サラリーマンの悲哀さの究極を行くような作品で正に一気読みでした。
大手繊維企業課長の森雄造は中堅の筆頭株。
彼は、社長賞を取ったこともある技術系のエリートだった。
あるとき川井常務の不正を指弾する投書が社長宛に届いた。
森は、派閥抗争に巻き込まれたほか、川合常務からやっていない濡れ衣を着させられ、窓際に追いやられるなど劣悪な対応をされた。
森が会社から追い出されるために過去の出来事をあら捜しされ、始末書で終わるべきところ依願退職を要求され、それを受け入れず結果的に懲戒解雇処分が突き出された。
しかし、会社を訴えるなどの法的措置を講じて森の加速度的な反乱が始まるのだった。
意地汚く居座ろうとする常務、責任を負わない社長、当事者意識を持たない会長ら首脳陣のみっともなさ、醜態が表れ汚い膿がにじみ出てくる終盤でした。
森の拳のおろし方や身の振り方、訴えられた会社の被害度合いの匙加減を考慮した納め方は流石。速瀬元筆頭副社長が間に入って両方の顔を立てた差配はサラリーマン的に誠に天晴でした。
<目次>
プロローグ
第一章 疑惑の経営トップ
第二章 香港のヤミ資金
第三章 課長の建白書
第四章 人事部長の変心
第五章 懲戒解雇
第六章 人事課長の友情
第七章 エリートの反乱
第八章 崩れゆく反乱
エピローグ
解説 佐高 信
1939年東京都生まれ。専門誌記者・編集長を経て、1975年『虚構の城』でデビュー。以後、企業小説・経済小説を次々に発表。
