数日滞在したヌアディブでは、コルカタに降り立った時以来の強烈な疲労感に襲われた。
長時間外出しているわけでもないのに、とにかく疲れていた。


予定より1泊多い、3泊してヌアディブを後にし、向かった先は首都のヌアクショット。

タクシー乗り場では、夥しい数の人間がいるのに実質働いてるのは2人くらい。



09:30 タクシーに乗り込み、ヌアクショット行きタクシースタンドへ向かう。
10:15 運転手、じょっせきに大人2人、後ろに大人4人が重なりタクシースタンドを出発。



出発後間まもなくから周囲砂漠の一本道で車が壊れる。

出発する前にある程度予想できるだろう?と思える状況だったが、用意周到という感覚はなかったようだ。

砂漠の真ん中から携帯で応援を呼んで、しばらくして新しい車に飛び乗った。


車が壊れた事より、こんな砂漠の真ん中で携帯が使える事のほうが正直驚いた。
基地局があるようにも思えない。どうやって電波飛ばしてるか、砂漠の通信システムは謎が深まるばかり。



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                       <こんなとこでも車が壊れます>



途中、テント式・簡単な石造りの集落ありがあった。


家畜はヤギがほんの数頭、緑ほぼなし。
集落によっては車もなし。
周囲は見渡す限り乾いた土地。


この立地でどうやって生活しているんだ?

どうやって収入を得て、どうやって食べていっているのか、
ここまでイメージすらまったくできないは稀だった。



立地として町と町を繋いでいるのはだだっ広い荒野を走る一本の道路だけ。

中間に工場があるだけでもなく、たまに出現する10何件かのテントor簡単な石造り集落のみ。

恐らく『保障や保険』などとは無縁の生活を送っているだろう人たち。


どんな感性を持つ人たちで、何を楽しみに、何を必要として、何に心配して、

何に希望を持って生きているのだろうか?

疑問は消化されずにただ横目に車は走る。




それにしても不思議な国・モーリタニア。


見るからに資源がありそうにも思えないが、東北部ではいくらかの資源が採れるそうな。

見渡す限りの砂漠では、土地を開発して何かをするというわけでもないようで、
シンプルにカリフラワー型に盛り上がった草木と砂漠がその表情を微妙に変えていく。

旅行者も現地人も皆無の、手つかずサハラの砂丘が道路の両サイドに広がっているだけ。

約400Kmの道のりの途中に文明を感じたのはガソリンスタンド1件のみ。


まさしくここは砂漠に突然現れた国。




さてさて、それにしても国内移動なのに検問が多い。

人によっては錆付いたイカツイ銃を引っさげたポリスもいて、表向き厳重感が出ていた。
警官の服を着ているというだけで多少なりとも安心感が与えられる。


ヌアディブを出るとき3回、ヌアクショットに入る前に4回の検問。
計7回中、4回はパスポートをただ見て、なんとな~く確認するだけ。

2回は事務所らしきところに持って行き、恐らく番号メモして終了。


1回だけ、なあなあな荷物検査。
めんどくさいのかただの好奇心なのか、大きいバックパックを確認せず、

手さげにしていたボストンバックの中身だけ。

ゆっくりバックの中をまさぐりながら、
パソコンを見てニンマリしたり、まったく隅々まで見ないで、大体見て終了。


表向きは非常に厳重な警戒態勢。

秩序が保たれていないところほど、"表向き"な工程がよく目立つ。



17:45 ヌアクショットの街外れに到着。
    英語が話せるシャキール・オニールのようなドライバーのタクシーに乗車。
    直径たった1Kmしかないヌアクショットの町の中心部にあるホテルに行くだけなのに何故か迷いだす。
    知ったかぶりしていたようで、そこら中の人に道を聞きだして、ゾマホンばりの興奮の仕方で

    「遠いから倍の1000ウギア払え」とか言い出す。
    近くまで行っていたので途中で下車。
    すると、近くの人が親切に行きたい場所を教えてくれようとしたり、
    さらにその話しを横で聞いていた道端携帯電話リチャージカード売りのおっちゃんが「ついて来い」と、

