5月の終わり、先生は「教育実習生」として私の高校にやってきました。
たった2週間の教育実習。初めて会話を交わしたのは1週間目の金曜日。
残りの1週間を先生と喋りたいがために懸命になった私。
その1週間で運命が大きく変わっていきました・・・
「行かないで・・・」
それからも『〇〇さん』『…』の繰り返し。
-もう、どうしようもないのは分かっている。だけど……-この胸の内も浮かんでは消え、消えては浮かんでの繰り返し。あの電話からかなりの時間が経ったのか、それともそんなに経っていないのか、あの時の私にはわかりませんでした。
それからまたしばらくして……先生はふっと息を吐きました。
そして運転席の扉を開けて外に出て、私が座っている助手席を開けました。
『〇〇さん!!』『嫌っ』『……さぁっ』
先生は後ろから私を抱き抱えるように私を車から降ろしました。
先生にひっぱられる用に外に出た私。それからもしばらくの無言の状態が続きました。そして先生が『じゃあ…』と言って、去ろうとした時、私は俯いたまま言いました。
『……付き合って。付き合っちゃえば何も問題ナィよ?』
-バカだあたし、何言ってんの?……マジで最悪だ…こんな告白の仕方……-軽いノリのように聞こえたに決まってる。でもあの時の私はとにかく精一杯で周りが見えなくて、とにかく先生を帰らせちゃダメだ!何とかしなきゃ!!という事しか頭にありませんでした。
実質一週間しか仲良くなってないのに、無理に決まってる…そんなことは分かってる。でも私は先生を好きになってしまったんだ。何も行動せずに諦めるなんて私には出来ない。何かしなきゃ・・・
でも私の思いは虚しく、先生はまた困ったままの顔をして『だからダメやって。……ゴメンな…』と言って運転席に戻っていきました。
そして助手席の窓を開けて『じゃぁ帰るね』と言いました。『せんせ……っ』私はまた泣きそうになりました。『ほら、最後に笑顔見せて!!』先生は優しくそう言いました。『…(・ω・*)』でも私はちゃんと笑う事が出来ません。『ほーら!「いーっ」て!!ねっ?』私は涙目になって多分口元だけ笑みを作りました。先生は静かに微笑んで手を振りながら窓を閉め、ゆっくりと車を発進させました。
私はその時手を振れたのでしょうか?笑えていたのでしょうか?学校での、帰りでの車内の会話が、笑い声が、そして先生の笑顔が……すべてが…全てが…ゆっくりフラッシュバックされていきました。
-先生行かないで!!!-
やがて先生の運転する車は見えなくなってしまいました。
-いなくなっちゃった…いなくなっちゃった……先生!せんせいっ!!-
私はその場にへたれ込み、放心状態になりました。
-行っちゃった。もう逢えなくなっちゃうの。。。・・・-
すると、私の携帯にメールがきました。先生からでした。
《ゴメンね、こんな男の為に泣かないで。きっと〇〇さんならすぐに彼氏出来るよ!報告楽しみに待ってるね。》
この人馬鹿だ。そんな優しいことするから好きになるんだよ。新しい彼氏とかそんな事言わないでよ!無理だよ、私には…。
涙は…涙はいつまでも止まりませんでした。
⑥月の暑い日、私の小さな…でも私なりに一生懸命だった恋は終わりました。
前編 完
通話
『〇〇さん…』先生は困った顔のまま私の方を見ていました。その時、先生の携帯が…先生は通話ボタンを押します。
『もしもし?…あっ?だから今〇〇(先生の友達の名前?)ん家寄ってるんやって!…うん…えっ?だからもう帰るって………』電話をしてきたのは先生の父親とのこと。先生は半分怒り口調で話していました。その間に私は涙を拭いて落ち着きなおしました。
通話し終えた先生。『ごめん、ほんと帰らなアカンねんて。お願い…』頭では分かっていました。よくわからないけど、電話で本当にヤバそうな雰囲気は漂っていたし…。でもどうしても降りたくありませんでした。私は下を向いたまま黙っていました。
涙②
私は……私は先生を困らせることしか出来ない。でも、こうやって困らせなきゃ先生は消えてしまう。掴んだ砂のようにサラサラとどこかに行ってしまう。そんなの……嫌だ…
『………今日がダメなら今度でいいよ。みんなにバレるのがダメならどこか遠くに…みんながいない所に行けばいいやん!』私はこの期になってもしつこくそう言ってしまいました。この時、この日遊ぶ事がどうとかではなく、二度と逢えない事を何とかして避けたい…私はそれを言いたかったのに、頭の中が混乱していたせいか、パッと言葉が思いつかず、言えませんでした。先生には多分(というか当たり前だと思う)伝わってないないと思います。それで『だからそれもダメなんやって。先生はもう大人なんや!このことがバレたら捕まってしまうし、(大人だから)新聞にも載るし、そんなことになったらウチは崩壊してしまうんや…』と言われました。
