まっきまきにしてやんよ -3ページ目

まっきまきにしてやんよ

吐き出さないと腐らせそうな感じなので
小説をかくことになった簀巻きブログ。

二回に分けて投稿します。お題「ランプ・ハンバーグ・眼鏡」の三つ。

以下本編。



「僕と契約して黄金のハンバーグを探してよ」

 そう言って来たのは、大して仲もよくない、クラスメイトのデブだった。

 ランプから出てきた魔人みたいな……いや、あれは少し筋肉質なイメージがあるが、こちらはただの脂肪の塊か。こちらの方が幾分か醜い。

「ほら、地図だってあるんだよ」

 デブがぎとぎとな手で、古ぼけた「宝の地図」風の紙を取り出し、ばっと広げてみせた。

 なんか、カビ臭いし脂臭い。

「僕と契約して黄金のハンバーグを探してよ」

 教室で談笑していた筈の皆が、次第に僕らへと目を向け始める。よせ、僕だってこんなデブに絡まれるのは不本意なんだ。

「また絡んでるよ、あいつ……」

 また、ってなんだ。こいつのハンバーグ勧誘は名物なのだろうか?

 満面の笑みで地図をひけらかすデブ。

 周りの目は否定的だが、僕自身、宝探しはやぶさかではなかった。宝の地図とか、厨二臭いなどと言われるかもしれないが、厨二病発症者の僕としてはロマンを感じざるを得ない。どちらかと、と言わず肯定的だ。

「分かった。協力してやるよ、宝探し」

 そう言ってやると、デブはスーパーボールみたいに跳ねて喜んだ。結構アクティヴなデブだな。アクデヴ。

「よろしく、殿谷くん!」

「よろしくな、デブ」

 デブはぎとぎとな手で握手を求めて来たが、二つの意味で衛生上よろしくないので、遠慮してもらった。




 僕、殿谷一樹(とのや かずき)と、デブ、山川太司(やまかわ ふとし)は駅前に集合していた。

 二人で地図を覗き込む。魔眼を封印するためにかけてきた眼鏡をくい、と中指であげる。僕は鼻が低いので、すぐに眼鏡がずり落ちるのだ。

「どうやら、ここがこの洞窟みたいだけど……」

 駅前のどこに洞窟があるんだよ。デブが太い指で指し示したのは、

「地下鉄じゃねーか!」

 奪い取った地図を丸めて、頭をはたいてやった。すぱーん、と小気味よく音が……鳴るはずもない。こんな古臭い紙切れじゃ。ふぁさん、みたいな頼りない音がした。

「大体、黄金のハンバーグって何だよ。まずそこに疑問を持つべきだったんだ、僕は!」

 今更すぎることだった。かと言って、一度引き受けてしまった以上は最後までやり遂げないと、無責任というものである。数日前の自分を呪いつつも、脂で湿った古地図を広げた。

 紙の古さより、書き込まれたものは比較的新しいようだ。そのことに気付いた僕は山川に疑問を投げかける。

「僕がネットで見つけたものを、写したんだ」

 ……要らぬ質問をしてしまったかもしれない。胡散臭さに拍車がかかってしまった。

「というか、ネットで見つけたなら、そのまま印刷も出来ただろ」

「古い紙に手書きの方が、ロマンを感じるじゃないか」

 それで騙された僕には何も言えなかった。

「ま、とにかく行こうよ。地図読めないから案内してくれる?」

「お前、見た目通り使えないのな」

 改めて、地図とにらめっこを開始する。まずは周辺と照らし合わせて、現在地がどこなのか確認しなければ。とりあえず、山川の言う洞窟の入り口が、地下鉄じゃないことは確かだった。

 地下鉄ではないのだが、

「デパ地下だ……どう考えてもあそこのデパ地下だ!」

 黄金のハンバーグって絶対あれだろ。財宝的な黄金じゃなくて、価値とか、品位の高さから来る黄金だろ。そんなこと、少し冷静に考えたら分かることじゃないか。ロマンという熱に浮かされた僕を、これ以上なく恨んだ。

