【No1036】パパ活女子 中村淳彦 幻冬舎(2021/11) | 朝活読書愛好家 シモマッキ―の読書感想文的なブログ~Dialogue~

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パパ活の実態を暴き出した衝撃の一冊だった。

著者自身が実際にパパ活をしている女子や比較的社会的地位の高い男性に直接会って話を聞いた体当たり的取材方式のお話だ。

 

まず「パパ活」という言葉の意味は?

7P

2016年に生まれた「パパ活」という言葉はまだ新しく、いまは援助交際、児童買春、売春、愛人、港区女子的な行動と言ったものがすべてパパ活と呼ばれている。パパ活は違法という人もいて、言葉の意味や解釈は統一されていない。

実はパパ活という言葉は、交際クラブの大手事業者がマーケティングのために生み出した造語で、事業者の思惑以上に浸透した背景がある。パパ活とは「パパを探す活動」の略、または「パトロンを探す活動」という説もあり、あらゆる面で割を喰っている若い女性たちの能動的な行動から生まれた現象だ。

 

97P

恋愛はお互いがパートナーはひとりであることを約束する。

パパ活の疑似恋愛はお金を払ってその場だけを楽しむので、お互いのことは拘束しない。お金を払う、その場だけという条件が重なることで、年齢を超えたその場だけの恋愛が成立する。

 

その反面、肉体関係はなく、おじさんとお茶をするだけでお金になると考えている女子がいるという。

125P 茶飯女性の定義

1 お茶やお食事のデートを希望して、肉体関係を含む交際は希望しない

2 男性のニーズに興味がなく、無視する

3 自分の時間を売っている意識がある

 

135P 何も知らない一般女子は、おじさんとお茶するだけでお金になるという女子同士の口コミを真に受けて、天然の茶飯女性になりがちだ。多くは自分の若さを過大評価しているので、おじさんたちは同席するだけで本当に喜んでいると思っている。

顔合わせ、食事で対価を払う茶飯は、商取引の基本原則である等価交換が成り立っていない。この現況を疑問視、問題視する男性はいま続々と増えている印象なので、また状況も変わっていくかもしれない。

 

ここはまとめのような箇所だった。

214P

パパ活はすでにピークである。

パパ活は一過性の流行ではなく、今後も現状のピークが横這いでずっと続いていくだろう。パパ活の発生源は学生の貧困と女性の低賃金、それと若い女性と恋愛がしたい中年男性の欲望である。当然、中年男性の欲望はいつまでも消えることはなく、学生の貧困の原因となる日本の高等教育支援が欧州並みに拡大することも考えられない。これからも経済的に厳しい女性たちの自助として機能していくはずだ。

218P

女性に値付けして、本来は買えないはずの感情を買おうとするパパ活から見えてくるのは、病んでいる日本である。どうしてこうなるのかとため息がでるほど病んでいる。

(中略)

病んでいる日本では、同じことが繰り返される。荒れた社会が欲望の反復と排斥に拍車をかけていた。

 

デフレと富の極端な偏在問題が続いている。

また今回のような若者の貧困と低賃金問題。

それにたかるハイエナやハエのような男性、比較的社会的地位の高い中年男性の心を弄ぶ女子。

パパ活は、病んでいるいまのまさに日本の象徴だと思った。

 

娘のパパ活収入に頼っている家族全員、父親が亡くなり学費が払えなくなったから、ネットワークビジネスに失敗したから、社会的地位のある男性から学びたい意識高い系、ソープ嬢とAV女優を掛け持ちする音大生などのパパ活女子のほか、35歳を超えた中年パパ活女子もいた。

ここにはほんとうに幸せな人は見つからなかった。

 

こころはどこにあるのか?

中年男性とパパ活女子が見えている場所やお互いに期待しているところが違う気がした。

欲望、肉体、若さ、お食事、お金、経済、時間、楽しさ、幸せ、面白さなど。

女子のハートには感情が籠っていないし気持ちがそこにはない。

早く終わって帰りたいだけ。

男性には、家族に対するなにかしらの後ろめたさがあるし、仕事のように誇れるようなときを過ごせていない。

いつまでもお互いに気持ちがすれ違いのまま。

等価交換できない関係は長くは続かない。

 

これが本当に疑似的な恋愛と言えるのかどうか疑問だった。

たとえば、風俗関係のお店から出てきたあとのように、なにか後悔気味のようでむなしい気持ちだけがそこに残るような気がしてならなかった。

 

 <目次>

はじめに 衰退国家から生まれた「パパ活」現象

第1章 女子たちが没頭する「パパ活」とはなにか?(日常の延長としてのパパ活、(1)パパ活と援助交際の違い。パパ活は売春なのか? ほか)

第2章 パパ活の模範として機能する「交際クラブ」(「パパ活」という言葉をつくった交際クラブの目的、パパ活市場は女性同士の競争が激しい ほか)

第3章 パパ活男性をウンザリさせる「茶飯女子」(セックスを一切拒否するパパ活女子、方言で男性をかわす20歳のパパ活女子 ほか)

第4章 パパ活サイトの女性会員は31パーセントが「女子学生」(戦後の戦争未亡人のような女子大生、パパ活という「自助」 ほか)

第5章 日本社会からこぼれ落ちる「中年パパ活女子」(若い女性好きの男性の価値観がはびこるパパ活市場、中年パパ活女子たちの証言 ほか)

おわりに 

 

1972年生まれ。ノンフィクションライター。AV女優や風俗、介護などの現場でフィールドワークを行い、執筆を続ける。貧困化する日本の現実を可視化するために、さまざまな過酷な現場の話にひたすら耳を傾け続けている。『東京貧困女子。』(東洋経済新報社)は本屋大賞ノンフィクション本大賞にノミネートされた。著書多数。「名前のない女たち」シリーズは劇場映画化もされている。