ブレイクニュースは、まさに劇薬だった。
相手を傷つけるのと同様に自分にもそれ以上のダメージを与えかねない劇薬のようなもの。
使い方を間違わないようにしないと取り返しがつかない状態になる。
児童虐待や8050問題、冤罪事件、パパ活などの実情を、YouTubeなど画像を使って勇敢にしておこがましく辛辣に各種課題を取り上げていた。
動画の視聴回数は一千万回を超えている。
ブラウスの上のボタンが二つ外され、胸元が大きくはだけて谷間が覗きそうになっている凛として切れ長の美人。
これが「ブレイクニュース」の顔、キャスターの野依美鈴だ。
64P
「自分のことをきちんと語れることこそが自立だと考えています」
「引きこもっている人たちに対して世間の多くの方たちは、怠けている、あるいは甘えていると捉えるでしょう。ただ、実際に引きこもりの人たちと接しているとそうでない場合が多いのを実感します。彼ら彼女らの多くは怠けているわけでも甘えているわけでもなく、引きこもらざるを得なかったのです。学校や社会で頑張ってきたものの、命や尊厳の危機を感じて、それを守るために自殺するのではなく生き続ける道として、引きこもりという道を選択しているんです」
最終章の「ハッシュタグ」でやっと野依がやってきた行動の意味がわかる。
なぜなのか理由が露わとなってくるので、最後はもうあっという間に読み切った。
事情があっても何でもぶっちっちゃけ晒し出されてもよいものなのかな!?
現代のデジタル社会へ警鐘を鳴らす社会派小説だった。
356P
「きみはすべてを諦める前に死ぬ気になって闘ったことがあるのか」
「きみの言葉が届かないのは死ぬ気になってでも伝えようとしていないからじゃないか」
死ぬ気になって闘わなきゃ大切なものも守れない。
<目次>
ブレイクニュース
巣立ち
嫌疑不十分
最後の一滴
憎悪の種
正義の指
ハッシュタグ
1969年兵庫県生まれ。2005年に「天使のナイフ」で第五一回江戸川乱歩賞を受賞しデビュー。2016年『Aではない君と』で第三七回吉川英治文学新人賞、2017年に「黄昏」で第七〇回日本推理作家協会賞(短編部門)を受賞
