【No.963】私たちはなぜこんなに貧しくなったのか 荻原博子 文藝春秋(2021/08) | 朝活読書愛好家 シモマッキ―の読書感想文的なブログ~Dialogue~

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読書とは――著者や主人公、偉人、歴史、そして自分自身との、非日常の中で交わす対話。
出会えた著者を応援し、
本の楽しさ・面白さ・大切さを伝えていきたい。
一冊とのご縁が、人生を照らす光になる。
そんな奇跡を信じて、ページをめくり続けています。

令和以降これからを生きていくためにはどうしていけばよいのかと想っていました。

まずは、現在までの把握です。

今までの直近の過去を振り返りその足跡を辿りなにをしてきたのか、何が起きてきたのかを理解することが大切です。

過去の出来事で悪かったことで謝ることは誤り、間違っていたことで反省すべきことは反省する、成功した事実は事実として将来に活かす、失敗したことから今後どうしたら成功するかなどと考えてみるのです。

荻原さんは、年金・消費税・金融機関というカテゴリごとにたどってきた歴史を紐解いていきます。昭和時代にどのように生まれ育ったのか、平成時代にどのような劣化が起こったのかなどとわかりやすく解説されています。

成功してきたとは思われない身近な話題を取りあげ説明されている荻原さんの主張は、理にかなったものであり時宜を経たものであると思いました。

 

14P

本書では、皆さんの生活に最も密着した「年金」と「消費税」が、なぜこれほどまでに“インチキ”を重ね、多くの人を欺いてきたのか。なぜ、日本経済のエンジンとも言える財務省が、公文書改竄などという官僚としてありえない犯罪に手を染める組織にまで落ちてしまったのか―。日本経済の栄光と衰退と軸に、「平成」という時代を見てみましょう。

スタートしたばかりの令和を襲った新型コロナ禍は、東日本大震災に肩を並べる死者を出しました。

死者、重症者の中には、政府が東京五輪開催のためか、入国規制を徹底しなかったことで蔓延した新型の変異ウイルスに感染した人も多くいて、失政の誹りは免れないのに、そうした声がない。

昭和の首相で「人命は地球より重い」とおしゃった方がいましたが、今や五輪よりも人命のほうが軽くなってしまった気がするのは、私だけでしょうか。

なぜ、私たちは、今こんな絶望的な状況に置かれているのか。どうすればいいのか。救いはどこになるのか。

 

126P 富める人は、より豊かになり、格差が広がった平成時代

 

安倍首相は幸運だったという「アベのラック」は、ひと言名言でありなかなか的を射た面白いお話です。

276P 「アベノミクス」は、実は「アベのラック」だった?

よく「運」も実力のうちと言いますが、私は、安倍晋三という首相は、他の首相にはない「強運」「幸運」に恵まれていた首相だったのではないかと思います。

歴代政権が「違憲」としてきた「集団的自衛権」の行使を「合憲」にしたことで非難を受ければ、北朝鮮からミサイルが飛んでくる。

「安倍は横暴だ」と言われ始めると、より横暴なトランプがアメリカ大統領になってボス感が霞む。

森友・加計問題で前原誠司率いる民進党が追及の手を強めようとすると、山尾志桜里議員の不倫が発覚して民進党がグダグダになる。それを見て、衆議院解散後の総選挙に打って出た強敵小池百合子が、新党を立ち上げて政権にダメージを与えると思いきや、「排除宣言」でオウンゴールして自滅する。

しかも、この選挙では自民党に投票した有権者は、投票しなかった人を含む全有権者に占める割合(絶対得票率)では、選挙区で4人に1人であるにもかかわらず、小選挙区のため自民党が7割の議席を占める圧勝でした。比例区でも自民党への投票は6人に1人でしたが、全体として465議席の6割を占めるに至っています。

さらに、選挙当日には奇跡的に台風まで来て、組織票が強い自公を援護射撃するというおまけ付き。

その後も、政権にとって数えきれないほどの不祥事が発覚したにもかかわらず、その不祥事が、検証する間もないほど次々と出てくるので、国民が次々に振り回されている間に、前の不祥事が忘れ去られ、逃げきれてしまうというラッキーさも……。

個人的には、安倍政権がこれだけ長期政権になったのは、「アベノミクス」ではなく、「アベのラック(幸運)」という側面が大きかったのではないかと思っています。

 

294P 「昭和」の日本は、世界で最も成功した社会主義国だった。旧ソ連の最高指導者ゴルバチョフがそう言ったと伝えられています。

お金持ちが激減したので貧富の差が小さくなり、額に汗して働くことが尊ばれる国になっていたからです。(社会保障、国民皆保険・年金などの充実)

 

298P 「昭和」の会社は、「カンパニー(会社)」ではなく「コミュニティー(運命共同体)」だった。

 

307P 「平成」に、一気に増えた国の借金

平成元年度には、国の公債残高(普通国債残高)は161兆円でしたが、令和元年度には、約5.5倍の898兆円にまで膨張しています。

家計も、貧乏になりました。(給料、退職金など減、消費税、社会保険料の増など)

 

最後に、日本が再び活力があり希望が持てる国として蘇るための提案がありました。

321P

私は、(縦社会、護送船団方式などの)愚かな過ちから脱しているのが、「上りエスカレーター」にも「下りエスカレーター」にも乗らず、多種多様な価値観を持ってネットの中を泳ぎまわる、「デジタルネイティブ」である今の20代以降ではないかと思います。

 

 <目次>

はじめに 

第1章 危うくなった年金

第2章 30年間、納税者を騙し続けた「消費税」

第3章 なぜ、みんな「シティバンク」に騙されたのか?

第4章 日本が「劣化」した平成という時代

第5章 日本の未来は、どうなるのか

あとがき