 とことん無駄足だった。因みに僕は、牛肉が食えない。つまり、目的地に辿り着いたところで、僕には何のメリットも生じないのだ。

「……行こう?」

 そう言って、山川は僕の袖を引っ張る。やめてくれ。そういうのは可愛い女の子がやるべきだ。

「分かった……」

 こうなったら、さっさと終わらせて帰ろう。そう決意して、目の前にあるデパートへ足を踏み入れた。

 入り口から程近いエスカレーターを下り、間もなく地下へと到着する。目的のハンバーグは、どうやら精肉店の横で食すことが出来るらしい。フロアマップで位置を把握し、黙々と歩き出す。

「ここだね」

「ここだな」

 ガラスケースにずらりと肉が並ぶ横で、その肉を使用した料理を食べられる、ちょっとしたレストランもやっているようだった。有名な雑誌やテレビで紹介されていて、僕も名前くらいは知っている。

 山川は重そうな体の割りに軽い足取りで店内に入り、

「あの、予約していた山川ですけど」

 店員にそう告げる。すると店員はにこやかに、

「お待ちしておりました。お連れ様はどちらに?」

 お連れ様?わざわざ僕も数に入れていたのか。僕はさっさと帰りたいのだが。

「彼です」

「……ええと」

 たちまち店員は、困惑顔に至る。何か問題でもあるのだろうか。

「予約されていたものは、カップル予約限定なのですが……」

 問題だらけだった。

「問題ありません」

 問題だらけだろ!

 山川は真剣な眼差しで、店員に迫る。よく平然とそんな嘘がつけるものだ。僕に被害が及ぶというのに。

「は、はあ。しかし……」

「僕と殿谷くんは真剣に付き合っているんですっ!それでも駄目だというんですか!」

 色々と駄目だろ!?

 案の定、周辺の空気は凍りつき、次第にざわつきが広がり始める。名前を出されたのでは、僕に逃げ場はない。せめて知り合いは居なかっただろう、という希望にすがって、辺りを見渡してみる。二秒でクラスメイトの女子を発見してしまった。

 怪訝顔の女子と目が合っ……逸らされた。うわあああ!同時に、僕の中で何かが崩れ去る音がした。

 この後、無事に僕の分を合わせた二食分の「黄金のハンバーグ」を平らげた山川は、

「いやあ、助かったよ。女子に協力してもらおうとしても全員に断られていたし。君なら牛肉嫌いらしいから、二つ食べられると思ってお願いしたんだ。いやあ、美味しかった」

 そう言って、ほっこりした顔つきで帰宅していった。

 翌日、僕はみんなから「ホモ谷」と呼ばれ、卒業までそのあだ名が消え入ることはなく、当然彼女も出来ず灰色の学生生活を送ることとなった。

 その折、山川だけが気さくに喋り掛けるものだから、皮肉なものだと思う。

世界は順調に眠いですね。意味わからないですが観崎です。






テキトーに選んだお題を三つほど頂戴したいと思い・・・。


そのお題を全て関連付けさせて、上手いこと短編作ってみます。





お一人に投下できる数は限定しません。一週間くらい間をあければ複数個でも別にいいです。


コメントで投下して頂けるとありがたいです。特に期限は設けないので気がむいたらいつでもどうぞ。

投げっぱなしでも別に構いません。




同じお題で書いてみたよ!みたいな方いましたら、それも是非教えてぷりーず。



因みに、ブログジャンル「短編」にあるアレもお題で書いたやつだったと思います。桜と、永遠的な何か(曖昧)あと卒業式だったっけ?なんか忘れたけどそんな感じだったはず。

