけを追い求めるようになるんです。
でも、テストで計れるのは過去の知識の量にすぎない。未来への創造につなげる創意や工夫は図ることができないんです。
一見ムダに見える、一見自分と関係ない「教養」こそが、今はない新しい何かを生み出す糧になるかもしれない。
教養課程をないがしろにする教育には、こうした視点が欠けています。
4P
慶應義塾大学の中興の祖といわれ、今上天皇にご進講した小泉信三は、かつて学問についてこんな言葉を残しています。「すぐに役立つものは、すぐに役に立たなくなる」
34P 未来に必要なのは、「いまはまだないもの」を生むことです。逆にいえば、みんなが使っている「いま役に立つ道具」では、未来を生むことができません。一見「役に立たない」「関係ない」教養こそが、未来を生む創造的な力になるのです。
76P
教養とは、課題を探し出し、考えていくプロセス。そのプロセスを血肉化していることが、現代の教養なのです。
215P
金儲けもするし、一方で、徳も高める。複線の社会を生きているから。
217P
鬱の社員を救うのは会社の人ではありません。会社で出世しなくたって、うまくいかなくたって、生きる価値は誰にでもあると教えてくれる存在です。間違いなく会社の外の人です。人事担当者にカウンセラーや精神科医や宗教者の役目を負わせては鬱が伝播するだけです。
229P
いろいろな角度からものを見て考える。複線思考で生きる。これができるようになるには「教養」が必要です。その意味で宗教を学ぶ、というのもまさに教養の一つだと思うのですが。
238P
だから理系も文系もお互いの言葉を学ぶ必要があるわけです。論理の言葉とイメージの言葉、両方使えること。それこそが「教養がある」ということです。
277P
そっけないが明晰で論理的で、わかりやすい文章の書き方
311P 教養があれば、言葉に説得力が増すのです。
<目次>
はじめに 一生使える「知の道具」を手に入れよう
1限目 教養について知っておくべき12の意味。
2限目 ニッポンが弱くなったのは、「教養」が足りないからです。
3限目 哲学の力で公共事業の問題も解決できるのです。
4限目 ニッポンの会社の神さま仏さまとオウム事件と靖國問題と
5限目 人間は、「ひと」であるまえに生きものです。
あとがきにかえて
ジャーナリスト・東京工業大学リベラルアーツセンター教授。1950年、長野県松本市生まれ。慶應義塾大学経済学部卒業後、NHK入局。地方記者から科学・文化部記者を経て、報道局記者主幹に。94年4月より11年間「週刊こどもニュース」の「お父さん」役として、子供から大人までが理解できるよう、さまざまなニュースをわかりやすく解説、人気を博す。2005年3月、NHKを退局、以後フリージャーナリストとして、テレビ、新聞、雑誌、書籍など幅広いメディアで活躍中。2012年2月から東京工業大学リベラルアーツセンター教授に就任、理系の大学生に現代史などの「教養」を教える。
【No1128】池上彰の教養のススメ 仕事で、人生で、生き抜くための最強の武器になる 東京工業大学リベラルアーツセンター篇 池上 彰 日経BP社(2016/08)
