大西広 著 『人口ゼロの資本論』 | 国道179号線沿線住民とっ散らかりブログ

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いきなりこういう書き出しはどうかと思いつつ書くのですが、前半95ページまでは正直
読んでて退屈というか、少子化の原因の羅列「ほぼ知ってる」だし、数式で小難しく書かれても
ちょっとね…(-_-;)
真骨頂は第5章以降から、DE、200ページほどの本著をぎゅーっと短い文章にすると、

少子化は資本主義(新自由主義)が続く限り、上振れすることはほぼない。

『出生数・2.07』この数字を覚えておいて損はないかと。
出生数が2.07を超えない限り、その国の人口の自然増はなく、2.07を切る国は徐々に自然人口減となり、日本だけがやたら少子化と騒いでるように思いますが
G7をはじめ、この数字を達成してる先進国はどこもない。
一時フランスが届いた時期(2.02)もありましたが、米国でさえ1.6台ですのでね。
ま、あそこは違法を含めて移民が流入してるので増えてる”ように見えてる”だけで。

資本を蒐集するには必ず低賃金で働く層が必須、時間が経つと必ず代わりになる労働力が必要になります。
労働力の老齢化、それに代わるのが次世代の労働力の新規参入(これを労働力再生産という)
が必須となるわけですが、資本家(ブルジョワ層)が露骨に資本を蒐集(今まさにそうですね)

戦後の高度経済成長期には、地方・農村部から次々と労働力が流入することで
労働力の不足分を確保できたので達成できたといってもいい。
今世紀からの中国の急激な経済発展もそんな構造で達成しましたね。
ですが地方・農村部からの労働力の補充もままならなくなれば、外国(途上国)から連れて来ればいい、
というのが今の日本ですね。
ところが途上国も日本以上に経済成長してるわけでね、日本がこのままだと近い将来
そんな途上国民ですら、日本に出稼ぎしてまではアホらしい。
となるはずで、そこをどうも”この期に及んで先進国気取りの昭和の政治家”は
想像できないようで。(-_-;)

本著に掲載されていたグラフを貼り付けられればいいんだけど、各国の少子化対策の施行前
施行後の出生数の増減をグラフ化したものの中で興味深いのは、日本だけが少子化施行前より
施行後のほうが出生率が下がっているという事実。





その理由が面白くてね、日本の少子化対策=子育て家族支援への給付なんですが
その原資は国民から一律徴収、これがよくないと。
子育て支援以前に、低収入から抜け出せず、子供はおろか結婚すら諦めた層からも
少子化対策だと徴収され、もっと下層階級化に堕ちたとなればね。
細かいことは、↑のリブログと重なるので割愛しますが、本著の変わった切り口からの
アプローチってのが、出生率を室町時代以前から調べてるところ。

荘園制度、貴族に寺社、守護大名の権限が強い時代は搾取が酷いですよね。
これが戦国時代に移行するにつれ、荘園制が徐々に衰退していくと農民の数が増え、
江戸時代に移行すると長男だけが農地を継げ、次男以下は排出されて自農自立で皆婚化が進み
幕末に移行するにつけ、武家・地主・富農層の人口が増えると自農自立が小作農化(貧民層)が
進むとやはり停滞期が来るというサイクル。
近代はというと、”少死化”からの人口増と、工業発展による人口増、ここが昭和まで。

このように見ていくと、社会保険料という名の税金徴収からの再配分というような
「小手先の政策」ではなくて、資本主義を根本から作り変える。
もっというなら本著の見出し「第10章・人口ゼロの資本論へ」
小見出しがもっと過激「少子化対策は大衆へのアヘンである」とまで。(^O^) 

全くのフラット化はできないですが、限りなく格差を縮める努力はすべきかとは思うものの
もうすぐですね「春闘」掛け声だけは立派なようですが大企業以外は、いいところ昇給は
物価上昇分には遠く及ばない。よって実質賃下げに落ち着くと思います。
よって「デフレ脱却」も怪しくなりますが、だとするといつまで経っても金融緩和なんぞは
遠い先の話、そこで怖いのは、”悪い円安”が止まらなくなること。


先日、トヨタ自動車が「4兆9000億円のビッグ(ビックリ?)利益」をアナウンス。
それを素直に喜べない私がいてね。
その利益、”悪い円安”の恩恵があればこそですし、
まだ1次下請け(例えば、デンソーやアイシン、豊田自動織機)などのサプライヤーはいいですよ、
もっと下層の4次・5次下請けなんぞは、いまだ雑巾を絞るようなコストカット
(人件費カット)を要求した積み上げの4兆9000億円の利益のはず。

あのトヨタでさえ、トリクルダウンは起きてないのだから、アベノミクスでトリクルダウンなんぞ
起きるはずがないのであって、そんなもん最初から分かり切ってることでね
あとになって「T中”新自由主義信望者であり日本に巣食うダニ”H蔵”ごときの詭弁には辟易。
で、”T中H蔵”なんぞはまだ小物、黒幕がいるってんだから困ったもんだわ。

ついでの参考ネタ:IMFに酷評された岸田総理の「血税を浪費する」経済政策…「増税メガネ」へのヤバい「ダメ出し」

これ、賢明な皆さんは騙されないでくださいね。
IMFったって内実は、財務省から出向してる”エセ役人”がIMFの名を借りて
デマを流してるだけですので。
正解は、財務省がいう真逆を行くのが日本がドン底から脱却する近道だと思って間違いないかと。
m(_ _)m