今見ると結構稚拙な気が。



ともかく、ネタ提供して下さる方、いましたらどうかよろしくお願いします。

ほんとテキトーな三つで構いません。

世界は順調に喉痛い回ってますね。簀巻き改め夜代さんです。ついでに腰も痛い。




リアルの友達で小説書けるようなやついるといいんですけどね。っていうかそもそも友達が居ませんがね。

アドレス変更→教え忘れ→向こうも変えるというコンボが成立し、連絡できる友達わずか4人。

やらかした。




そんなどうでもいいことはともかく、気分転換に合作も面白そうだなぁと思いました。

他人の世界にもっと身近に触れられる気がします。




ま、あくまで気分転換程度にですが。

互いを高めあえる関係が欲しいですね。リアルには望めない以上(

「珍しいな。お前が標的を逃したか」

 落ち着きを取り戻した豪鬼のもとに、一人の男が姿を現す。

 青白い肌に、細身の身体。貴族の衣装を纏い、癖なのか、長く伸びた爪同士を弾き、かりかりと鳴らしている。

「相手が悪うございました……まさか、あのような者がいるとは」

 豪鬼と言えば、未だ懐刀が眼に突き刺さったままだ。痛々しく流血し、顔の右半分はすっかり血みどろになっている。

「貸せ。抜いてやる」

 そう言って男は豪鬼へ歩み寄り、豪鬼は二回り程も小さいその男に合わせ、跪いた。

 男は淡い光を帯びた手を懐刀にかざし、そのままゆっくりと抜き取る。血液と内容物が嫌な水音を立て、豪鬼は背を粟立たせた。

「お前の手に負えぬのも当然よ。気付いたか?奴が発した闘気を」

「いえ、頭に血が上っていて、あまり……」

「であろうな。正常な状態であれば、一目散に逃げ帰った筈だ」

 妖しく淡い光を指先に集束して、それを豪鬼の潰れた眼にあてがう。すると、溢れ出ていた血が嘘のように止まっていく。痛みが引くにつれ、強ばっていた体も自然と弛緩していく。ふう、と豪鬼が一息つくと、相変わらず毒々しい腐臭が漂った。

「して、貴方にそこまで言わせる奴は、結局何者だったのです?」

「分からぬ。しかし、あやつが発した闘気には、一つおかしな気配が混ざっていた。そして、この懐刀にも、僅かながら同じ気配が残っておる」

 男がぺきり、と指先で刀を真っ二つにへし折る。刀はそのまま砂利の上を転がって、乾いた音を虚しく響かせた。

「間違いようもない。奴は何故か、神力――――神にしか使えぬ筈の力を使いよる」




 暗所での襲撃もなく、無事に命の住まう屋敷へと到着する。現在は命の部屋で「報酬」を三つほど平らげ、漸く一息ついたという所。

 帝に仕えるだけに立派な屋敷だ。どことなく神聖な雰囲気を漂わせ、風格を誇示している。

 神聖と言えば、命はぼろぼろになった服を着替えて、今は豪奢な着物姿になっている。どちらの姿も変わらず美しいが、隆久は何故か、着物姿の彼女を好きにはなれなかった。

「君は軽装の方が似合うな」

 隆久が、自分の頬についていた米粒を口に放り込みながら言う。口当たりのよい米の甘みがふわりと広がり、思わず、うまい、と漏らす。

「私も、この服は嫌いです」

 命は長い袖を振って、苦笑した。それから縁側で夜風に当たっていた隆久の後ろに座して、

「お寒うございませんか?」

 優しく問う。

 かさかさと芒が揺れ、虫の涼しげな鳴き声が風情を醸す。秋の香りを運ぶ風は、いつにも増して心地よく感じられた。

「丁度いい」

 隆久は自分でも驚くほど、柔らかい口調でそう言った。

 ふと命の方に目を遣ると、彼女は深妙な面持ちで、じっと畳を凝視している。隆久の視線に気付き、はっとなって赤面し、袖で口元を隠す。

「どうかしたか?」

「あ、はい、まあ……」

 肯定してしまう辺り、命は正直だった。

 命は一つ深呼吸をしてから、 先程とは違う、落ち着いた、よく徹る凛とした声で、

「隆久様。此度は私を救って頂き、心の底から感謝を申し上げます。本当に、ありがとうございました」

 彼女は三つ指をついて、深々と礼をした。

 隆久は目を丸くして驚き、どう返事したものか、と迷ってから、

「……よせ。俺は俺の飯のために、仕事をこなしただけだ」

「しかし私はっ……」

 絹糸のような髪を揺らして、面を上げる。

「どうしようもない恐怖から、貴方に救われたのは確かなのです!」

 その瞳から、はらりと涙が一筋、月明かりを帯びて頬を伝った。

 

「取ったぞ、隆久ぁ!」

「しまっ――――」

隆久は咄嗟に回避しようとするも、ほんの一瞬遅かった。肩口に命中し、勢いで一回転する。

いや、訂正。寸での所で回転して、回避していた。その回転運動を生かし、振り向きざま、豪鬼の右眼に深々と懐刀を突き刺す。

「取った、そう言ったな?」

「グオオオオオオオオッ!」

「お前が取ったんじゃない。俺が取らせたんだ」

 勝利を確信した、一瞬の隙。隆久は、最初からその好機を待っていたのだ。

 涙のように滴る血。豪鬼は屈辱と痛みに、悶え苦しみ、暴れ狂った。

(尤も、捨て身覚悟でやらねば、どうにもならなかったのも事実だが)

