あなたは誰を護ることができるのでしょうか。
東北で起きたあの大震災の爪痕は、そこに関係する人たちの心の中に深く濃く刻み込まれています。
時々、時期と場所を見ながらトラウマとなってその顔を出してきています。
善人で通っていた福祉保健事務所の職員や元職員が餓死をさせられ殺されるという残忍な事件が発生します。
本当に必要な人には行き渡らない生活保護。国の予算の問題もあり申請しても全員が受給できない難しいシステムとなっています。
本来もらうべき人に適用されないこと、不正に受給をしている人がいる現状の生活保護受給制度に問題を投げかけています。
生活保護の申請する者とそれを認定する役所の立場の違いが勉強になりました。
職務上から見て善人だと見られようとも、逆に申請側からすれば血も涙もない悪人に見えることがとても印象的でした。
一般的に、妥当で正しい判断をしたことでも、相手に恨みを買いトラブルを生じさせることがあります。
すべての人に満足を与えることが難しいのだけれども、仕事のやり方やものごとの見方に、そもそもこちらの側の論理だけではなく、相手の立場に立って相手を慮れるような人間味のある言葉と対応が大事ではなかったのかと改めて気づけました。
中盤からはどんでん返しの予感を感じ、中山七里さんの作品のなかでは久しぶりに読み応えを感じました。
<目次>
善人の死
人格者の死
貧者の死
家族の死
恩讐の果て
1961年生まれ。岐阜県出身。「さよならドビュッシー」で第8回「このミステリーがすごい!」大賞を受賞。他の著書に「総理にされた男」「贖罪の奏鳴曲」など