    言って。
    わざわざホテルまで案内してくれたり‥‥親切をちょうだいしました。



日没後、買出しとメシを食いに外出。

世界的な某ガイドブックに『西アフリカでも随一の安全な首都』と言わせただけあって、  
大きな通りを歩いている限り特に危険を感じない。


なんの問題もなくその辺の繁盛している店へ行き、

現地のガキんちょから写メを隠し撮りされながら久々の米食にありついた。


油断はもちろん禁物だが、まさかで女性と子供の親子連れさえ歩けている。
こんなに安心して町歩きできる首都も西アフリカでコレが最後かもしれないなんて思ってしまう。


好奇心が惹きつけられるモーリタニアのヌアクショットという名の首都。

地図で確認すると、なんとも自分がここにいることが不思議に感じてしまう。



我が人生で、恐らく最初で最後の訪問。







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                 <奥に見えるのは宿泊宿の外観、そしてまだ現役の車>



アフリカ最初に滞在した町・ヌアディブ。
ざっと目にするだけでアフリカン7割、アラビック3割の割合で町が形成されているように見える。


モーリタニアの国教はイスラム教。
ここで主に話される言語はアラビア語とフランス語。


大きなメインとなる通りを宿から10分ほど歩くと、段々と町が開けていき、
小型のスーパー・八百屋・ネットカフェなどが出現する。
(最初に行ったネットカフェのスピードの遅さは、過去最低速度)



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          <こんな感じの店で買い物。何故かお客さんと店員の間にネットの仕切りがある>



すごいとこに来てしまった。


基本的な商店の規模は非常に小さく、品揃えが豊富と言えるのはアラビア系の人が経営している
小型スーパーマーケットと問屋風の店のみで、基本的に購入できるものの選択肢は狭い。


そして、それらの中規模スーパーや問屋、

機械関係など利益が見込める主となる商いはアラビア系住民主導で行われている。

誰が歩いてもわかるだろう、アラビア系住民とアフリカンとの間にははっきりとした力関係がここにはある。



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                     <家の前でヤギを吊るし切っていた>



一本道をそれると、劣悪な環境で暮らす人たちの姿がある。
はじめ見たときには、そこはスラムのようにすら見えた。


錆びれきった屋根とゴミだらけの庭‥‥。
新しく出来た何かを探すなんて不可能。

そんな景色が散らばる道を少し緊張しながら歩いていた。


すると、明るい声が聞こえる。

元の色がわからなくなっているほどボロボロの服をきている子供達が、
ゴミが散らかり、ボッコボコの広場で、完全に空気が抜けきったサッカーボールを追いかけている。


まさに不敵。


子供達が笑顔なもんで、足元に散らばってるゴミすら一瞬ただのゴミではなく、カラフルに見えるほどだった。

サッカーは世界を変える力ありだわ。


ただもちろん、見るからに生活は厳しい。
集落の合間を歩いていて、子供が持っていたボールでパス交換をしようとジェスチャーしたら、
その子は真顔で何も言わずジッと見つめながら手を出してきた。


誰が教えたのか、見て覚えたのか、物心ついて間もなくの子もそうしていた。

アジアとはまた違う背景からか、同じシチュエーションでも受ける印象が違う。



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                             <現在修理中の車>



印象が違うといえば、やっぱり植民地支配による影響が大きいと思う。
その最たるものは、やっぱり『言葉』、フランス語。


旅してて思うのは、言語ってのは、その国の文化も乗っかってるって事。
日本語で「いいえ」で断るときの決まり文句がたくさんあるように、
フランス語にも国民性を作るような言葉の"あや"がたくさん隠れているはず。


