【第4回再放送】が終わって市販された、

特別機動捜査隊 スペシャルセレクション<デジタルリマスター版> [DVD]

の作品から抽出しました。

市販品なのですが、東映chで再放送済みで、当方も視聴したことがあるため、過去のブログ記事に補足する形にとどめます。

 

 

※ 特別機動捜査隊 まえがき

捜査担当班の詳細については、wiki特捜隊-キャストを参照、また、(本放送)とはNETでの放送、(再放送)とは東映chでの放送を指します。出演者については配役名を略していますが、本文で書くこともあります。なお、出演者をもっと知りたいときは、リスト特捜隊で検索。

また、1963年公開の、映画版・特別機動捜査隊全2作とは趣が異なることに注意。

なお、オープニングやエンディングで配役名表記がされない作品については、従来の「発声のみの役名については平仮名表記」の原則だと平仮名だらけの文面となります。そこで役名・地名等は、検証本その他を引用、あるいは当方での当て字により、以下表記します。

配役名表記が有るため、従来の「発声のみの役名については平仮名表記」「オープニング・エンディングの表記と、劇中発声・表記が異なるときは、後者を優先」する原則に戻り、以下本文を表記します。例外は、その都度(備考)で示します。

 

☆・・・#526  ある男 と女

特別機動捜査隊(第526回)ある男と女

 

 

 

(収録DVD)・・・VoL5、disc4、2021年9月8日発売

(本放送)・・・1971年12月1日

(脚本)・・・横山保朗

(監督)・・・伊賀山正光

(協力)・・・無し

(協賛)・・・無し

(助監督)・・・徳井一行

(劇中ナレーター)・・・無し

(捜査担当・オープニング表記)・・・高倉班

田中係長(山田禅二)、鑑察医(仲原新二)、鑑識課員(田川恒夫)、

鑑識課員(西郷昭二)、関根部長刑事(伊沢一郎)、石原刑事(吉田豊明)、

白石刑事(白石鈴雄)、水木刑事(水木襄)、畑野刑事(宗方勝巳)、

高倉主任(里見浩太朗)

 

(出演者・エンディング表記)

・・・配役名を省いた、ゲスト全出演者名を以下に表記

藤竜也、加賀ちか子、藤江リカ、中庸介、中曽根公子、高木門、篠由紀、山本緑、

緑八千代、関口久美子、山口千枝、久遠利三、平井佳代、町田幸夫、松本嘉正、

本松俊彦、磯野千鳥、深江章喜

 

 

(過去のブログ記事)・・・

#526 ある男 と女

 

 

 

(補足視聴録)・・・

 

すでに(過去のブログ記事)にあらすじをまとめていますが、主な関連人物関係をまとめると、以下の通りです。

◎糸吹証券社長=糸吹ゆういち

◎糸吹の妻=玲子

◎糸吹の友人弁護士=田代

◎玲子の異母妹=美佐子

◎美佐子の実母=松尾のぶ

◎美容テーコ・マダム=早坂瑛子

◎同・女性従業員=増田恵子

◎瑛子の異母弟=弘志

 

ストーリー前半の流れがスピーディーで、ややもすると見逃してしまうため、被害者のプライベートな周辺人物のみをクローズアップしました。

なお当作は、藤竜也特捜隊出演三部作のひとつで

(1) 当作#526 ある男 と女 (脚本・横山保朗、監督・伊賀山正光) 

※高倉班

(2) #540 夜の誘惑者 (脚本・佐々木武観、監督・天野利彦) 

※三船班・DVD未収録

(3) #558 野獣の棲む街 (脚本・中山隆三、監督・伊賀山正光) 

※高倉班・DVD未収録

の順で、本放送されました。

個人的には、3作ともスペシャルセレクションシリーズに収録してもらいたかったところがあります。(2)では、幻想的世界での、かつての日活男優、藤竜也と青木義朗との対峙、(3)では、藤竜也を喰った高宮敬二の存在感・・・。そして、当作(1)は探偵小説を思わせる展開です。

 

