しろがねのバイク語り -6ページ目

しろがねのバイク語り

しろがねがバイクについて試乗やツーリングの感想をあれこれ書き連ねているブログです。世にもっとバイクの情報が増えますように。

足付き微妙というところから始まったトランザルプの感想ですが、それ以外ネガなポイントは本当に無かったです。足付き、足付きさえよければ… NT1100やTracer9を差し置いてハンコ捺してただろうなぁ…

ただ足付きって発進時はもとより、信号で停車するとか交通整理で停車するとか進路に何か飛び出してくるとか景色に目を留めて停車するとか、あらゆるシーンで発生するイベントなので、ここに毎回毎回着座位置を前にずらして腰を左にずらしつつ「この角度この姿勢この地面の状況この傾きで足を付いて大丈夫か」という思考・判断リソースを割くのはマジ危ないと思ってます。ただトランザルプの感想が「以上終了」かっていうとそんなことは無いので、こんなバイクだったよ、ということは述べておきたい。

 

 乗車感

 

アイポイントがめっちゃ高い…

たぶん高さとしてはTracer9GT+ Y-AMTなんかも相当高くて大差ない気はしていますが、トランザルプはスクリーンの高さもほどほどで、視界がスクリーン越しになりません(スクリーンが視界に入るのは邪魔とか、そういう話ではないです)し、周囲の乗用車はトランザルプからすれば低い場所で蠢く物体Xです。

あとオフローダーなので当然ですが、スタンディングがアホみたいにしやすいです。結果、周りが開けていると意味もなくスタンディングして風と風景を楽しみたくなる。後続車からするといきなり前方のドライバーが立ち上がるのでびっくりしたことでしょう。

そしてハンドルが広いので、座っている時のコックピット感も下手するとNT1100より強いです。しっかりコックピットに収まりつつ非常に広い視界。これは気持ちいい。とにかく視界が広くて気持ちいいバイクなので、走ってるだけで気分爽快です。山に行きて~

 

 乗り心地

 

シートの座り心地は普通です。いわゆる上半身直立のアップライトなスタイルで乗ることになりますが、これよく楽な姿勢って言われるけどそんなことないと思うんですよね。なぜなら振動が全部腰に来るのと、上半身の重さがケツの一点にかかるから。

結果腰痛とケツ痛を誘発します。一番楽な姿勢は若干前傾で着座位置を自分で前後にずらせるシートに座ることだと思ってます。

トランザルプはハンドルが広いので、たまに前傾姿勢を取ってみたりするといいかもしれません。着座位置を後ろにずらすと不意の停車時に足付きの悪さからスッ転ぶリスクが上がるので、高速道路や自動車専用道路以外ではやめた方がよいかも(トランザルプでも足が楽々つく人はOK)

エンジンは中低速でドコドコ感がありますが、90km/hを越えると甲高い吸気音が響き始めて、あぁ今めっちゃ加速しとるわ感が爽快です。そしてどの速度域でも安定感は素晴らしいです。NT1100が105km/hからケツ穴直撃の微振動に見舞われていたことを思うと、トランザルプは振動こそあれ不快な振動はほぼ無かったです。

 

 走行フィーリング

 

けっこうオーバーステア気味かも。

ハンドルがめっちゃ切れるので、他のバイクのつもりで倒しこんでコーナーリングすると内側に入り気味です。あっと思ってアクセル捻ってえらい勢いでコーナーから飛び出すというのを3回くらいやりました。まぁこの辺は慣れの問題。

 

このバイクで龍ヶ崎市から下道を走って東筑波ユートピアへ行ったのですが、レンタル開始時に「林道とかはやめといてくださいね~」「行く予定ないっす~」とかいう会話をした気がします。

50分後「こっ、これは林道じゃあないのか… 本当にこの道で合ってるのか…」とか呟きながら必死で前方を見透かしつつ濡れたほっそい路面に積もった落ち葉の上をグラベルモードにして走る自分がいました。グラベルを使うとか思いもせんかった。前日猛烈に雨降ったからね…

結果から言うと、落ち葉の上だろうが狭隘路だろうが登りヘアピンだろうが物ともしませんでした。中型バイクだと2速でバックトルクを半クラで逃がしつつ後輪スリップに怯えて走るところですが、EクラONのままギア上下だけで走って何の不安もない。

車体もデカく見えてその実細く、ハンドルは切れるしパワーも十分というかなんならミドルクラスのアドベンチャーでパワーだけならトップクラス、21インチ90mmの大径で細いフロントタイヤが落ち葉をかき分け落木を乗り越えてガッシガッシ進んでくれます。

途中から安心感がすごかった。

 

