「私の代わりに散り椿を見て欲しい」
彼を生かすための策だったとあとで知った。
病に倒れた妻、篠が死の床で最期の願いを瓜生新兵衛に託す場面。
妻の遺言の真の意味を知ったとき、新兵衛はどんな覚悟をもって生きていくのか。
潔く儚いセリフ。
日本人らしい美徳に落涙する場面か。
「散る椿は、残る椿があると思えばこそ、見事に散っていけるものだ」
この散り椿のように見事に散っていく友たち。
自己犠牲を払いながらも相手を生かそうとする愛の証に心が動かされた。
<目次>
序
帰郷
四天王
政争
蜻蛉組
襲撃
采女の恋
人質
国入り
迷路
面影
椿散る
1951年、北九州市小倉生まれ。西南学院大学卒業後、地方紙記者などを経て、2005年、「乾山晩愁」で第29回歴史文学賞を受賞しデビュー。07年『銀漢の賦』で第14回松本清張賞を受賞し絶賛を浴びる。12年『蜩ノ記』で第146回直木賞を受賞。いま最も注目される歴史・時代小説作家