当作のポイントは、「誰」がどんな証言をしているのか、それが正しいのか否か、であります。

ここでいう「誰」かというのは上記の関連人物であり、客観的と思われるサブの関連人物を挙げてみると、

〇美容院テーコ・女性従業員=なかの

〇同・女性従業員

〇青葉マンション・女性住人=こばやし

〇同・警備員

〇同・スナックシャドー・マスター

〇同・スナックシャドー・ボーイ

〇ことぶき荘・女性住人=すずき

〇旅館白河・女将

であり、これらの証言や鑑識結果に基づくと、ネタバレを承知で高倉班の掴んだ事件の時系列は次のようになります。

 

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☆夕方(時刻不明)

=弘志と瑛子が喧嘩、弘志は美容院から退去(なかのの証言)。

☆午後8時

=旅館白河に玲子・弘志が休憩、数時間後に2人が帰る(女将の証言)。

☆午後10時

=糸吹・恵子がアパートに帰宅(管理人の証言)。

☆午前0時20分

=アパートを懐中電灯で照らす女性を目撃(すずきの証言)。

☆午前0時30分

=瑛子が美容院から退去(なかのの証言)。

☆午前1時

=瑛子がマンションに入館(警備員の証言)、瑛子は4階に居住。

☆午前1時

=女性がマンション1階のスナックに来店、すぐに退去(マスター、ボーイの証言)。

☆午前1時20分前

=男の声で「糸吹」あて呼び出し電話有り(マスター、ボーイの証言)。

このことから、前述の来店女性は玲子と推定される。

☆午前1時20分

=4階の瑛子の部屋で、瑛子の刺殺死体を発見(3階住人のこばやしの証言)。

鑑察医の所見と上記までの証言から、死亡時刻は午前1時-1時20分と推定される。

☆午前3時

=高倉班の、なかの、こばやし、スナックマスター、スナックボーイ、警備員への聞きこみが終了。

☆早朝(時刻不明)

=故障中のエレベーターから出てきた糸吹が車で逃走。目撃した畑野・水木が特捜隊車両で追跡。

☆早朝(時刻不明)

=畑野・水木がアパートの部屋で糸吹を確保。その部屋内で、恵子の絞殺死体を発見。後の司法解剖で、死亡時刻は午前0時30分-午前2時と推定される。

 

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これに、◎で記した主な関連人物たちの証言を組合わせていくと、なかなか面白い現象になります。初見となる方は、あれよあれよと流れる展開に驚くとともに、いったい主な関連人物たちの証言のうち、誰が真実を述べ嘘をついているのかというパラドックス的な面白さにも魅かれると思います。普通に観賞しているだけだと、上記のベースとなる部分がぼやけてしまいますので、後は、各人が観賞されて◎の関連人物がどのような証言をするのか、肉づけをしていただければ幸いです。

ただ、「ある人物」が2人の人物のことを語るとき、脚本がそうなっていたのか、演者が台詞を言い間違え誰も気づかなかったのか、名前を混同している場面が有ります。この点は、注意深く正誤を見極め、上記時系列と参照していただきたいと思います。

 

そして(過去のブログ記事)にも書いた通り

>シーンのつなぎが悪いのか、後半になってから出たとこ勝負の場面展開には少し

>食傷気味。

というのが自分の所感のため、各人の観賞により感想は異なると思います。

すなわち、探偵小説的趣向の「材料」を詰め込むだけ詰め込んだ構成であり、高倉主任が掴んだキーポイントから解決に向かうスタイルに、頷かれる方もいれば、首を傾げる方もいることでしょう。

この点でいけば、直前作の#524 ドルショック【スペシャルセレクション】 で思想的対立をみせた高倉主任と畑野が、犯人指摘の点で微妙な視点の違いを描写しているのも面白いところです。ちなみに当作内で、畑野が高倉主任に対し、高倉班が揃う中では「主任」と呼び、2人きりのときはオクターブを下げ「高倉」と呼んでおり、効果的だと感じました。

 

さらに、(過去のブログ記事)での繰り返しになりますが、

>三船主任(青木義朗)だったら事件をどのように解決していたのか

というのも考えると面白い。4階から降りる方法は、エレベーター、屋内階段、非常外階段の3通りがあり、そこから考えると「エレベーターにある、とある状況」に気づかないはずはなく、現場百回の三船主任なら気づいていたはず。

そして、藤竜也、深江章喜、山田禅二という日活アクション映画を支えた男優たち、そして、今回の高倉班は関根・畑野・石原・水木・白石と三船班そのものという設定から、もし三船主任というより青木義朗を登場させていたら・・・と、久々の再見ですが感慨深いものがありました。