「なんだ、なんだこれは?痛い……痛い?アアアアアッ!」

 豪鬼は、痛みという感覚さえ知らないようだった。

 初めて味わう感覚に戸惑いを隠せず、痛みを誤魔化す為か辺り構わず粉砕していく。

 しかし、眼だけは鍛えられないであろうと攻撃してみたが、まさかここまで効果的だとは思いもしなかった。

 巻き込まれてはかなわないな、と隆久は錯乱する豪鬼を横目に、へたりこんでいる命に駆け寄った。なんにせよ、この場を脱するには絶好の機会である。

 彼女の顔は乾いた涙でぱりぱりになっていて、思わずくすりと笑いが零れる。

「な、笑わないでくださ……きゃっ!」

「悪いな、いいから逃げるぞ!」

 ふてくされる命をよそに、有無も言わさず抱えあげて、そのまま脱兎の如く駆け出す。

 遠ざかっていく豪気の声。

 そんな中、寒気がするような凄んだ声で、

「許さんぞ、隆久……」

 彼の耳に、その言葉だけが一際はっきりと聞こえた。

 恐らく、次に出逢った時は今回の手も通用しない。

 あれだけでは致命傷にもならない。現時点で決定的な弱点が分からない以上、あのまま逃げ果せるしかなかった。

 深手は負わせたが、果たしてこれは勝利と言えるのだろうか。

 自問するも、隆久は釈然とせず唇をかみ締めた。

「……追って来る気は無いらしいな」

「気配は感じませんが、油断しないで下さい。豪鬼は屋敷に侵入してくる時も、気配を消していました」

「言われてみれば、そうだな……。あんなに分かりやすい敵意を持っていた筈なのに」

「しかし、あの豪鬼が気配を消すなんて器用なこと、出来るとも思えない」

 命は抱えられたまま、黙考する。

「今はとりあえず逃げるぞ。どこか安全な場所は知らないか?」

「それでしたら、うちの屋敷へ案内します。あそこの守護は帝よりも強いので、下手な場所より余程安全です」

「分かった。案内頼む」

みことさんです。



まっきまきにしてやんよ


どうやってアンチエイリアス加工するんだっけorz

という情けない理由から線が荒いままですがすいません。


以下概要。



陰陽の家に生まれた長女。血の繋がっていない兄が一人いる。

家柄と名前、容姿が相俟って、神格化されたように扱いを受ける。

そのため年相応の少女という目が向けられず、孤独を感じている。

家では重苦しい十二単を着せられるが、基本的に軽装の方が好み。

自分と同じく孤独である隆久に対し興味を示し、やがて好意を抱く。

 隆久は左手で懐刀を逆手に構え、慎重に距離を測る。

 豪鬼は鈍重そうに起き上がると、その眼光を一層鋭くした。

(一撃で終わらせるつもりで斬ったんだが……)

 隆久が斬り口を凝視する。致命傷には程遠い、傷の浅さ。あれが普通の人間ならば、辺りは今頃血の海と化している筈だ。

 鋼の如き筋肉とは、もはや比喩でもなんでもない。本当に鋼の塊を斬ったかのような手応え。

(なまくらの懐刀では、先にこちらの刃がやられるか)

 慧眼を光らせ、必死に敵を観察し、弱点を探り出す。しかし、見れば見るほど、屈強そうな体は、弱点があるのか疑わしくなる。

 何せ、首元でさえあの硬さだ。人間にとっては最大の急所とも言える箇所に刃が徹らないのは、隆久にとって想定外もいい所だった。

 恐らく、皮膚という皮膚は同じか、それ以上の硬度を持っている。身体能力も明らかな差があり、全てにおいて隆久を凌駕している。その差を埋める奇襲も失敗に終わった。

 勝機は、限りなく無に等しい。

 躙り寄る豪鬼。

 互いの間合いが交差した時、両者は動いた。

「ぬおおおおおおおっ!」

 隆久は雄叫びをあげ、爆発的な覇気を開放する。

 豪鬼はそれに怯むどころか、楽しげな表情を浮かべ、その豪腕を振りかぶる。

 拳の軌道上に踏み込んだ隆久。暴風が迫り来る様な一撃が彼を襲った。

(速すぎる!?)