あとは高速道路ですかね。80km/h巡航は低回転でおとなしく走っていますが、追い越しをかけようとアクセルを捻るとユニカムエンジンが吠えてトルクが湧いてきます。5速に落とすとか必要無かった。そのまま機嫌よく120km/hとかで走って行ってもどこも無理してる感がありません。そして6速だと120km/hでも大して回ってないです。3~4000の常用域レベル。振動も大したこと無いので、そのまま120km/hでずっと走っていきたい。聞いているのかNT1100。これがツアラーに求められるものだ。

 

 防風性

 

トランザルプのスクリーンは大きくて防風性が高いという人と、いや大した防風性は無いという人がいます。

今までその人が乗ったバイクの中での相対評価にならざるを得ないので、この辺はもう各自で乗ってみてくれというしかないのですが、個人的な感覚で言うとADV160に近いです(ADV160に乗ったことのある人にしか分からない表現)

高速走行時にどの辺に風が当たっているのかを調べてみると、上はヘルメット直撃。だいたい目の高さ。両サイドは腕には風が直撃している感じです。首から下、胸の前あたりは無風です。

これは脇を締めて上半身を伏せるとスクリーンの防風域に隠れることができるということで、やってみるとアクセル開度はそのままで速度がメーター読みで10km/h上がりました(これもADV160と同じ)

XL750 TRANSALP E-Clutchをレンタルして6時間 205kmほど乗りました。

コースは龍ヶ崎市から下道を走って東筑波ユートピア、道の駅かさま、ビーフライン、那珂ICから常磐道に乗って牛久阿見IC、龍ヶ崎市です。

 

下道、ワインディング、田舎の快走路、高速道路とトランザルプを余すことなく楽しむルートと言えましょうデュフフ。

ゴリラ鯨雨にさえ降られなきゃな。びしゃびしゃだよもう。

 

 Eクラッチ

 

さておいてEクラッチです。よく発進停止がノークラッチになったクイックシフターで、普通にクラッチを使おうと思えば使えると言われます。

この「使おうと思えば使える」が曲者で、Eクラッチが有効な時のクラッチレバーは遊びが大きく、かなり深く握らないとクラッチが切れません。そして握ったクラッチはEクラが切れているので半クラ操作ができるのですが、これがどこまで戻せば半クラになるのかというと、握ってクラッチを切る時とは全然違うポジションです。要するにいつもの「チョンと握って半クラにしてシフトチェンジ」が難しく、発進時など握った状態から半クラにするポジションは握る時とは違うポジションとして覚える必要があるということです。

めんどいですね。

めんどいのでもうレンタル中はちょっと通常のクラッチシフトを試しただけで、あとはずっとEクラオンリーで乗ってました。

 

左手をフリーにできる機構ということでDCTやY-AMTと比較したくなるのですが、Eクラは自動でシフトが動くことは無いので、ギアを上げるなら自分でガチャガチャ。下げる時も自分でガチャガチャ。別に6速の状態でも停止・発進はできますが、発進時6速だと6速半クラ状態なので加速がカタツムリ。DCTやY-AMTに慣れてしまうと、停車時に自動で1速に落ちないので気を付ける必要があります。

また、走り出せばクイックシフターなので、ギア抜けなどもたまに発生しますし、アクセル回したままシフトダウンしようとすると空転してガオンと吠えます。この辺、同じマニュアルシフトの自動化であるY-AMTより精度が低く、ダイレクト感も劣ると感じるところです(そしてYAMAHAのクイックシフターで言えば第二世代相当)

とはいえ足ガチャでシフトチェンジというギア車の基本はそのままに左手を解放できる機構ですから、楽ちん装備には違いないです。

恐らくホンダはこれからライダーの高齢化による事故増加対策の一環としてほとんどの車種にEクラを入れてくると思われるので、さっさとEクラの波に飲み込まれた方が楽かもしれません。

でも個人的には楽ちんを求めるならEクラよりDCTだし、ギアチェンジを楽しみつつ楽ちんを求めるならY-AMTかな。

 

 足付き

 

さて、トランザルプの足付きです。

なんでレンタルしたのがトランザルプやねんと言いますと、私はもともとツーリング中に面白そうな道を見つけると、知らん道でも細い道でも突っ込んでいくタイプです。思えばADV160ではあっちこっちの酷道を走ったもんです。

ですから、大型バイクの選定として当然アドベンチャーバイクは候補にあり、アドベンチャーかつ左手が楽なバイクとして挙がったのがアフリカツインとトランザルプとNC750X DCTでした。

