殺害して遺体をバラバラにする殺人鬼は、通称『真夜中の解体魔』と呼ばれている。
婚約者を殺された救急医の秋穂は、深い悲しみを抱えながらもなんとか職場に復帰をしたところだった。
そこに運ばれてきたのは、交通事故で重傷を負った美少年・涼介。
無事命を救うことができたが、手術室を出た秋穂に刑事が告げる。
「彼は、『真夜中の解体魔』だ」と。
涼介に復讐しようとする秋穂に、涼介は涙を流しながら訴える。
「僕は罠にかけられただけなんです」と。
無実に思える証拠を見せられた秋穂は、ためらいながらも涼介と真犯人を探すことになるが涼介は真犯人に操られた哀れな人形なのか、それとも周囲を操る冷酷な人形遣いなのか。
このように人形(マリオネット)を操っているのは一体誰なのか!
容疑者の石田涼介がほんとうに『真夜中の解体魔』なのか!
数時間で一気読みで衝撃のクライマックスでした。
対応した人によって違う色々な面を人は持っています。
そのいろいろな姿はそれぞれでじつは正しいのではないかと思います。
自分もだれもが知っている面だけではありません。
他人だけは知っていて自分がきづかない面、
自分しか知らない面、
誰も彼も知らない裏面もあります。
人から聞いた情報を踏まえて、自分の目で見てきたことをよりどころにして、総合的に自分で相手を判断して生きていきたいものです。
108P
由衣の話から浮かび上がってくる石田涼介という人物は、独占欲が強く、反社会的な人格を持つナルシストで、自らのもとから去った雪絵と、そのきっかけを作った千代に強い恨みを持っていた。その一方で涼介自身は、心から愛していたゆえに雪絵との別れを決断したが、その後も彼女のことを想い続けていたと言っている。どちらがほんとうなのだろうか?
……いや、どちらも正しいのかもしれない。秋帆は歩きながら、こめかみに手を当てる。
人間の想いというものは、一つの解が定まっているような単純なものではない。量子力学に示されミクロの世界で生じている現象のように、様々な感情が重なり合って存在している。
シュレーディンガーの猫という言葉が頭に浮かぶ。
