今回、ご 登場いただくのは、忽那汐里さん。今年に入って映画や携帯電話向けドラマなど、出演作品が目白押しだ。江崎グリコ「ポッキー」のCMでも 注目される彼女は17歳の高校生。大活躍の今、出演するドラマなどについて聞いた。

忽那汐里(くつな・しおり)
1992年生まれ。2006年「第11回 全日本国民的美少女コンテスト 審査員特別賞受賞」。2007年10月からTBSで放送された 「3年B組金八先生」にレギュラー出演(金井亮子役)して以降、ドラマや映画、CMなどで幅広く活躍。2010年4月3日公開『半分の月 がのぼる空』ではヒロイン(里香)役。2010年7月31日公開の「ちょんまげぷりん」、2010年9月4日公開の『BECK』でヒロイ ン役など話題作への映画出演も控えている。女子大生役で出演しているau LISMOのオリジナルケータイドラマ「就活戦線異状あり」が配信中。公式ページはこちら
(画像クリックで拡大)

 2006年、13歳でオスカーの「第11回全日本国 民的美少女コンテスト」の審査員特別賞を受賞し、翌年には「3年B組金八先生」にレギュラー出演した。15歳で第50&51代の「ポッ キープリンセス」に選ばれ、常にマスコミの注目を浴びてきた逸材。それが、今回登場してくれるオーストラリア生まれの忽那汐里だ。

 コンテスト受賞後に日本に戻って4年。現在17歳の 高校3年生だ。映画・ドラマ畑からのオファーは引きも切らず、今年4月には「半分の月がのぼる空」(深川栄洋監督)でヒロインをつとめ、 今5月からはau LISMOのオリジナルケータイドラマ「就活戦線異状あり」で女子大学生役にチャレンジしている。このケータイドラマでは、これまでのアイドル的なルック スを捨て、眼鏡をかけ、ワンレン&ポニーテールのお堅い社会派の女子大生役だ。

――1話4分55秒(5話完結)のケータイ配信 ドラマ、全編、拝見しました。

 「ありがとうございます」。

――最初、どこに忽那さんがいるのか、わからな い感じでした(笑)。あの一見、ダサい眼鏡や髪形は監督のアイデア?

(画像クリックで 拡大)

 「そうですね。監督のアイデアです。地味な印象を与 えて、後半との差(ギャップ)をつけたいということでした」。

――ドラマの内容が経済もので「金融危機は繰り 返すか否か」がテーマの就活ストーリーでしたが、ドラマを経験してみて、金融危機は繰り返す、と思いますか?

 「今、高校3年生じゃないですか。3年になると受験 科目が優先されるので経済に関わる社会的な授業が省かれて、まったく触れる機会がなくなってしまうんです。大学生役というだけでもこれま でと違う印象なのに、ドラマでは大学4年生!で、専門的な経済用語を使う研究会のリーダー……大変でした」。

――むずかしい経済の専門用語が次々と出てくる んですが、よく覚えられましたね。ふだんニュースはどこから仕入れるんですか?

 「朝のテレビだったり…。あとは高校の英語の授業読 む英字新聞から情報を得ています。海外育ちでレベルが違うだろうと学校側が用意してくれるんです。でも新聞は、むずかしいです(笑)」。

――ケータイドラマと普通のドラマ。役者として作り方に違いを感じますか?

 「一通りの流れとしてドラマは作られるので特別な違いは、感じません。ただ短いシーンをつなぎ合わせるので、ストーリー の流れは早いな、と思います」。

――収録ペースもかなり早い?

 「そうですねえ。今回は5日間。短いナ、と感じました」。

――小さなケータイの画面用のドラマだと、見えやすいようにオーバーアクションが求められるんでしょうか?

(画像クリック で拡大)

 「えーと、やっぱり、『動きは結構つけていこう』という話を、まず、しました。リハーサルにはかなり時間をかけたのです が、リハーサルの時には、大袈裟なくらいのアクションでやりました(笑)」。

――今回のような配信のケータイドラマは忽那さん的にはどうですか?見たい?

