早朝6:30ダカールを飛び立つ。


飛行機から見下ろす景色は、砂漠、乾いた山、砂漠、切り立った山の繰り返しではあったが、

そのスケールの大きさに心打たれた。

見ていたのはモーリタニアとモロッコ南部だと思うけども、文明の欠片も見れないただただダダっ広い

乾いた大地。その壮大さから、国境線なんて勝手なもんだなと改めて思う。



昼前にモロッコのカサブランカに到着した。

行きは陸路で何日もかけて来た道を、飛行機でたったの数時間。

なんともあっけない。


空港に着くと、視界に入るアラビア人になぜかビックリするぐらい安心感を感じた。

やっぱりブラックアフリカは別世界だったと再確認させられる。


ここで夜10時頃発のカイロ行きの便に乗り換える予定だが、時間が余りに余っている。


そこはさすがのRoyal Air Morocco!

格安航空券にはないサービスで、空港から離れた宿に出発まで無料でステイできるサービスがあるとな。。

言われた通り空港から無料シャトルバスに乗り込む。


そして着いたらビックリ!!


期待をいい意味で裏切る、デカイ&キレイな一流ホテル!

バックパックを背負って入るようなホテルじゃないので、ちょっと浮いてしまったけど、そこは愛嬌。


チェックイン手続きをすると、もらったのがなんとカードキー!

部屋入ると真っ白のシーツとテレビ!

シャワーの蛇口ひねるとアツアツのシャワー!

しかも、トイレットペーパーは備え付きだわ、バスタオル置かれてるわ、シャンプーまで準備してるし、わや!!


今回絶対に泊まることがないだろと思っていたクオリティーのホテルに完全に浮かれてしまう。

フカフカのベットに飛び込んでみたり。


予備になぜか持っていたディラハムを握り締め腹ごしらえをし、

出発の時間まで優雅にサッカーの試合を見ながら過ごす。



夜7時、


豪華な時間は高速で過ぎ去り、空港行きのシャトルバスに乗る。

空港一帯はダカール空港とは180℃視界が変わり、黒人の数もまばら。

もちろん、おかしな罠も特にない。

あまりに空気の変化が激しくて、ここもアフリカ大陸だということが信じられないほどだった。


時間が迫り、なんの問題もなくチェックインを済ませ、機内へ。

う~ん、スムーズ、スム~ズ。

風向きが変わった。


トントン拍子で手続きは終了し、夜10時カイロに向けてテイクオフ。

機内で爆睡してたらあっという間に時間は過ぎ、24日早朝、エジプト到着。



ついにアフリカ東サイドに到達し、エジプトから南下してルワンダを目指す。


エジプトで英気を養い、再びブラックアフリカ突入。



その前にピラミッド、スフィンクス、ツタンカーメン!!






驚愕のガンビア人宅を後にする。

早朝タクシーに乗り込み、空港傍のエリアから大使館があるダカール中心部へ向かう。


この長距離往復をかれこれ3往復。


前回発覚した売春宿は避けたいので、風の噂で聞いた別の宿へ。

航空券のチケットは、翌々日の早朝6:30発。

明日の夜中、空港に向かいたいので丸2日分の料金ではなく、

24時間+12時間の料金でグダグダ交渉し、なんとも適当にOKの返事。


一息つかぬ間に、一路エジプト大使館へ。


今まであまりにいろんな事がうまくいかなかったせいか、本当にビザがもらえるのか疑いまくり。

なんといってもインシャッラッなので、彼らが忘れちゃってたり、後回しにしてたらセネガル出国作業が振り出しに戻ってしまう。


彼らのやる気もどうせインシャッラッでしょ?


なんとも懐かしい。

受験の結果発表を思い出すような不安定な気持ちになる。

それだけ、いろんな事がことごとくうまくいかなかったし、いい加減早く出たかった。


午前9時。

エジプト大使館の門を一番乗りで通過する。

階段で二階に上がり、窓口の前へ。


かつてないほどサワヤカな挨拶をしてみると、Mr,インシャッラが半笑いでお出まし。


「I`m coming to get VISA」 というと、


半笑いのまま奥へ戻っていく。



そして、戻ってきた手には!



あっ



あっっ



あったー!!



ビザが押されたパスポート!!


