【第4回再放送】が終わって市販された、

特別機動捜査隊 スペシャルセレクション<デジタルリマスター版> [DVD]

の作品から抽出しました。

市販品なので、

(あらすじ)などストーリーの本質にかかわるところは伏せ、

スタッフやキャスト、また(備考)・(ネタバレしない範囲での一般的感想のみ

にとどめます。

将来、東映chなどで、一般的視聴されるようになったら書き加えていく予定です。

 

※ 特別機動捜査隊 まえがき

捜査担当班の詳細については、wiki特捜隊-キャストを参照、また、(本放送)とはNETでの放送、(再放送)とは東映chでの放送を指します。出演者については配役名を略していますが、本文で書くこともあります。なお、出演者をもっと知りたいときは、リスト特捜隊で検索。

また、1963年公開の、映画版・特別機動捜査隊全2作とは趣が異なることに注意。

なお、オープニングやエンディングで配役名表記がされない作品については、従来の「発声のみの役名については平仮名表記」の原則だと平仮名だらけの文面となります。そこで役名・地名等は、検証本その他を引用、あるいは当方での当て字により、以下表記します。

配役名表記が有るため、従来の「発声のみの役名については平仮名表記」「オープニング・エンディングの表記と、劇中発声・表記が異なるときは、後者を優先」する原則に戻り、以下本文を表記します。例外は、その都度(備考)で示します。

 

☆・・・#325  金色の天使の矢

特別機動捜査隊(第325回)金色の天使の矢

 

 

(収録DVD)・・・VoL4、disc2、2021年3月10日発売

(本放送)・・・1968年1月17日

(脚本)・・・西沢治

(監督)・・・北村秀敏

(協力)・・・警視庁

(協賛)・・・湯沢温泉観光協会、湯沢東映ホテル、ロックスキーK.K(風間製作所)

(助監督)・・・小島裕重

(劇中ナレーター)・・・島宇志夫

(捜査担当・オープニング表記)・・・立石班

西本捜一係長(鈴木志郎)、鑑察医(仲原新二)、鑑識課員(上田侑嗣)、

鑑識課員(新田五郎)、事務員(佐藤敏子)、橘部長刑事(南川直)、

桃井刑事(轟謙二)、荒牧刑事(岩上瑛)、岩井田刑事(滝川潤)、

松山刑事(松原光二)、森田刑事(北原隆)、立石主任(波島進)

 

(出演者・オープニングまたはエンディング表記)

・・・劇中優先のため配役名表記を省略

真理明美、加茂良子、吉田豊明、三上左京、松本染升、磯村千花子、橋本菊子、

笹川恵三、牧かほる、山田晴男、辻清子、吉原正皓、片山滉、山下貴絵、貫恒実、

郷希理沙、久保比左志、大美純子、宍倉るみ、榎本英一、大阪憲、片山由美子、

飛世賛治、藤田千賀子、三枝由佳、大島まり子、原本淑子、伊東秀朗、三浦伸一、

園部勝、広瀬浩一、志麻アイ、仁木多鶴子、太刀川寛

 

 

(あらすじ・予告篇から)

・・・ ※当時のナレーションをそのまま聞き写しています。

 

白昼、ビルの裏階段で、若いサラリーマンが何者かに殺害された!

凶器は、美しい金色(コンジキ)に輝く弓矢だった。

そこには、ミス雪山の栄光を勝ち取った社長秘書と、

同じ会社に勤務するオフィスガールとの間に繰り広げられる、恋のさや当て・・・。

そして、女を喰いものにする男と、女にもてない男の争い・・・。

大都会の一角に起こった事件は、雪の国、越後湯沢へと進展していく。

雪深い湯沢を背景に、儚く散っていった愛情と、

特捜隊・立石班の活躍を描く、「金色の天使の矢」!

 

※ストーリーの本質に触れる部分はボカします。

 

 

(備考)・・・

・題名の「金色」は、ここでは「コンジキ」と読む。

・オープニング、エンディングの表記の筆跡が、通例とは違い、筆記体風になる。

・エンディング表記の「和枝=辻清子」は、津路清子のこと。一時改名か?