極端なことを言えば、
旅をしていて、自国語を話しているときと英語を話しているときで性格が少し変わっているような人もいた。



そして、言葉に続き『食』。

数少ない商店の合間にはフランスパンのベーカリーに人がごった返していた。
ちなみに焼きあがったフランスパンの中身はスカスカ。


ある時、見た目がくたびれた外観と『RESTAURANT』の文字があったので、中に入ってみるとビックリ。
ナイフとフォーク、グラスが綺麗にセッティングされ、

日本でもほとんど行った事ないような高級フレンチレストラン風の雰囲気だった。


外はくたびれ、中はキラキラ。

とてつもないミスマッチ。

無理にそんなんしなくても‥‥

レストランと名乗るならば、フランスのレストランと同じレベルでの意識なのか。

なんたるアンバランスさ。



ここでは、しっかりしたレストランはあっても、
アジアのように気軽に食事できる場所は発見できなかった。


これをフランス文化と呼んでいいのかはわからないし、
そもそもフランス文化なるものを完全に理解できていないからなんとも言えないが、


少なくともヨーロッパ風な意識が入り込んでいるのは確かだろう。

どこに言っても食や食堂で、その国のもつ独自性に対して微かな驚きはあっただけに。



『言葉』と『食』


これは、人の思考を作る上で切りはずせないものだと思う。

生活リズムを整える食生活、そして言葉。

それらに依存している感覚は、刷り込まれた意識下にあるだろう。


食が思考と体のベースを作り、言葉で表現し伝える。
その積み重ねが歴史となって文化を創っていく。



果たしてモーリタニアで、独自の何が発見できるか。


植民地支配を超えて、今なお残るアフリカンカルチャーに触れられるか。


どこまでアフリカは自分を映してくれるか。



アフリカの旅はここからスタート。






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換金‥英語で言えばExchange。


そう、外貨を現地通貨に換えること。

世界で日常的に行われているごくごく自然の流れ。


ここNOUADHIBOUはモロッコから南下して西サハラ地区を越え、モーリタニアに入って最初にある国内ではわりと知られた町。陸路で来た外国人が最初に訪れる町。


みんな揃ってとりあえず、やらなければいけない事。

それは監禁‥‥いや、換金。



こちらの現地通貨はOUGUIYA、(「ウギア」と呼ぶ)。
簡略して記載されると『UM』。
レートにしておよそ、3UM≒1円、300UMで約100円。


入国してまず最初の仕事である、換金をすべく言われるがまま目の前にある銀行に行ってみる。
入り口にはすでにExchangeでおなじみ、黄色看板の『Western Union』の文字が神々しくあるではありませんか。


中に入ると、みなさんのイメージする銀行とはちょっと違い非常にシンプルな見た目。
無駄に『火の用心!』とかのポスターはなく、コンクリートの壁とカウンターと、

旧式のごっついパソコンがチラホラあるだけ。


もし日本と同じならば、今日が25日で給料日だからか、なぜか人でごった返している。
銀行の中とはいえ、あまりにもアジア人の私が浮きすぎている気がしてならない。

とりあえず、アラブ系もたくさんいるが、
彼ら以外の揃って体格の良い現地の方の目線に対して、やたら意識してしまうこのメンタルの弱さ。



ラチが明かないのでカウンターに「お隣モロッコの通貨をExchangeしたい」というと、違うカウンターに誘導される。

違うカウンターでも「ここではできないから向かえにある銀行に行け」と言われる。

向かえの大きな銀行に行き、「換金したい」と言うと「反対側のカウンターに行け」と言われ、

反対側のカウンターに行くと「ここでは出来ないから向かえの銀行に行け」と言われる。



大きな銀行ぐるみで、たらい回しゲームがはじまったらしい。



JAPANサイドも考える。


もしかしたらモロッコの通貨ディラハムを換えようとしているから良くないのかもしれない。
きっとそうだ。西サハラ領土を争っている中だし‥‥。
もう一度最初に行った銀行で、US$はできるか確認しても、まったく同じ連鎖が繰り返されていた。


ぷよぷよなら奇跡の大連鎖。


銀行で換金できないなら、汎用性のない大量のモロッコ通貨ディラハムはただの紙切れ。

もしかして、この国全部アウト?そんな懸念も。


落ち込みながら、宿に戻ると一人のおっさんが挨拶してくれた。
ダメもとで、ディラハム換金できるか聞くと、「こっちへ来い」と、
おっさんのやってる埃まみれのアクセサリー屋に連れて行かれ、具体的なレートの話しになった。


この国では銀行ではなく、個人でのやり取りが基本みたい。


あまりいいレートではないが許容範囲と感じたのと、これを逃したらモーリニア無一文だ!
なんて気持ちにもなっていたので、無事換金完了。


後に知ったことだけど、飲み物・お菓子・食べ物の袋には『DH』(ディラハム)表示。
ここにある商品はモロッコから来ているものらしく、町のスーパーで普通にディラハム払いできたりして、

商人にとってはよく流通している通貨のよう。

隣の国だから頷ける。



銀行NG、スーパーでOK。



色々HOW TO が違うもんだわ。



また一つ学習。