百田尚樹 著 『海賊と呼ばれた男~上・下巻』 | 国道179号沿線住民とっ散らかりブログ

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このブログをご覧の方は、お気づきでしょうが
本の紹介といえば、『時評・評論』の類ばかりで、今回の『小説』は
初めての紹介になります。
小説も読むことは読むのですが、ほとんどが歴史もの・自伝ものが多く
所謂「フィクション(作り物)」は好みではなく、あまり読まないんです。
今回の「海賊と呼ばれた男」、主人公は「国岡商店・店主・国岡鐵造」となってますが
「出光興産・創業者・出光佐三氏」のサクセスストーリーです。
いやあ、読んでいて実に面白い!!
上下巻で、およそ750ページほどの長編ですが、店主・国岡鐵造の人間の大きさ
起業家としての器の大きさが窺える描写が、丁寧に描かれており
途中で飽きることなく一気に読むことができ、終わった時の爽快さときたら・・・
何といっていいか・・・
本田宗一郎、松下幸之助、井深大&盛田昭夫、土光敏夫等、にも全く引けを取らない
人物としての大きさ、これまで出光佐三氏のことは、名前しか知らなかったのですが
氏に対して興味がわいてきました。

上巻で、終戦直後の混乱時での倒産危機と、学生時代から勤め人を経て
スポンサーから炎上を受けて起業から、1・2次大戦時に満州・外国へ打って出て
同業他社、外国企業とやり合う奮戦記。

下巻でのメインは昭和28年、英国を敵に回して、「タンカー・日章丸」を擁して
イランまで石油を買い付けに行き、英国軍艦をかわして日本に帰ってくるまでを
結構のページをかけて、書かれています。
やはり、感心するのは氏の「経営哲学」
終戦時ですべての財産を失って倒産寸前でも、社員は一人も首にしない。
勤務表もタイムカードも置いていなければ、定年も、労働組合もない。
社員をそこまで信じればこそ、不満も上がってこない。
起業時から、同業他社・取り入られた役人、外国に出れば外国メジャーと
終戦時にも、同業他社・取り入られた役人やGHQ、潰さんとする数々の嫌がらせと
妨害を受け、「もう駄目だ・万策尽きた」という時に、運良く助け船が出る
「助けねば」と思わせるところに、氏の「人間の大きさ」に魅了された人が
少なからず登場します。
復興期に、数々の同業者が石油メジャーに経営権まで取られる中
唯一「民族系石油販売業者」として、一企業の利益だけにとらわれることなく
「日本の復興・発展」を、常に念頭に置き、そのビックイベントが
「イランまでの買い付け」でした。

比べてはいけないのかもしれませんが、出光氏に比べて今の経営者の
スケールのちっちゃいことといったら!
たかが数%の関税下げるだけのTPP参加を、政治家を抱き込んで
参加した場合の副作用を勉強することなく、脳天気にしている「底の浅さ」
出光佐三氏の苦労を考えたら、どうしようもなくちっちゃい、小さすぎる!
といっても、この小説の中でも石油メジャーに経営権を取られた同業者が
役人と組んで排除に奔走する「薄っぺらい経営者」のさまは
今と同じかあ?
じゃあ、今も昔も「しょうもない連中」は、いるわけで
「人物」が全くいないのが、今の日本の悲劇なんですな。

是非是非、読んでみてください、お勧めです!!