・エンディング表記の「マリ=志麻アイ」は、#317 秘められた怒り【スペシャルセレクション】 でケティ宮川を演じた「志摩あい」のこと。ボーリング場での三つ編みの女性を演じている。

・滝純子を演じた真理明美は、当作の翌年、プレイガール(1969年4月7日-1974年9月30日)の初期レギュラーのアケミ役で出演、代表作のひとつになる。エンディング表記には、奇しくもプレイガール後期レギュラーで、ユミコを演じた片山由美子の名もみえるが、出演場面は見つけることが出来なかった。なお、真理明美は2017年8月8日に逝去している。

・ネット検索すると、長谷あけみを演じた加茂良子は、声優・広川太一郎(2008年3月3日逝去)夫人。また、1972年の「週刊女性、広川・加茂良子夫婦対談」に、この前年(1971年)結婚したという記事があるともいうが、当方未確認のため指摘のみにとどめる。

・飯塚文代を演じた仁木多鶴子は、#316 北国の女【スペシャルセレクション】 にも出演、大映出身の女優。詳細は、「映画が中心のブログです! 2014年10月20日記事」を参照。当作のあとに大映映画「第二の性」に出演、大映倒産時には引退していたと思われる。

・おがた実を演じた三上左京は、かつて#539 ある恐怖 で現在は舞台朗読グループ「沖縄可否の会」主宰者と書いたが、その後2020年4月の逝去が明らかとなった(沖縄タイムス・2020年8月4日 05:00記事参照)。

・後年、石原刑事を演じる吉田豊明が、片桐明役でゲスト出演。

・当作で越後湯沢温泉にある東映ホテルは、現在でも営業中で、HPによると

>昭和35年10月1日東映㈱は上越国境の名湯として古くから知られる

>新潟県越後湯沢温泉「湯沢観光ホテル」様を譲り受け「湯沢東映観光ホテル」と

>してホテル業界に参入致しました。その後「湯沢東映ホテル」に改名

>以来、皆様のご愛顧を賜り60周年を迎える事が出来ました。

とある。当作映像とHPとを比較すると、改築あるいは新築のあとがみえ、当作当時の面影を見い出すことは出来ない。

・検証本178頁には、「滝明美(真理明美)、朱美(加茂良子)」とあるが、観賞すると以下本文の通り、「滝純子(真理明美)、長谷あけみ(加茂良子)」が正しい。さらに著者・羊崎文移は、「滝純子」「滝明美」の複数の書き方を記し、「誤植」「"双子の姉妹"という設定」などの可能性を述べている。しかし、資料ソース(新聞名、雑誌名など)を明らかにしていないため、著者が資料転記時の誤字脱字を後日の執筆時に気がついたものの、その違いを思い出せずに複数の書き方を記した可能性も有り得る。

 

 

(視聴録)・・・開始約分半まで

(ネタバレしない範囲での一般的感想)

主な関連人物をまとめますと以下のとおりです。

(演者は・・・の次に、判明出来る俳優名を表記)。

 

 

〇ダイアン建設・社員・片桐明・・・・・・・・・・・吉田豊明

〇同・片桐の同僚

〇司貿易・社長・黒沢・・・・・・・・・・・・・・・太刀川寛

〇同・社長秘書・滝純子・・・・・・・・・・・・・・真理明美

〇同・社員・長谷あけみ・・・・・・・・・・・・・・加茂良子

〇同・屋上のコーラス部社員(男3人、女4人)

〇同・屋上で訊問される社員(男2人、女2人)

〇司貿易が入居する司ビル・管理人

○雑誌女性ウィークリー・記者・飯塚文代・・・・・・仁木多鶴子

○同・編集長

〇純子の母・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・磯村千花子? 橋本菊子?