 豪鬼の腕を空いている右腕で弾き、僅かに軌道を逸らして回避する。

「隆久様っ!」

「大丈夫だ!」

「娘の心配をする余裕があるか!?」

「うわっ!」

 二撃、三撃と豪鬼の流れるような、且つ鋭い攻撃が次々と襲いかかる。

(攻撃の予備動作が大きい!力任せな分、読みやすくはあるが……)

 隆久に軌道を逸らされた拳が、壁を巻き込んで大穴を開ける。辺りに木っ端を散乱させつつ、なぎ払うようにして腕を引き抜いた。

 隆久は際どい所で距離を取って回避するも、木っ端の追撃までは対処しきれず、それでも眼だけは守ろうと、腕で防御する。

「!」

 腕に守られるということは、腕に遮られると言うこと。豪気はその隙を見逃しはしなかった。

 狂気に満ちた咆哮を闇夜に響かせ、今までとは比較にならない速さで突きを繰り出した。

「取ったぞ、隆久ぁ!」

「しまっ――――」

どうも、簀巻きです。世界は順調に(以下略)




ものっそい今更感漂う中、Twitter始めました。

アメーバなうは使わないので、更新情報とかたまに出る趣味全開のつぶやきを見たい方はブログ内リンクにてフォローしてください。


プロフィールの下あたりにリンク貼ってます。

 赤銅色の瞳、黄金の眼球。夜の漆黒に溶け込む、赤黒い肌。鋼の如き筋肉の鎧を纏い、背丈は命の倍以上はある。

 命はあの姿に、見覚えがあった。

(……豪鬼!?)

 低い唸り声と同時に腐敗臭を撒き散らし、ばりぼりと音を鳴らしながら、まるで果実の様に人の頭にかぶりつく。

 命のすぐ傍に転がる、首のない屍。つい先程までは、あの頭とは別々ではなく、一つだったのだろうと理解した。

 そして自身も、ああなるかもしれないと。

(逃げなければ……っ!)

 そう思ってからは一瞬だった。

 素足が木の床を強く蹴り、薄暗い廊下を勢いよく走り抜ける。

(何故、鬼がここに忍び込めた?兄様が張った結界はどうなっているの!?)

