【No.633】半沢直樹 アルルカンと道化師 池井戸 潤 講談社(2020/09) | 朝活読書愛好家 シモマッキ―の読書感想文的なブログ~Dialogue~

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はっきり言うと、今回の「半沢直樹」もほんとうに面白かった。

半沢になぜかしら自分を重ねてしまった。

出来事にワクワク、ドキドキした。

人情味あふれる半沢や部下たちの誠実な仕事ぶりによって助け助けられる場面がある。

ページをめくりながら胸躍る熱き思いが沸き立つ。

終わりには気分がスカッとした。

 

このシリーズの第5弾は、時を遡って、半沢が東京中央銀行大阪西支店の融資課長時代が描かれている。

 

大手IT企業のジャッカルが大阪営業本部を通じて業績低迷中の美術系出版社の仙波工藝社に対する買収工作を行った。

大阪営業本部の強引ともいえるやり方にまさしく強く抵抗する半沢直樹がいた。

この裏側には「アルルカンとピエロ」という絵に秘められた謎が大きく関係していた。

 

定番の半沢直樹の言葉がここにあり。

敵とのやり合いも見応えがある。

半沢が勝つのは分かっていてもやっぱり気持ちがいい。

 

254P

半沢の口調は静かだが、目は爛々と燃え、その奥底に渦巻く憤怒は手に取れるほどだ。

「こっちが大人しくしてるからって、いい気になるなよ。いまに見ていろ」

半沢は、強い雨脚が叩き付けるラウンジのガラス窓を睨み付けた。

「基本は性善説。だが―やられたら倍返しだ」

 

半沢と渡真利との話の掛け合いが上手だ。

二人の間合いが格別にキレてると思う。

会話からは、これからの勧善懲悪な展開が予想される。

気分がさらに盛り上がってくるのは間違いない。

 

301-302P

半沢はいった。「そんなバカげた組織に未練はない。新しい場所で、自分らしい人生を切り拓く方がよっぽどマシだ」

「馬鹿いうな。この組織にはお前が必要なんだよ」

渡真利の口調はいつになく、切迫していた。「誰もいえないことをお前がいい、誰も出来ないことをお前がやってくれる。それにオレたち同期がどれだけ励まされているかわかってるのか。お前がいてくれるからこそ、オレたちはこの組織に希望を持っていられるんだ」

「そこまで高く買ってくれてたとは驚きだ」

半沢はにこりともせずいい、まっすぐ前を見据えた。「だが、自浄作用がなくなったら、組織は終わりだ。今回試されているのはオレじゃない。この東京中央銀行という組織そのものなんだよ」

 

 <目次>

第一章 アルルカンの部屋

第二章 ファミリー・ヒストリー

第三章 芸術家の生涯と残された謎

第四章 稲荷祭り騒動記

第五章 アルルカンの秘密

第六章 パリ往復書簡

第七章 不都合な真実

第八章 道化師への鎮魂歌

第九章 懲罰人事

最終章 アルルカンになりたかった男

 

1963年岐阜県生まれ。慶應義塾大学卒。「果つる底なき」で江戸川乱歩賞を受賞しデビュー。「鉄の骨」で吉川英治文学新人賞、「下町ロケット」で直木賞を受賞。