〇純子の友人・喫茶店マダム・銀子   ・・・・・・・・宍倉るみ

○文代の友人・美容室マダム

〇事件通報の和服女性

〇片桐のアパート緑荘の住人女性(6人)

〇文代のアパート白井荘の住人女性・・・・・・・・・辻清子

〇レストラン・ボーイ

〇ちどり洋裁店・女性店主

○流し(男2人) ・・・・・・・・・・・・・・・・・広瀬浩一、他

〇鍵業者

〇清掃会社・社長   ・・・・・・・・・・・・・・・・笹川恵三

〇同・社員・おがた実・・・・・・・・・・・・・・・三上左京

〇越後湯沢温泉・駐在所警官・・・・・・・・・・・・片山滉

〇同・三谷村消防団団員・・・・・・・・・・・・・・吉原正皓

〇同・東映ホテル・フロント(男女2人)

〇同・東映ホテル・ボーイ・・・・・・・・・・・・・大阪憲

〇同・東映ホテル・ボーリングを楽しむ女性・・・・・志麻アイ

 

 

帰宅途中の和服女性が、ある日曜日、あるビルの円筒形らせん式の非常外階段の上から、男性が落ちてきたことに遭遇。急ぎ通報したことが、事件の発端であった。

「通報を受けた特捜隊・立石班は、直ちに西銀座ダイアンビル裏の事件現場へ急行した」(ナレーションから、訂正無しで抜粋)

鑑察医は、男性は階段からの墜落死、顔・手足の多くの傷は墜落時の打撲で、不審な点は見当たらないと立石主任に所見を報告。

「身分証明書によって、墜落した男は、このダイアンビル内ダイアン建設に勤務する片桐明・24歳、住所は高円寺のアパート・緑荘と判明した」

(ナレーションから、訂正無しで抜粋)

さらに通報者は、階段の上には誰もいなかったことを証言。階段上を調べていた荒牧からは異常無し、路地を調べていた岩井田からは事件に関連しそうな痕跡は無し、橘も殺人の線は出そうにない、とそれぞれ立石主任に報告。これらから、立石主任は足を踏み外した事故の線を考え、あとを所轄署に任せて引き揚げようとしたところ、階段下の溝を調べている松山から声がかかる。どうやら、溝で金色の矢を見つけ、矢じりに血痕かあったことから、これが事件の原因と考えたようだった。そこで、立石主任は、橘・荒牧・松山と階段を上り、墜落したであろう場所を再確認。そして、荒牧はここに矢が飛んできたならと、隣接する司ビルを指差す。

 

「直ちに立石主任は、橘部長刑事とともに、ダイアンブルに隣接する司ビル内の捜査にあたった」(ナレーションから、訂正無しで抜粋)

司ビル管理人の案内で、司貿易社長室に案内してもらうと、立石主任は来客用テーブルに金色の弓と矢を発見、さらに社長室の窓からは、片桐が墜落した階段が丸見えだった。

管理人によると、社長・黒沢から、その弓矢を壁の写真額縁の下に飾っておくよう指示されているとのことであった。また、その写真は社長秘書・滝純子がミス雪山コンテストに優勝したときのものであり、その弓矢も一緒に写っていた。そして、社長室の鍵は自分以外にも純子が持っていること、先ほど純子の姿を見かけたことなども証言する。

「凶器に使ったと思われる弓矢の発見によって、立石班は事件に対する他殺の疑いを深めた」(ナレーションから、訂正無しで抜粋)

立石主任は現場に立ち還り、特報隊本部待機中の桃井を除いた5人と、捜査の打合せを行なう。ダイアンビルへ聞きこんだ岩井田によると、片桐は越後湯沢へのスキーの帰りで、会社のロッカーに忘れ物をしたらしく、本日やって来たということだった。これに橘は、純子も日曜日なのに社長室にきたことが気がかりで、もしかして、片桐と純子との間に繋がりがある可能性を考える。

 

「直ちに立石主任(註・森田も同行)は、被害者・片桐明と司貿易の社長秘書・滝純子の関係を洗うため、芝・高輪の純子の自宅に向かった」

(ナレーションから、註をつけて抜粋)