神の思し召しあったらしい。



「よし!帰ろう!」 と、思ったら、ちゃっかり預けてた航空券を渡し忘れているMr.インシャッラ氏。

気づいたからいいものの、この期に及んでまだ罠が潜んでいるとは…


しかし、もう慣れたぞ。

このしょうもない展開。


うれしさのあまり、奇声を上げながら小走りで階段を下る。

すれ違うおっさん、なんのその。


宿に戻ると、「1日半の滞在はやっぱり無理だから二日分払え」と、急に宿のスタッフが言ってきて、

わざわざボスを呼んで、あーだこーだ再交渉成立。


問題多すぎ。



とりあえず疲れが限界にきて適当に昼寝をし、その後腹が減り街に繰り出す。

会いたかった路上物売りと再会し、別れの挨拶を交わす。

そのうちの一人は度重なる災難を同情してくれて、売り物のネックレスをくれた。


「お前とおれらは、おまえに問題が出てくる前から友達だったから、これぐらいは当たり前だぜ」


うれしすぎるし、かっこ良すぎ。


『いい奴ばかりじゃないけど~悪い奴ばかりでもない~♪』


セネガルではトレイントレインの歌詞が沁みる。


こういうのは絶対に忘れらんない。



逸る気持ちとは裏腹に夜はゆっくりゆっくりと更けていく。

外では相変わらず、騒々しい都会の音。


シャワーで汗を流し、必要の無いものをゴミ箱に捨てる。


夜11時。

約束だったはずの時間より1時間早く退室を迫られ、少し軽くなったバックパックを背負い宿を出る。

宿の門番をしている陽気なブラジル人にタクシーを捕まえてもらい、相場通りの3000cfaで深夜のダカールに新鮮さを覚えながら空港へ向かう。もうこれがセネガル最後の移動だと願いつつ……



夜11時30分前。

空港に到着すると、「EXCHANGE? EXCHANGE?」攻撃をかわし、セキュリティーをかいくぐる。

見慣れた空港内に到着すると、前回よりも多くのヨーロピアン達。


首に空港職員を証明するカードをぶら下げた男が話しかけてきた。


「I Can help you. You need to write departuer card.」


当たり前のように出国カードをInformationカウンターから取り出し、代わりに記載してくれる空港職員。

セネガルのダカール空港内に入るには、迷彩服を着た軍人のチェックがある為、部外者は立ち入れないようになっている。なので、この職員はフェイクではなく正式な空港の職員。


にも関わらず、おれの出国カードを適当に穴埋めし終わった後に、この空港職員が言った一言が、


「I helped you.  Now you give me money.」だった。


周りに欧米人の団体がいたにも関わらず、なんの悪びれもなく、「助けたから金よこせ」。


日本大使館に行ったときにも、空港のどうしようもないトラブルは尽きないという話を聞いていたが、

はっきりいってダカール空港内は腐敗しきっている。

意地を張るより出たい一心でコインを渡すと、「ONLY?」などとぬかし、なんとも不服そうな顔。

二度とこの空港には来ないわ。


無駄に動かず、空港の待ち合いイスにジッと腰掛ける。

ウトウトしながらも、荷物を気にし続ける事5時間。

ついにチェックイン手続きの時間。


バックパックを担ぎ、Royal Air Moroccoのカウンターの前で数人の欧米人と列を成して並ぶも一向に手続きが始まらない。予定のチェックイン時間から遅れて、突然現れた問題の空港セキュリティチェック職員と移動式チェック台。


チェックインカウンターに並んでる人をわざわざ引き戻して、空港セキュリティチェックの台に並ばせる職員。

早めにカウンターに並んでいた欧米人から非難を浴びながらも、ダラダラ遅れて来た職員は逆ギレしている。

その段取りの悪さと、お客の扱いは日本ではなかなかお目にかかれないレベルのものだった。

どうやらうんざりしているの俺だけではなさそう。


出国先のビザ確認とパスポートのコピーを取っている。

並んでいる横をガンガン割り込む欧米人。


なんなんだこの空港は…まったく…。



前回引っかかって、激論を交わしたエジプトビザ確認の順番が来た。




何回もおれのパスポート見てるけど、なんなんすか??



得意のぷ、ぷろぶれむっすか?



またっすか!?!?



もう、無理!




チェックされてる間の心境がネガティブ。



正直めちゃくちゃ緊張した。


まあ実際はスムーズにパス。


パスした人からRoyal Air Moroccoのカウンターへと並んでいく。

ここから当たり前にチェックイン手続き完了。



そして、


そして、そして、


間違いも起こらず、Immigrationで出国のスタンプを押された瞬間、

思いっきり飛び上がって喜びたかったけど、そこは紳士的に小さくガッツポーズ。 


うむ、我クールmen!


今回ばかりは精神的にも、肉体的にも、金銭的にも正直きつかった。



でも、やっとだ。


やっと抜けたぞセネガル!



出国でこんなうれしかったのは初めてだった。



主張なくして変化なし!


いざNEXT STEP。



1月23日、早朝6:30。


浮かれた青年を乗せた飛行機は乗り換えの地、モロッコのカサブランカへ向かって行くのだった。




完!

