国王を見たその日の夜、
宿のオーナーであるオマルがベルベウの青年二人を引き連れて、夜の砂漠へ連れて行ってくれた。
これもいつも連れて行ってくれるものではないらしい。
昼とは打って変わって気温が下がる夜の砂漠。
持っている防寒具をすべて着こんで宿からすぐ近くの砂漠へ行く。
乾燥した木の枝をかき集めてもらい、夜の砂漠で火をくべる。
空を見上げると、うっすら天の川と一面の星。
満月でも新月でもなく、ここで見た月はイスラムの象徴である三日月型。
夜の砂漠で見た満天の星空。
火を囲みながら、程なくしてオマルが砂に絵を描いてある問題を出してきた。
「井戸が横並びに3つ、その対面に庭が横並びに3つ。
一つの井戸から1本ずつ、3つの庭に向けて線を引いて水の道を作る。
各井戸から3本ずつ(合計9本)の線がぶつかりあわずに、
それぞれの庭に水の道を繋げるにはどうすればいいか??」
その図を書き込めというもの。
う~む‥‥わからん。
各井戸から3本ずつ水の線を引いて8本目までは引けるが、9本目は絶対にどこかの線にぶつかってしまう。
考えていると、横で3人の砂漠の民・ベルベウ人によるジャンベと歌によるシンキングタイムのテーマ。
焚き火の火を頼りに、砂漠に書き込んだ図に夢中になりながら、
横ではターバンを巻き、独特の衣装を羽織った砂漠に住む彼らのジャンベと歌。
目をやると、その姿が焚き火にぼんやり照らされる。
空は満天の星空。
このシチュエーション半端じゃないです。
スーパーヒトシ君乱れ打ちで、"世界不思議発見"を越えてます。
結局答えはわからなかったけど、こっそり鳥肌立ってしまいました。
砂漠に描かれた井戸と庭からは答えを見つけられなかった。
だが隣にいた切れ者D君が「give me your answer」を連呼するオマルにピンと来たらしい。
「もしかしたら答えを出すのが問題じゃなくて、
解けない問題を考えさせて、またここに来たくなるようにとか、そういうことじゃないですかね?」
帰りにオマルに「Answer is nothing」といってみた。
すると彼は、「もし答えがわからないままなら、気になるだろう?」。
といったニュアンスの事を言ってきた。
「Give me "your" Answer」と言い続けていた意味は本当にこれなのかもしれない。
また、問題を出して来たとき以外に彼はこんな事も言っていた。
「俺はいつも砂漠や自然から多くを学んできた」
「自分の父親や祖先からいろんな事が伝えられ、さらに次の世代にも多くの知恵を伝えていく」
今回も若い世代を引き連れて自分の背中を見せているのかもしれない。
ジャンベを渡されて、「日本の曲をやってくれ」と言われて何もできなかった日本人と、
酔いしれるように演奏し歌った彼ら。
彼らから感じたのは生命力。
きっと子供の頃からこういう遊び方をしてきたんだな~。
砂漠の前では彼らには到底かなわない。
"砂漠からすべてを学んできた"
その言葉が物凄く印象的だった。
あの瞬間、おれが彼らに誇れるものはなんだったんだろう‥‥?
男が見て惚れる男の姿を見た。