 「あの、私はケータイで、あまり機能を使いこなせないので(笑)。ほんとに単純なメールと通話と写真だけ。あとは電車の 乗り換え案内の検索をするくらいですね。ただ「ケータイでいつでもどこでも見られるドラマ」というのは新鮮な体験だと思います。でも、私 としては映画館のような大きなスクリーンに、わざわざ足を運んで見てもらえたほうがうれしいというか…」。

――やっぱり今のケータイでは画面が小さい? iPadくらいならOKですか?

 「うふふふ…そうなると、いろいろ変わってきますよね」。

――オーストラリアのときもケータイは持っていた?

 「持ってました」。

――日本のと違う?

 「違いますね。通話とメール中心。機能がシンプル。絵文字とかないですから。すべてアルファベットで、たぶん、インター ネットに接続もできなかったような気がしますが、カメラはついていて写真は撮れました」。

――学校でケータイは?

 「一応、学校では授業中はケータイは禁止です。休憩 時間はOKです」。

――今回のドラマ「就活戦線異状あり」で面接 シーンが出てくるんですが、美少女コンテストの面接とはかなり違った?

 「そうですね。かなり違いましたね。美少女コンテス トのときは役員とのやりとりがあまりなかったし、司会の方が横にいらっしゃって、進行して行われていたので…」。

――もう4年前ですね。当時のオーストラリアの 現地新聞のインタビューでは『日本語が、まだこれから(勉強)』と書いてありました。今は、もう完全に日本語は大丈夫ですね。

 「オーストラリアにいたときは、漢字が大変でした (笑)」。

 映画「半分の月がのぼる空」も拝見しましたが、 ファーストシーンで忽那さんが出てくるところ、これまた、最初、ご本人かどうかわからない病弱だけど気の強い女子高校生…でした。

 「(笑)」。

――地はどちらなんですか? ポッキーの元気少 女なのか、映画の病弱な子なのか?

(画像クリックで 拡大)

 「両方とも極端な性格ですよね(笑)。この質問はよ く受けるんですけど、自分の中にないものは(演技としても)現れないと思っているので、どちらも自分の一部だとは思います。みなさん、 会った第一印象はポッキーガールをイメージしていらっしゃるので、暗いとか言われたりするんですけど…」。

――ポッキーの元気少女も演じられるということ は、あの要素もあるんですよね?

 「そうですね。ああいう部分もあるんでしょうね」。

――素の性格は、気が強いほう? それともひっ こみ思案なほう?

 「強い、と思います(笑)。芯はブレないようにして います。まわりの家族に対しては、多少ワガママだったりします(笑)」。

――カンガルーと育ったんだものね(笑)。

 「あ、でも、一緒に暮らしていたわけじゃないですよ (笑)」。

――シャイな女の子かな、と思ってました。

 「言えるときはきちんと自分の意見を言いますけど、 そこまで積極的に主導権握ったり進行していくようなことは、自分っぽくないなと思うので、そういう時は(仕切る人に)任せます」

――ボーイフレンドはどういうタイプがいいのでしょうか?

(画像クリック で拡大)

 「人それぞれだと思いますけど、私の感覚では、女性は男性についていくものなのかな、と思っているので…」。

――案外、古風。日本&東洋的。

 「(女性の側が)ついて行くのであれば、やはり相手の男性は、土台がしっかりしていて将来の目標などが見えている人でな いと不安です」。

 「2つの国で生活してみて、オーストラリアでは小さい頃から『自分の意見、自分の考えを持ちなさい。反対されてもいいけ ど、自分の行動には責任感を持ちなさい』とずっと教えられてきたんです。日本は守られているというか、きちんと仕切られているから、安心 は安心なんですが…」。

――オーストラリア出身だと女優のニコール・キッドマン、俳優・映画監督のメル・ギブソンがハリウッドで活躍してい ますね。ハリウッド進出は?

 「ええーっ、いきなり(ですか?)」。

――せっかく英語ができる女優さんです。

 「もう(英語は)生活言葉しか使えないんですけど」。「日米合作映画を体験された方のお話を聞くと、撮影の現場が全然 違っていておもしろいなあ、とは思います。作品の視点も外人だと違うみたいですね」。

――まあ、将来のハリウッドへの道は事務所が考えてくれるでしょう。

(画像クリック で拡大)

 「さあ、どうでしょう(笑)」。

――忽那さんという苗字は珍しい。芸名みたいですね。

 「あ…、ありがとうございます。でも、まるまる本名です。よく芸名だと思われます」。

――歌は歌っていくんですか?