朝目が覚め、ビザgetを翌日に控えたこの日、仕事に行く前のアスから
「パスポートを持ってないから、外には出歩かないように」と言われて家でおとなしくしていた。


すると、ナイジェリアの試合に異常な興奮を示すナイジェリアンと、
サッカーアフリカネーションズカップを観戦し、一息ついた時、家のドアがノックされた。


ドアが開けられると、そこにはスーツを着た、いかにも威厳のあるおっさん。


「お前らはここに住んでるのか?」


「なぜここにいる?」


完全に怪しまれている。


話をしていると、このおっさんは家のオーナーで、アスはこのオーナーに家賃を払って借りているらしい。
そして、ここを出入りしていることを知った彼は、確認に来たようだった。

オーナーとしては、勝手に部屋貸し出しのビジネスをするのは許さんといった様子。


アスは第一婦人の村に行って今はいない。
こんな最悪な状況で出くわしたからには、追い出されることは確実の雰囲気だった。


いつどうなってもいいように荷物をまとめ、アスの帰りを待つ。

日が沈みかけた頃、アスが帰ってきて開口一番、


「ジャポネは今日家を出る」


「ナイジェリアンは明日家を出る」


そういう流れになったらしい。

最後に彼は、空港の近くにいる友人の家を紹介すると言ってくれた。


以前、一緒に家でメシを食った男の家へ。
面識もあったので、その行為に甘えることにした。


彼らの事を知るのは難しいが、アスはお金が大事と思う気持ちと、
純粋に助けたいと思う両方の気持ちが不安定に同居し、

さらに酒が入っているときと、入ってないときを含めると、大きく4つの顔を持つ男。


「この状況になって最後までHELPできなくて、Sorry」といってきた。
なかなか「Sorry」と、はっきり言う人は少ない。


この状況で、行為に甘えないのは逆に申し訳ないし、こちらとしても有難い。

金の話はさておき、ここには十分お世話になった。
100ドルでも街の宿に泊まれば5日でなくなる金額。
その上、酒を飲んでないときにはいろいろ協力してくれ、4泊も泊まらしてもらったのも確か。


家を出る前には、以前彼が着てて「ナイスだね~」と褒めた長袖をくれた。



暗くなって、酒屋の前でこれからお世話になる男と落ち合う。
酒屋の前ということで多少やな予感がしたが、今回ばかりは大人しい。


よくわからない男・アスと別れ、バトンタッチしたのはガンビア人。
テンションが異常に高く、やたら丁寧に相槌を打つこのガンビア人は、
危険はないものの落ち着きがなく変な男。


アスの家から近い、居住区の奥に入り込み、大西洋沿いに彼の寝床はあった。
アスの家が頭に残像として残っていたので、今回の寝床もまあ問題ないだろうと思っていた。
なにより、寝ることに関してはかなり天才的なので、寝袋がある今は、外だろうが多少汚かろうが問題ない。


インド&アジアの旅で、汚い環境は慣れているはずだ。


そう…… おれは慣れてる。


壁が剥がれていようが、


虫が歩いていようが、


シーツの色が変色していようが、ベットに多少人間のニオイが染み付いていようが大丈夫なおれが…



このおれが……



この俺様が……!!



臆している!!



臆してしまっている!!



ここでこのガンビア人と寝るのは……嫌だ!!



   Go For  シルバーバック      Go For  シルバーバック


廃校になった運動部の物置に、「オ~ケ~」の相槌の度に瞳孔が開くガンビア人と、

同じマットレスで寝るのは……



はうあ!



誰!?



電気の来てないこの部屋で、ろうそくの火がかすかに照らしたのは、
マットレスの上をひた走る特大のゴキブリ先生。



畜生!



ゴキブリでビビるなんて。


かすかに聞こえる大西洋の波の音。

セミダブルサイズのマットレスで部屋が埋まるほどの空間。


そこで長い長い夜を越す。



そこはさすが眠りの神降臨。

寝袋にさえ包まってしまえば、すかさず眠りの中へ。


と、安心したのも束の間、蚊野郎がすごい。

横で寝ているガンビア人は体を叩きまくっている。


寝袋の隙間を狙い続けてくる蚊に悪戦苦闘しながら、ほぼ熟睡できず夜を越す。

出発の日までいても問題ないと言ってくれているが、夜中の3時の時点でホテルに行く意志は固まった。



早朝、7時。


目覚めて起き上がっている俺を気づかってくれてか、ガンビア人も目を覚ましローソクに火をともす。


あまりにうまい英語が気になり、何ヶ国語話せるか聞くと、5ヶ国語+ローカル言語4の

合計9種類の言語を話すと言う天才肌。

半年集中すれば話せるようになるという彼に、アラビア語も話せるのか聞いてみた。

すると、無造作に置いてあったアラビア語で書かれたコーランを突然読み出す。


早口で読まれる呪文のような響きと、ローソクに照らされ、とり憑かれたような彼の表情が逆効果。

なおさら早く出たくなってしまった。


アホな事を聞いてしまった自分を責める。



そして、待ちに待った夜明け。


泊めてくれた彼にお礼を言い、バックパックを背負い明け方の町を歩く。


オ~ケ~。


さあ、街で宿を見つけて、今日こそビザGET。




part4へ続く……