※ 特別機動捜査隊 まえがき

捜査担当班の詳細については、wiki特捜隊-キャストを参照、また、(本放送)とはNETでの放送、(再放送)とは東映chでの放送を指します。出演者については配役名を略していますが、本文で書くこともあります。なお、出演者をもっと知りたいときは、リスト特捜隊で検索。

また(出演者)は、エンディングで、一列~三列で表示された男優・女優に限定しました。

 

【#558  野獣の棲む街】

 

(本放送)1972年7月12日

(再放送)2016年4月7日

(脚本)中山隆三

(監督)伊賀山正光

(協力)無し

(協賛)無し

(捜査担当)高倉班

田中係長(山田禅二)、鑑察医(仲原新二)、鑑識課員(田川恒夫)、

鑑識課員(西郷昭二)、松木部長刑事(早川雄三)、浜田刑事(矢吹渡)、

鷲見刑事(柴田昌宏)、笠原刑事(伊達正三郎)、高倉主任(里見浩太朗)

 

(出演者)

藤竜也、北川美佳、美弥たか子、橋本菊子、鴨田喜由、直木みつ男、森今日子、

片山滉、高宮敬二、武藤英司

 

 

(あらすじ・予告篇から) 

※当時のナレーションをそのまま聞き写しています

 

真夏の大都会、東京が狂いだす夜、

ネオンの海が広がる街に、野獣が仮面を脱ぎ捨てるとき

「危ない!」

あなたのそばに忍び寄る悪魔の顔・・・。

その時、高倉主任の目が光る!

若い女性が次々に襲われ、不気味な魔手が今宵(コヨイ)も・・・。

この物語は、

人間の弱さ、脆(モロ)さ、そして醜き欲望を徹底的に追及した、

サスペンスドラマである。

次回、「野獣の棲む街」、高倉班の活躍に御期待ください。

 

 

(備考)

・早川雄三演じる松木部長刑事、矢吹渡演じる浜田刑事が、それぞれ初登場の回。

・次回予告篇での、青木義朗のナレーションが無くなる(#556での次回予告篇自体が無かったため、青木義朗最終ナレーションが#555か#556かの、いずれ次回予告篇だったかは不明)。

・エンディングで課長=片山滉と表記されるが、該当場面見当たらず。

 

 

(視聴録)

新宿のクラブやまぢのホステス・高木秀子(美弥たか子)が、早朝6時30分、渋谷公園博物館裏で撲殺死体となって発見された。死亡推定時刻は深夜の午前2時ごろ、死因はスパナのような物で一撃された頭蓋骨骨折。特捜隊・高倉班にクラブのママ・さわだ(森今日子)、バーテン・村川(関戸純方)は出頭、秀子の男性関係で青山興業社員・石田精吉(榎本英一)、吉岡プロダクション社長・吉岡哲(山野史人)、坂本探偵社社長・坂本章三(高宮敬二)の名を挙げる。そして昨晩、秀子はヒッピー風の来店客を田沼つとむ(藤竜也)だと叫び口論していたこと、そのあと午後9時から9時30分の間に、来客していた坂本と店を出たと証言した。

 

坂本に聞いてみると、昨晩午前0時ごろ、2人とも酔って秀子のマンションに戻ったところ、何者かに後頭部を殴られ朝まで気を失い気づいた管理人が連絡、病院で治療を受け、秀子のことはわからないと答えた。しかし、田沼の勤務先・泰西商事の鏑木常務(武藤英司)の娘・順子(北川美佳)から、交際中の田沼の素行調査を依頼されていたことは黙っていた。

 

さらに秀子の葬儀に、銀座ホステス時代の同僚・みうら(建部道子)が弔問。妹・たえこが昨年2月に睡眠薬自殺をしてから、秀子の生活ぶりが変わったことを聞き出す。高倉班は、被害者・秀子の線、重要参考人としてマークした坂本の線、並行して捜査に当たるが、そこに共通した人物が浮かび上がってくるのだった・・・。

 

当作は、藤竜也が(便宜上の表現ですが)特捜隊ゲスト三部作で

#526 ある男 と女    

脚本:横山保朗、監督:伊賀山正光、高倉班、1971年12月1日初放送

#540 夜の誘惑者       

脚本:佐々木武観、監督:天野利彦、三船班、1972年3月8日初放送

に続く、最終作になります。

 

#526が推理ミステリー路線、#540が過去の不気味な因縁路線、そして当作#558は現代的犯罪路線、という感じでつくられたと推察しますが、三作のなかでの出来は正直、当作が一番面白くないと感じました。その要因は、一重に、見ていて感情移入しにくい藤竜也演じる田沼のキャラにあります。逆に言えば藤竜也が、自分本位の田沼のキャラを上手く演じたともいえるのですが、これは立石班・藤島班時代の「事件」を軸に置くスタイルなら成功したでしょう。

しかし、新生・特捜隊で「人間」に軸を移すスタイルでは、多分に視聴者の共感~犯罪発生原因への大義名分がないと、納得はしにくいと考えます。

 

それでも、探偵・坂本を演じた高宮敬二が実質的な主役ゲストとなっているところ、特捜隊としてなんとか奏功しています。ずる賢い探偵でありながら、仕事は仕事とこなし、高倉班とは別の思考で事件解決の一端となるところはなかなか捨てがたいところ。まあ、欲に走る人間へのお仕置き的場面もあるのですが、カット数は藤竜也よりもたぶん上だと思います。

ただ、格闘場面から逮捕場面に至るまでが省略しすぎということ、襲われた時刻が死亡推定時刻と一致していないところなどマイナスではあるのですが、高宮敬二のいいとこ取りもあり、なんとか見れる作品となっています。

 

藤竜也が当作を最後に特捜隊から離れたのも、もしかして主役を喰われたと思ったからかもしれません。また、高宮敬二からしても、年齢・芸歴からも先輩であり、新東宝が潰れなかったらハンサムタワーズでまだまだスクリーンで活躍していた意識があったのかもしれません。映画「仁義なき戦い」で、菅原文太と対照的で物静かなやくざを演じてオヤッとさせたのは、当作の翌年のことです。近年の高宮敬二は、YouTubeで2012年ごろ(79歳)の姿を見れることができますが、好々爺になりながらも目は俳優そのものでした。

 

(追加)

また、田沼に恋い焦がれる順子役を演じたのは北川美佳。数年前、高橋ジョージと離婚した三船美佳のお母さんです。といいながらも、自分自身は北川美佳が現役バリバリの頃の作品は思い出せず、wkiを見ても出てたかな?となかなか頭の中の引きだしから出てきません。当作を見ると美人の部類なのに不思議です、特捜隊には以後未出演のようです。

 

(2017年12月31日 全面追加)