【No.1016】R.I.P.安らかに眠れ 久坂部 羊 講談社(2021/11) | 朝活読書愛好家 シモマッキ―の読書感想文的なブログ~Dialogue~

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一冊とのご縁が、人生を照らす光になる。
そんな奇跡を信じて、ページをめくり続けています。

Rest In Peace 安らかに眠れ。

9P 「相手が自殺を望んだら、殺してもいいのですか」

「それはもちろんいいでしょう。だって、本人が望んでいるのだから」

 

自殺志願者への幇助や嘱託殺人をテーマにしたとても重いテーマだった。

わが国では、まだ安楽死が公式に認められていないのではないか!?

「三人が自殺を望んでいたから、死なせてあげたんです」

次兄の村瀬真也は、SNSで接触してきた3人の自殺志願者を殺害した容疑で逮捕され起訴された、

特に争うことも、犯行を否認することもなく裁判が進んでいった。

真也の妹の村瀬薫子の手記という形で語られる。

 

254P 「だって、かわいそうじゃない」と反論すると、「本人が知ったらどんな気持ちになると思うんだ。これまでいろいろ喜びや悲しみもあっただろうね、『かわいそう』の一言で人生が消費されてしまうんだぞ」と言葉を強めました。

「消費って何よ」と聞くと、「関係のない第三者がよく知りもせず、終わりにすることだ」と答えました。

わたしはそんなつもりはないので、「悪気はないわ、ふつうの感覚でしょう」と言い返しました。

すると真也はますます感情的になって、こんなことを言ったのです。

漫然と憐れむことの無神経さ、思慮のなさにおまえは気づかないのか、そういう悪気のないふつうの感覚が、浅はかな自殺の否定につながっているんだ。

「じゃあ、真兄は彼女の自殺を肯定するの」

 

261P

最期に会ったとき、真也氏は私にこう語った。

「僕は単純に自殺を肯定しているわけではありません。自殺の全否定を否定したかったのです。全否定は思考停止ですからね。相手のことを思っているつもりでも、実は自分の感情を優先している人は多いでしょう。生きるのは当然で、死ぬことはいっさい認めない。それを疑いもしない人の思いやりのなさが、僕には耐えられないのです」

 

生と死は表裏一体だ。

まっとうに生きてこそ最後まで生を全うすべきだと思っていた。

いくら本人が望むからといって、殺めてもよいものとは思えない。

常識で考えると?

世間の多数を占める考えとは?

家族や周りの気持ちを斟酌する必要性は?

本人の意思のみが尊重される世の中には異議あり。

病気等場合によって特殊事情によって自死に繋がる選択をできるのか(できないのか)。

そもそも仮においてでも、このような考えや発想ができることにぼくは驚きを隠せない。

消化しきれない。

多くの議論と時間が必要だ。

 

1955年大阪府生まれ。小説家・医師。大阪大学医学部卒業。大阪大学医学部附属病院にて外科および麻酔科を研修。その後、大阪府立成人病センターで麻酔科、神戸掖済会病院で一般外科、在外公館で医務官として勤務。同人誌「VIKING」での活動を経て、『廃用身』(幻冬舎)で2003年に作家デビュー