【No.997】虚魚 新名 智 角川書店(2021/10) | 朝活読書愛好家 シモマッキ―の読書感想文的なブログ~Dialogue~

朝活読書愛好家 シモマッキ―の読書感想文的なブログ~Dialogue~

読書とは――著者や主人公、偉人、歴史、そして自分自身との、非日常の中で交わす対話。
出会えた著者を応援し、
本の楽しさ・面白さ・大切さを伝えていきたい。
一冊とのご縁が、人生を照らす光になる。
そんな奇跡を信じて、ページをめくり続けています。

幾多の怪談と都市伝説的な類いを絡ませたホラー&ミステリの内容は、僕的には斬新だった。

 

幼い頃事故で両親を亡くした三咲は怪談師となり「人を殺す怪談」を探している。

「呪いか祟りで死にたい」というカナちゃんと同居している。

 

「釣り上げた人が死んでしまう魚がいる」という噂を聞いた。

怪談が川を下ってきて色々な場所で同じような話があることを知った。

三咲とカナは、その発生源を求めて怪異の川をたどっていく。

このホラーツアーは、ものすごくハラハラドキドキさせられる。

ラストは驚愕の終わり方だった。

 

224P

「ごめん、ちょっと……」

松浦さんにそう言って、なるべく顔を見せないよう、部屋を出た。トイレに入って鍵をかける。それから、わたしは声を殺して泣いた。両親が死んでから、自分が何をしようとしていたのか、やっと理解できた。

わたしが探していたのは、人が死ぬ怪談じゃない。人が死んだあとで、わたしだけ生き残ってもいいのだとわかる怪談だった。

258P

わたしはただ、どこかに向かっていたかっただけなのかもしれない。ひとりだけ生き残ってしまったあと、人生が余りもののように思えた。復讐も、呪いも、本当はどうだっていい。何かをしていたかった。そして、同じ方向へ進んでくれる人がひとりでも必要だった。

271P

「ここにいる何かは、ぼくたちにこういうことをさせたがっているんです。それがどこから来たのか、何者なのか、ぼくたちに決めさせたがっている」

 

 <目次>

一 釣り上げると死ぬ魚の話

二 怪談だらけの川の話

三 怪談の川をさかのぼる話

四 結局そこには何もなかったという話

第41回横溝正史ミステリ&ホラー大賞選考経過

 

1992年生まれ。長野県上伊那郡辰野町出身。2021年「虚魚」で第41回横溝正史ミステリ&ホラー大賞“大賞”を受賞しデビュー