この文章には、後ろめたいようで、悲しそうで、寂しそうな雰囲気がずっと漂っています。
「この坂でころぶと、三年以内に死にます」
表紙は京都市にある三年坂-産寧坂を映しているのだろう!
この情景が静かにやわらかく目に浮かびます。
清水寺の周辺は、かつて何度も行ったことがあります。
修学旅行などの観光客であふれるにぎやかさがあるの反面、なにか惹きつけられるようなもの悲しさを内包しています。
<目次>
序章 鳥辺野
第一章 野辺送り
第二章 真葛ヶ原
第三章 産寧坂
第四章 産女
終章 誕生
◎兵庫県生まれ 現在京都市在住。京都女子大学文学部中退後、映画会社、旅行会社、アダルトビデオ情報誌での執筆など様々な職を経て、2010年、第一回団鬼六賞大賞を「花祀り」にて受賞。
著書に「花祀り」「寂花の雫」「女の庭」「おんなの日本史修学旅行」「萌えいづる」「女坂」「恋地獄」「偽りの森」などがある。
21P
人間という命の短い生き物を圧倒し、支配するかのように歴史が君臨している。
51P
「仕事はどんどんつらくなるよ。だから、ちゃんと家庭を持ったほうがいいよ。私が言うのもなんだけど」
「どういう意味ですか」
「逃げ場であり、生きがいであり、支えであり、責任であり-男の人は仕事より重い荷物を持つことは必要よ。そうじゃないと病んでしまう。特に、教師なんて人を扱う面倒な仕事はね-子どもなんて、バケモノよ。しかも女の子なんて、男に対処できないバケモノ-やつらはまだわけがわかっていない。わかっていないから、無茶もする。話も通じない。これから先、そんなバケモノを相手にし続けるなら、感情的に接しないほうがいいし、ちゃんともうひとつ、自分の居場所を持ってないと、やっていけない」
200P
「また、会ってくれますか」
「もちろんよ。あなたのような、恵まれているくせに満たされなくていつも寂しい寂しいって母親に捨てられた子どものように泣きそうな心を持ってて、ただ生きてるだけで人を傷つける男の人が、どういう一生を送るか興味あるもの。苦しんで生きてね。ああ、楽しみ」
230P
産むことは女にとっては最大の武器であり、喜びなのです。
女しかできないことなのですから、出産は。
でも、だからこそ女は強いのです。子どもを産める性だから強いのです。
