文藝春秋2023年4月号より,料理研究家・土井善晴氏のコラムが面白い | 国道179号線沿線住民とっ散らかりブログ

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楽器もできない音楽好きのおっさんが
中坊並みの文章力で書いてるブログ。
撮影地:津山線、福渡駅~建部駅間・旭川橋梁

まずこれを書いたのは、ちょうど1ヶ月前。
下書きだけ作っておいて、出す機会を逸した格好に。
↓を書いたときに続編として連投稿すればよかったのですが、





どういうわけか、ここ最近あまりに読者数が激減しちゃって、せっかく長文を書いたのに読まれないんじゃ
出すのももったいない気もしてきてそのまま”塩漬け”してしまった次第。

本題に入ります。
↑のりブログ記事に関連して、このコラムで土井善晴氏、毎日料理・自炊のススメをしていて
一汁一菜で質素な料理で構わない、味噌汁も面倒くさい出汁など取らなくとも
適当に具材を放り込んで煮れば、それなりに具材から出汁も染み出し、美味しくなるはずだから
”自炊が苦痛になるまで頑張らなくてもいい範囲内で”、作ってみる生活を、上記のような理由も含めて推奨。

それを踏まえて、氏が言いたいことを丸引用して紹介したい。
では始めます。m(_ _)m


>人間は料理をする動物です。ゴリラは料理をしないのです。
人間はおいしいものを食べるために料理したのではありません。
料理は自然界で弱者が生き残る戦略として始めた行為です。
百八十万年前に火を使い始め、道具を使って食べやすく料理して、食べられないものを食べられるようにして
命をつないできたのです。
本来体内で行われる消化を料理によって外部化(分離)することで、食事を合理化して
余剰エネルギーを使って脳を大きくし「賢さ」と「余暇」という時間を手に入れたのです。
料理は人間のクリエーションの始まりです。
人間は料理をすることで人間らしい姿になり、そして言葉を持ち、家族が協力して社会を大きくしてきたのです。
現代では料理以外のことは、ほとんどすべてをなにかの装置や機械に置き換得てしまったように思います。
(中略)人間が人間になってから、未だに続けている行為は料理だけです。
人間は今も料理をする動物です。

(大きく省略)
>毎日同じことを繰り返すことが暮らしです。
そのシンプルな暮らしは、感性を研ぎ澄ますことになります。
変化のない暮らしだから小さな変化に気づくのです。
静かにしていれば。これまで聞こえなかった音が聞こえるように、気づかなかった風味の良さや
味わいに気づくでしょう。
探し味と言いますが、気づくことが喜びです。

>数学者の岡潔によると、情緒とは普通のことをいいなあと思う感情だと言っています。
季節の変化に気づくこと、自身に湧き上がる情動が喜びです。
なにもそれを深く考えるということでははなく、「ああ」という思いを言葉に出して
心に楔(くさび)を打つことが「もののあはれ」です。(中略)
料理を出して食べるという関係に情緒が生まれると言いましたが、そうした関係を失うと
人間が情緒を感じる経験が少なくなって、感性が働かなくなってしまうのではないかと心配をしています。
違いを感じることが感性です。
だからなにかに頼って依存していたらいけません。
自分で確かめることをしないで、数字に依存するから、賞味期限が切れた味噌も、生卵だって捨てるのです。
そんなことでAIを使う人間になれるのですか。
コンピューターの進化に強さを感じますが、人間の退化していくほうが恐ろしいと思います。
「美とは、それを観た者の発見である」という(中略)
見る人の感性がなければ美しいものは存在しなくなるのです。
だから美しいものが日本から少しずつなくなってきたのです。
私たちは文化を半ば捨てました。
どうも文化を大切にしないで、なんだ文化だと馬鹿にしているように思うのです。
文化とは私たちを健全に守る知恵です。

(大きく省略)
>人間の欲望はまだ未開発の宇宙にまで成長しようとしています。
地球はすでに限界近くまで、使い果たしたからでしょう。
まだまだ宇宙で稼げると思っているのです。
なんとも不思議なのは、地球という有限の世界に、無限の進化、成長があるように振る舞う人々です。
そもそも有限の世界だからこそ、バランスを取り、維持しようとするカが働くものです。
宇宙にお金を捨てにでも行くのでしょうか。
そのお金は地球から搾取したもの。いや地球に返すべき借金でしょう。
有限であるところに意味があるのです。
無限の進化が、破滅に向かうのは当然のことです。
郵券にある人間存在の創造とは、進化ではなく「深化」です。

>地球にいるのですから、草木の正しさを信じることが、未来への希望になると思います。
世界の若者は、これ以上の進化など望んでいないのです。
地球にちゃんと参加しろと言いたいです。
地球人であることを忘れてはいけません。
「家族は自分」同様に、「地球は自分」「自分は地球」です。m(_ _)m