ただ先にNT1100をレンタルしてしまったので、アフリカツインエンジンもDCTもNT1100で用が足りてしまったのですよね。ですからあとはトランザルプです。

前輪21インチと長サスがもたらす驚異のシート高850mm。

とはいえ845mmのTracer9GT+ Y-AMTは苦も無く乗れたわけですから、850mmだっていけるさ。

で、実車を目の前にした感想は「シートたっか…」

なんということでしょう、デカバイクのNT1100よりデッカく感じる。こんなん日本で売ってええんか。あかんやろ。股下が少女漫画に出てくるヒロインに捕食される野郎キャラクラスの長さが必要やろ。

ま、まぁサスが沈めば乗れるさ ⇒ なんともなりませんでした。

 

今までもっとも足付きが悪いと感じたのはTracer9GT+ Y-AMTですが、特筆するほど悪くはなかった。

トランザルプは悪いです。信号停止時は片足を下ろす際にシートの前方にケツポジを変えた上でさらに横にずらす必要があります。さもないと危ない。両足だとつま先ツンツンです。

これは急停止したら転んでまうやろなと思っていたら、こういうバイクに乗ってるときに限って前走車が ふしぎなおどり を おどった! しろがね は 急ブレーキ を かけた! とらんざるぷ の 前サス が 大きくしずむ! 車体が大きくかたむく! しろがね は ころんで… いやなんとかギリギリたえた!

あっぶね… もう少し傾いて重心が外に出ていたらアウトだった…

 

トランザルプは素晴らしい乗り心地を約束してくれるバイクです。エンジンも素晴らしく、Eクラも楽ちんです。

でもこれに乗って自分が暮らしている地域(恐らく交通事情は関東で最悪)の街中走りたいかって言われたらNoです。足がもう10cm長かったらな… バイクのパワー感もボリューム感も素晴らしいのに…

Tracer9GT(無印)とTracer9GT+ Y-AMTを天秤にかけてY-AMTを選択する人の大多数がACC目当てだそうです。

ACC(アダプティブクルーズコントロール)はTracer9GT+ Y-AMTというパッケージにおいて最大の特色と言っても過言ではありません。

… いや、そうかな… Y-AMTも十分特異だしな…

 

 ACC

 

さておいてACCですが、右手で車間距離調整、左手でACC始動と速度セット/速度変化を操作します。

ACCを100km/hにセットしておいて前走車が60km/hとかだと、前走車がいなくなったりカーブに入ってレーダー感知範囲から前走車が外れた途端に100km/hに戻そうと爆走し始めるので、ある程度流れには合わせてセットした方がよさそうです。

流れの良い国道、バイパス、高速道路なんかで使うには本当に便利な機能ですね。ACCセットすれば、あとは左右の手でハンドルを軽く押さえているだけでどこまでも走っていけます。まぁ周囲に他車がいると心安らかに無心で走るわけにもいかないので、油断だけはしないようにしないといけませんが。

ただ車間距離設定を最大にしてもちょっと自分には近いんだよな… 特に高速。自分はもっとガバ空けしたい。まぁすぐ前に割り込まれて「お前のための車間じゃねーよ!」って叫ぶハメになるんですが。

 

そんな便利なTracer9GT+ Y-AMTのACCですが、左手のスイッチボックスのACCボタンの位置が最悪です。最悪というか、遠い。ホーン鳴らしそうでヒヤッとするし、最悪最低と名高いウィンカーボタンの右折の山(伝われこの表現)が邪魔。

NT1100は右のアクセル側にクルコンセットを配置しているのが狂ってますが、ボタン配置そのものは悪くなかったです。

Tracer9GT+ Y-AMTはクルコンセットが左にあるのはいいですが、ボタン配置はきついです。というか左のスイッチボックスのボタン配置全体的におかしくないかTracer9GT+ Y-AMT。

最後までウィンカーに慣れなかった…

 

 防風性

 

防風性能については結論、NT1100には劣るけど十分優秀です。電動で10cm上下しますが、自分の身長だとスクリーンを一番下から一番上に上げると風の音が消えます。

ただ左右が抉れているスクリーンなので、走行風はそこそこ抜けてきます。夏は助かる… 左右にディフレクターが張り出したワイドスクリーンもオプションで用意されているので、走行風絶対許さないマンは試してみるといいのではないでしょうか。

 

ところで走行風はそれなりに感じることができるTracer9GT+ Y-AMTですが、エンジンが回っているときの足元の熱風はえらい勢いです。左足の脹脛から下は常時熱風で煽られてローストされそうな勢い。巡航時はステップに足を普通にかけていると熱がしんどいので、つま先だけステップに乗せて足を後ろに逃がしていました。正直、停まっている時より走っている時の方が熱風が辛い。NT1100よりずっとずっと熱いです。

そういえばステップの位置も悪いです。足をまっすぐに下ろすとちょうどほぼステップなので、停車時に気を遣います。絶対そのうちステップに足ひっかけて車体こかすだろうと思わせる勢い。

足回りがイマイチという言葉をこういう意味で使うことになるとは。