【No.1019】北条氏の時代 本郷和人 文藝春秋(2021/11) | 朝活読書愛好家 シモマッキ―の読書感想文的なブログ~Dialogue~

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鎌倉期の支配者たる北条氏。今年のNHKの大河ドラマで取り上げられています。

鎌倉幕府百五十年の歴史をつくった累代の本家本流、時政、義時、泰時など七人の得宗を中心に北条氏の時代を紐解いていきます。

 

明治維新や先の大戦の混乱期のあとには、他国に日本が取って変わられる可能性の危機に瀕していたのではないかと思っています。

それを遡れば鎌倉時代には、文永の役、弘安の役という元寇がありました。

「竹崎季長絵詞」が有名ですが、自国内だったので新たに獲得した領地がないため御家人に望むところの恩賞を与えることができず不満が募ったことなど、鎌倉幕府崩壊への序曲ともなった出来事です。

そのときの北条家の得宗は、北条時宗です。

元を追い払った結果から考えると、大変優秀な人材でなかったかと思っていました。

 

著者の本郷和人さんによると。

元から再三の臣下となる「冊封体制」に加わるように使者を送りこんできたそうです。

ところが、時宗は無視するほか拒絶します。それどころか使者を斬首してしまいました。

使者を丁重に持て成すことなく殺してしまうと相手が怒るのも当たり前。外交交渉でうまく立ち回っていれば、外から責められ内から滅ぼされるような出来事は起こらなかったかも。(元寇がなくてもいつか滅んでいたかもしれませんが。)

偶然暴風雨の神風が吹いたことや元の軍勢が帰還したことなどの幸運もありました。

 

249P「時宗には、私は高い評価を与えることができません。外交の失敗などもさることながら、(得宗家)世襲の原理でトップに立ったものの、自らの判断を示すこともなく、(平頼綱らの)「御家人ファースト派」と(安達泰盛らの)「統治派」の争いにおいて、勢いのある方に従っただけに見えるからです。再三にわたる政策の大きな揺れ動きも、時宗のリーダーシップの欠如を示しています。」

 

歴史家の磯田道史さんのように古文書を実際に紐解いて語られる真実の歴史を知ることは純粋に面白いし、三英傑や坂本龍馬、後白河法皇らなどの傑出した人物と書物などから出会えるのも楽しいと思います。

 

歴史は、起こった結果「点」だけを見ているようですが、それが起こるまえからの布石や流れがきっと必ずあります。

歴史は点だけでなく数多くの点が繋がって「線」となっているのです。

 

成功した事例よりも、失敗した事例から学ぶべきことが多いのです。

なぜ失敗したのかを突き詰めれば、現代においての成功の知恵が授かるからです。

 

ドイツの首相ビスマルクが語ったように「賢者は歴史から学ぶ」姿勢は、これからも貫き持ち続けていきたいと思います。

 

 <目次>

はじめに 

中世の鎌倉の地図

現在の都道府県と旧国名

北条氏系図/天皇家系図

第1章 北条時政―敵をつくらない陰謀術

第2章 北条義時―「世論」を味方に朝廷を破る

第3章 北条泰時―「先進」京都に学んだ式目制定

第4章 北条時頼―民を視野に入れた統治力

第5章 北条時宗、北条貞時―強すぎた世襲権力の弊害

第6章 北条高時―得宗一人勝ち体制が滅びた理由

あとがき 

「北条氏の時代」関連年表

 

東京大学史料編纂所教授。1960年、東京都生まれ。東京大学文学部卒、同大学大学院人文科学研究科博士課程単位取得退学。鎌倉時代を中心とした日本中世史が専門。著書多数。監修の『やばい日本史』シリーズがベストセラーになっている。マンガ『逃げ上手の若君』で解説、ゲーム「Ghost of Tsushima」にアドバイザーの一人として参加するなど、多方面で活躍している。