「愛の反対は憎しみではない、無関心だ」
各部屋にはドアがなく、鍵を閉めることができない。
ただ薄いカーテンで仕切られているだけ。
互いの信頼関係で成り立つ共同生活。
「夜這いし放題よ」と耳打ちされた、訳ありの男女が住むシェアハウスでの人間模様が錯綜する物語。
でも、ずっとここに住み続けることができない。
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紫織はいった。
「人生なんて、そんな簡単にリセットできるもんじゃない。過去は、いつまで付いて回る。…罪を償うことはできても、過ちを犯した過去を消すことはできない」
法律上には罪を償っても世間の目は冷たいものなのかと思う。
罪を償ったあとその事情を知った上で、真剣に反省して更生したい人を受け入れることができる世の中があれば。そんな社会があればとよいのではないかと。
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この店の名前、「プラージュ」とは、フランス語で「海辺」という意味だ。
海と陸の境界。それは、常に揺らいでいる。
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「プラージュ」はフランス語で「海辺」。海と陸との境界線。曖昧に揺らぎ続ける。人と人との接点。男と女、善と悪、真実と嘘、愛と憎しみ。そして、罪と赦し。
私も、自分で気がついていた。
波打ち際に築いた城壁は、いつのまにか少しずつ、さざ波に浸食され始めていた。
海と陸との境界は、常い揺らいでいるから安定はしていない!
<目次>
1 貴生の事情
2 記者の眼差
3 貴生の新居
4 美羽の居所
5 貴生の朝食
6 記者の追跡
7 貴生の就活
8 紫織の気持ち
9 貴生の挫折
10 記者の潜入
11 貴生の疑念
12 通彦の傷痕
13 貴生の手先
14 潤子の休息
15 貴生の困惑
16 美羽の迷走
17 貴生の空転
18 記者の葛藤
19 貴生の焦り
20 友樹の痛恨
21 貴生の死角
22 潤子の祈り
23 貴生の帰還
1969年東京都生まれ。「妖の華」でムー伝奇ノベル大賞優秀賞を受賞しデビュー。「アクセス」でホラーサスペンス大賞特別賞を受賞。ほかの著書に「ストロベリーナイト」など。
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なんども繰り返したような夜が、また一つ、過ぎようとしている。
同じ夜は一つもないけれど、どの夜も、同じように愛おしい。
自分たちはみな、それぞれ罪を犯したけれども、一つとして同じ罪はないし、一人ひとり、みな違う人間だった。
明日は、また仕事がある。
二度と繰り返すことのない一日が、自分を待っている。
そんなことを最近、貴生は、とても尊いと感じるようになった。
