どこかにいていそうななにかダメな男女たち。
適度に軽妙な筆致が素晴らしいわ。
それぞれの主人公の内面がうまく描かれています。
だから楽しく読むことができますよ。
<目次>
ヒット・アンド・アウェイ 7-43
冷蔵庫を抱きしめて 45-79
アナザーフェイス 81-115
顔も見たくないのに 117-149
マスク 151-182
カメレオンの地色 183-210
それは言わない約束でしょう 211-246
エンドロールは最後まで 247-282
◎1956年6月30日生まれ、埼玉県生まれ。成城大学経済学部を卒業。広告制作会社を経て、1997年「オロロ畑でつかまえて」でデビュー。
67―68P
チーズの臭いのげっぷを吐き出して、直子は背の高い冷蔵庫に抱きつくようにもたれかかる。けっして裏切らない恋人にそうするように。押し当てた頬の冷たさに気づくまで。
誰かこれに鍵をかけてくれればいいのに。
166P
マスクが俺に教えてくれた。
人間というのは、常に人の視線を気にして生きているってことを。
そして、それがいかに馬鹿馬鹿しいかってことを。
266P
「アフリカに行こうと思う」
「え?なに?」
「アフリカに病院をつくるプロジェクトに参加するんだ」
いきなり言われても、なんて答えればいいの。男ってセックスのすぐ後に、どうしてあんなに冷静に話ができるんだろう。すぐ後だからだろうか。
見つからなかった探しものだと思っていた男は、壊れやすいガラス細工で、しかも千帆の手の届かない場所への配送品だった。