 「それは、しないです」。

――女優業専念。では映画とテレビドラマ、どちらが魅力ですか?

 「映画はお金を出して足を運んで、とひと手間かかるので、大切にしたいと思います。見に来て下さるのはうれしいことです から」。

――今後はどちらに比重?

 「まあ、でも結局は出来る範囲で、負担にならない程度に、バランスよく…」。

――オファーがたくさん来る中で、選ぶ基準はあ りますか?

 「やっぱり、その作品のモラルです。テーストは作品 によって違うと思うんですが、モラルが(一本、筋が通って)あれば、メッセージが伝わると思うんです」。

――汚れ役はイヤですか?

(画像クリックで 拡大)

 「あ、それは全然。置き換えてメッセージがあればい いと思います。エンターテインメントというと、明るくて人を楽しませる、と思いがちだけど、伝えるべきものがモラルとしてきちんとあるの なら、どんな内容のものでもいいと思います」。

――日本の風土はどうですか?

 「学生の内に来てよかったな、と思うのは、(日本 の)学校を体験したことですね。小さい頃が土台作りになるじゃないですか」。

――オーストラリアと日本の学校は違う?

 「例をあげると、前へならえ、ですね。もう衝撃を受 けてしまって…」。

――オーストラリアに「前へならへ」はないんで すか?

 「ないです、ないです。日本は修学旅行で班分けとか あるじゃないですか。もうびっくりしてしまって…。日本だけですよ。きちんと整列して、生活の身だしなみというか。元々は軍隊(の規律) から来ていると聞いたんですが。そういう一つ一つ、お説教とか『こうあるべき』とか。オーストラリアでは、逆でそれぞれというか、個性が 尊重されていたので。でも、一方で、私は日本の伝統とか文化が大好きなんです。オーストラリアは歴史が二百年くらいしかないので、代々受 け継がれてきた日本の伝統文化は大切にしたいな、と思います」。

――それにしても、よく、「前へならえ」に対応 できましたね。

(画像クリックで 拡大)

 「(私は日本へ)中学校2年の3学期に来たんです が、その頃って3年生の卒業式のリハーサルをやる時期だったんです。みんなで校歌を歌ったあと、日本の国歌を歌ったんですが、私は初めて 聴くメロディと歌詞だったので、そのとき初めてカルチャーショックを受けて涙がとまらなかったんです。あれから4年たちますけどまだ一回 も日本の国歌を歌ったことがないんです。そこは自分の中で整理できない部分が残っているんです」。

――やはり、オーストラリア育ちとしては、雅 楽っぽいメロディは歌いにくい曲調でしょうか?

 「うーん。なんかまだ抵抗があるんです。メロディは きれいだと思うんですけど」

――忽那さんは1992年生まれ。花の92年組には桜庭ななみさんとか成海璃子さんとかいらっしゃいますがライバル 意識は?

 「はっきり言ってしまうと、ないんです」。

91年生まれ 北乃きい、夏帆、波瑠、前田敦子
92年生まれ 忽那汐里、成海璃子、桜庭ななみ
93年生まれ 志田未来、大後寿々花
94年生まれ 川島海荷、福田麻由子

――マスコミは競わさせたいみたいですよ。

 「(オーストラリアで)個人は個人、という考え方で育ってきたので」。

 「ナルピー(成海璃子)とは同じ学校で、常にふれあう機会はあるんですけど、この人をライバルとして、と考えても二人の 内で一番になるだけだし(笑)。考えが狭いような気がします。それより自分のレベルを常に上げていくほうが大事だと思いますね」。

――「就活戦線異状あり」と「半分の月がのぼる空」では全然違う役ですが、休憩時間の間も役に成りきっているタイプ ですか?

 「そうですね。眼鏡をはずしたりはしますけれど、休憩時間も、役としての意識は自分から離れることはないですね」。

 まっすぐな女性だ。ポッキープリンセスや変顔にも挑む器用なタイプだが、本質は「芯の強いやまとなでしこ」と見た。業界 一の注目株というポジションにふさわしい、こちらの心が洗われるような言葉遣いや清楚なたたずまいが強く印象に残った。


写真は、http://u333u.info/l3sh