 食事中だった豪鬼は、肉を食い尽くして骨だけになった頭を放り投げ、新たな獲物目掛けて跳躍した。

 着地点には、命。彼女を獲物として、定めたようである。

 落下の勢いを生かし、着地と同時に、命に向かって強烈な縦一閃の手刀を繰り出した。

 命は横っ飛びになって、間一髪で一撃をかわす。

「ひっ……」

 鈍く空気を切り裂いてから、爆音にも近い、廊下を木っ端微塵に砕く音が聴こえる。

「きゃあああああっ!!!」

 木の破片が飛び散り、回避のために体勢を崩された命を襲う。鋭く尖ったそれは殆ど凶器に近く、晒された玉肌に細かな傷を作った。

 人間業とはかけ離れた、力任せの攻撃。巨体に似合わぬ敏捷性。抉られた廊下は姿もなく、命は血の引く音を聞いた気がした。

 逃げ切れない――――

 戦慄は命の体を支配し、足枷をされた様に動く気配がなくなった。

「い、嫌……」

 恐怖から裏返った声。

 視界が、滲む。

 彼女に死への恐怖は無い。

「連れて、行かないで……!」

 その先に、死すら生温い境遇が、彼女を待っているからである。死そのものは、彼女にとって些細なことに過ぎなかった。

「暗いの、やだぁ……一人は、嫌ぁ……」

 そしてその世界を、彼女は知っていた。

 当然だ。そこから来たのだから。

 追い詰めた獲物へと、悦に浸る様に一歩一歩近付く、豪鬼。人の胴程もある腕をのそりと伸ばして、牙だらけの口に涎を滴らせる。

「貴方なの?連れ帰る気なんてないふりして……騙したっていうの!?木伏、隆久ぁっ!」

 涙声、裏声、金切り声をごちゃまぜにした叫び。彼女の顔は、焦り、憎しみ、哀しみ。色んな感情と涙でぐしゃぐしゃだった。

 恨み言も聞く耳持たずで、豪鬼の腕は命を捉えようと、ゆっくりゆっくりと伸びていく。苦しみに喘ぐ命の姿を見て、心底楽しんでいるようだった。

 にやり、と豪鬼が怪しく顔を歪ませた時――――

 豪鬼の背後に昇る月の光に、影が射した。

 影は豪鬼の背に、音も無く回り込むと、即座に懐刀を抜き、豪鬼の首を一閃。追い打ちとして体勢を崩した豪鬼に、足払いをしかけた。

「グルオオオオオオッ!」

 豪気は屈辱からか低い唸り声を上げ、派手に転んだ。

 影は足払いの体制から、そのまま後転。命に背を向けて豪鬼から庇う様に立つ。

「騙しちゃいないぞ」

「……っ?」

 嗚咽が命の声を遮る。

「隆……久?」

「何をどう勘違いして、あれが俺だと思ったのかは知らんが……。まあいい、下がってろ。ただし――――」

 豪鬼は斬られた首元を指でなぞったり、首を回したりして調子を確かめている。

 傷は、薄皮一枚程に浅かった。

 先の一閃で、直感する。久々に苦戦を強いられることになりそうだ、と。斬りつけた左腕が、ビリビリと痺れていた。足払いをかけたのも、止めを刺せなかったために咄嗟に判断したものだ。

「悪いが、ここからは仕事だ。死にたくなければ俺に依頼しろ」

「あ……っ」

 命は、縋るような思いで、

「助け、て……っ!!」

 隆久はにやりと笑ってみせて、

「確かに、受けた。報酬は……そうだな、握り飯でも用意してくれ。まだメシにありつけていないんだ」

 月明かりに射した影は、命の希望の光となった。

年をとったと感じる瞬間 ブログネタ:年をとったと感じる瞬間 参加中
本文はここから



どうも、簀巻きです。
世界は順調に周りつつ、私の世界は明日で17周目を迎えます。
まぁ17歳です。べ、別に祝って欲しくなんか(中略。


という訳で、世界は順調に回っていますね。何周回れるかなあ。





個人的時事ネタということで、歳。初めてのブログネタとやらです。

よく(精神的に)老けてるとか顔色が悪いとか言われますけど、どうしようもない・・・。
老けてるのは昔から、顔色が悪いのは恐らく貧血です。カラオケでたまに膝から倒れます。

え?大丈夫ですよ、多分。ホウレンソウ食えよ。



しかしまあ、年をとったと感じる瞬間といっても、この歳じゃなあ。


身体の柔軟性が皆無だったり、
肩が凝ってたり(PCとゲームのしすぎ)
関節がギシギシ言ったり(末期)


……幼稚園のころはそんなことなかったのに。




でも、歳を取っていくというのは悪いことばかりでもないです。
身体的にも精神的にも若いとは言えない、一応戸籍上は16歳(失笑)の私ですが、僅かながらも着実な成長を自覚しています。
身体的にも、精神的にも。

特に内面は、年齢で成長度合いが分かる訳ではありませんが、区切りというか目安にはなります。
そうやって周囲の目は変わる。良くも悪くもね。





私は周囲からの印象の為に行動している訳ではありません。そりゃ、ほんの一部位にはなってるでしょうが。
結果は後からついてくる。


好意、羨望、憧憬、尊敬。そういったプラスの印象。
敵意、悪意、失望、無関心、そういったマイマスの印象。


全部、行動の後からついてくるものです。
「何もしない」というのも行動のうち。紙飛行機は止まってしまえば墜落します。
今はほんの1mmにも満たない前進でも、時間が経てばいつか一歩分くらいは進んでます。
進もうとすれば、風は拾えるから。





「つまずいた者を笑うな。歩こうとしないお前の方が愚かだ」


ネットでたまたま見かけた言葉。
失敗は前進であり、停滞は停滞です。


ずっと前進していれば、歳を取る度にそれだけ成長を実感することが出来る。その成長を自己満足で終わらせようが、社会奉仕に利用しようがその辺は勝手ですけど。


歳を取る=成長段階の区切り。何もしなかった人はその分、歳を取ってからヤバイ!と気付き、ツケを払うはめになる。
そうはなりたくないので、ちょっとずつでも前進して、歳を重ねて、ふとした時に


「あぁ、成長してるんだな、一応」


みたいに思えたらいいです。成長せざるを得ない状況、つまるところ現在の目標、ライトノベル作家になれればもっと満足です。






とか、色々自分理論を並べてるあたり、若干年齢を感じます。