☆影法師 百田尚樹 講談社 (2010/04)☆ | 朝活読書愛好家 シモマッキ―の読書感想文的なブログ~Dialogue~

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出会えた著者を応援し、
本の楽しさ・面白さ・大切さを伝えていきたい。
一冊とのご縁が、人生を照らす光になる。
そんな奇跡を信じて、ページをめくり続けています。




百田尚樹さんが書かれた時代小説です。



「光があるから影が生まれる。影があるから光も映える。」



ここまで書けるかと思うくらい、百田さんの器量の大きさをさらに感じる作品でした。


「武士の勘一と彦四郎は、刎頸の契りをかわした友。



この二人は、あるときから違った人生を歩みます。



一方は、下士から異例の出世を果たし家老にまで上り詰めるが、他方は、貧困のうちで無為に朽ち果ててしまう。


しかし、それにはしっかりとした理由があったのです……。」



◎1956年、大阪生まれ。同志社大学中退。放送作家として人気番組「探偵!ナイトスクープ」など多数を構成。2006年、特攻隊の零戦乗りを描いた『永遠の0(ゼロ)』で作家デビュー。


308P


「実は、今日まで誰にも申さなかったことございます。」


伊登は言った。彰蔵は伊登の顔を見た。


「磯貝さまは、私を抱き寄せた時、耳元で、すまぬ、と仰いました」


「何と―」


彰蔵は思わず声を上げた。


「磯貝様の目は、酒に酔った目ではございませんでした。

私は、この方は正気だと思いました。それだけに余計に怖くなりました」


やはり、という思いであった。予期していたことながら、伊登の証言に、唸った。