-じゃあ何故今日遊んでもいいってあの時言ったの?-私はそう言いたかったケド、
あの時何かを言ったら一緒に涙も出てきそうで…それが怖くて……喉の奥に引っ掛かって言えないままでいました。確かに私の誘いはかなり強引だったし、私は『うん』と言うまで退かなかったと思います。だけど…それでもこんなことになるなら『遊んでや』って言ったあの時に断ってほしかった。『(先生は大学生だけど)先生と〇〇さんは教師と生徒だからダメだなんだよ、ごめんね』って私が納得出来るまで断ってしてほしかった。 ……こんな事になるなら、『もう逢えない』なんて言われるくらいなら……
私は自然に涙をこぼしていました。
涙
目的地である、ある店の脇の細い道に先生は車をエンジンのかかったまま止めました。『着いたよ』と先生。とうとう着いてしまった、-嫌だ…-私の頭の中は混乱していました。-どうしようどうしようどうしよう。帰りたくない、嫌だ、もう逢えないなんてありえない-『さぁ、降りて』更に先生は言いました。『……………』私は無言で自分の足元をじっと見ていました。『〇〇さん?』『……………』先生は明らかに困っていました。『〇〇さん!…。。。(ため息)もぅ…先生どうすればいいかわからんやろ?』『………嫌ゃ。』私は小さい声で言いました。『えっ(・・?)』『…嫌や。帰りたくない(>_<。)』『(´・ω・`)………』
小学校
小学校に着いて私と先生は車内で話をしました。『12時まで な』その時の時間は11時45分。…たったの15分しかありませんでした。内容はまた週末に学校で喋ったような事でした。中でもあるアーティストの話でとても盛り上がりました。でも時間はいつまでもあるものではありません。『そろそろ帰らな…』先生は言いました。でも私は何とかして先生が帰るのを阻止しようとしました。でも先生は親に内緒で来たらしく、早く帰らなければバレると言って困っているようでした。私は最後のお願いとして、『〇〇まで送って』と、指定した場所に送ってもらう事にしてもらいました。移動中の車の中で私は自分の想いをどう伝えようか、また(無理って分かってるんだけど)先生を帰らせないようにするにはどうすればいいか、先生と車内で話をしながら頭の中はそれらのことでいっぱいでした。-どうしよう……先生帰っちゃうよ…どうしよう……-
目的地まで近づくにつれて、先生も私も段々口数が
少なくなっていきました。-嫌…帰りたくない…先生、そこに私を連れて行かないで…-自然に涙が出てきました。私は先生にバレないように帽子を深く被り、隠しました。でも、先生は信号待ちをしている時に気付いたらしく、私の方を見ました。『泣いてるの?』先生の問いに首を振りながら『泣いてないもん』と答えました。先生は『〇〇さん(私の名字)が泣くと先生も悲しくなるやろ(´・ω・`)』と私の頭を撫でながら言いました。車は少しずつ、しかし確実に目的地に向かっていきました。
逢う
美容室を出てその前でしばらく待っていると、先生が来ました。私は無理矢理笑顔を作り車に乗りました。先生は『さっき電話で後ろに座るって約束したでしょ(^^;)』って言ったけど、私は無視しました。すると先生は私に帽子を被らせました。『いつ誰が見てるか分からないからね』先生はそう言いました。車内で『もう遊べないし、これからも逢ったりしちゃいけない』という旨を言われました。メールで見たときよりも直接そう言われる方が私の胸に深く、そしてものすごく痛く突き刺さりました。-なんで?せっかく仲良くなれたのに・・・-そんな話の中で私は-過去に講師と付き合ったことがある-と嘘を言いました。もし先生が「自分達は教師と生徒という関係だから逢ったりしてはいけない」と思っているなら、その考えを変えようと思ったからです。それに、その日、私は密かに告白しようと決めていました。『教師と生徒』なんて確率が低い…というか絶対ダメに決まってるとは分かっていたけど、私は今日(遊べなかったけど)こうして先生が来てくれたことにほんの少しの希望を持ちたかったのです。 私の必死の頼み込みで、私の母校である小学校にとりあえず行ってしばらく話をすることになりました。
