【No1092】斜陽 太宰治 新潮社(2003/05) | 朝活読書愛好家 シモマッキ―の読書感想文的なブログ~Dialogue~

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一冊とのご縁が、人生を照らす光になる。
そんな奇跡を信じて、ページをめくり続けています。

ダーウィンの「進化論」から解釈されたという名言がある。

「最も強いものが生き残るのではなく、最も賢いものが生き延びるのではない。 唯一生き残ることが出来るのは変化できる者である」。

消えていくものに、ぼくはあまり美学を感じない。

相手と過去は変えることができないが、自分と未来はきっと変えることができるのだ。

 

元華族の人たちは、戦後の過渡期において、搾取側の資産家のままではなく、労働者や経営者に代わるなど、生き残るための努力を重ねて何かしら抵抗すべく変化をしてほしかったのだった。

 

斜陽とは、西に傾いた太陽。またその光。夕日。夕陽のことを言う。

没落する貴族を例えて、冒頭が朝で始まり、終盤の夕方に向けてグラデーションのように移り変わっていく様子への描写が見事だった。

 

かず子の父が亡くなったとき、かず子が蛇の卵を燃やした時、かず子の母の死の間際などに、「蛇」がよく文中に出てきた。

この蛇が暗示するものの参考として。

 

聖書のマタイ福音書10章16節には、

「蛇のように賢く、鳩のように素直になりなさい」がある。

賢くの英語「shrewd」には、以下の意味がある。

1 敏腕の, 洞察力のある、 鋭い、明敏な、賢明な、抜け目のない、賢そうな(顔をした) be shrewd about money金に抜け目がない、make a shrewd remark

鋭い所見を述べる 、My brother is shrewd in business.兄はやり手の事業家だ.

2 ((古))〈苦痛・寒さなどが〉鋭い, 刺すような.

3 ((古))意地の悪い, 悪意のある.

※出典 小学館 /プログレッシブ英和中辞典(第4版)

 

元華族のかず子、母、直治の暮らしには、生活能力がある大人が一人もいなかった。

かず子の前半の世間知らずのお嬢様的から反転して、後半の上原に迫る行動力、奔放さ、無鉄砲さは面白かった。

 

全般的に、かず子の一人称で描かれていた。

次には、直治目線で読んでみると新しい発見があるかもしれない。

 

「生きていること。生きていること。ああ、それは何というやりきれない息もたえだえの大事業であろうか」

かず子に語らせたこの言葉が印象的だった。

斜陽が出版された次の年に亡くなった太宰治の気持ちを代弁したかのように感じる。

 

「鳩のごとく 蛇のごとく 斜陽」の映画公開が予定されている。

TVドラマでも不思議な魅力を醸し出している俳優の安藤政信さん(上原役)の演技を鑑賞できることを楽しみにしたい。