母親によると、純子は休暇をもらい越後湯沢にスキーに出かけていたが、今日の昼ごろ、急に帰宅。そして帰って来た途端に、誰かからの電話を受け、すぐ出かけたということが判明。また片桐という名に、母親は心当たりがないということだったった。

 

一方、橘・岩井田は、ゴルフをしているという司貿易社長・黒沢のもとを訪れる。

しかし、

「被害者・片桐明と滝純子の関係を、黒沢社長から聞き出すことはできなかった」

(ナレーションから、訂正無しで抜粋)

そして、黒沢は、あの矢が殺人に使われたとしたら、純子もたまらない気持ちだろうと同情すると、プレーを再開。収穫無しかと退席しようとした橘・岩井田に、黒沢のプレーに同席していた社員・長谷あけみが声をかける。

どうやら、純子は片桐に脅迫されていたようで、先日、会社の外で2人を見かけた話をする。黒沢を慕う純子だったが、片桐から過去の関係を黒沢に話す、話されたくなければコンテスト優勝賞金を手切れ金として要求。これに純子は渋々了承するようだったが、怒りもあり金色の矢で殺してやると片桐に言い放ったということだった。しかし、純子には黒沢との結婚願望が有るものの、殺人にまで及ぶことはないと、あけみも純子に同情的であった・・・。

 

 

その後、特捜隊本部待機中の桃井から、立石主任に片桐の解剖結果を無線連絡。死亡推定時刻は午後1時、死因は墜落による脳挫傷、右こめかみの傷は墜落時に階段の角に当たった傷と、矢じりによる深さ1cmほどの突き傷とが重なっていたということでした。さらに、社長室の弓矢から4種類の指紋が検出も、すべて前科者リストに無かったことも報告されます。

あと、上記本文の前に、例により「立石班の知らない序盤の場面描写」があるのですが、これは犯人指摘にも関わりがあるので、今回は敢えて伏せておきます。当作の主眼点は「犯人探し」にあるといってもよく、この序盤描写が観賞する側に先入観を与えるものか与えないものか、興趣にも影響があるかもと考えた結果であります。

だからといって、序盤ですべてネタバレになっているわけではなく、観終わって一考してみると、触れない方が良いかなと思ったからです。まあ、考えすぎといわれればそうなのですが、個人的には序盤の場面描写は挿入せず、いきなり上記本文のスタートで良いかと考えます。

 

このことは、立石班の知らない場面を、視聴者あるいは犯人側だけが知っており、これを終盤近くになってようやく立石班が気がつくという、刑事コロンボ風タッチは特捜隊に不要と自分が考えているのとも関連します。この点でいくと、当作は刑事ドラマとして、狙いはわかるものの及第点は与えにくいということにもなります。

このことは

(1) 橘の盗聴作戦

(2) ある人物の証言から松山の参考人特定

にもいえることです。(1)は、そもそもどこに盗聴装置を仕掛けたのか明らかにされず、そこまでする意図がわかりにくい。(2)は、松山の主観的要素が強く、これで特定されたとあっては、世の中は無法地帯になるとも。。。

 

その他、「こりゃアカン」と指摘するところは多々見受けられ、これが以前、器用な北村秀敏監督でも、たまに気が抜けたような演出になると触れたところでもあり、当作ではこれが如実にあらわれた結果となってしまいました。これは人間ドラマの点でもいえることなのですが、ある程度事件の真相が明らかになって残り5分、越後湯沢の大雪原で、もう少し工夫をすれば犯行動機と重なり、上手く昇華できたということにも繋がります。

具体的には、見上げた先に、「ある人物」のほかに「身近な人物」もいた形にすれば、より悲劇的な結末、転じて勧善懲悪的な結末に結びついたと思うのです。ただ、このことが後年どのように北村秀敏監督に影響を与えたのか、#485 蒸気機関車と女 のラストと比較すると非常に対照的であり、興味深いものではあります。

ですので、今回の当作評価は、どうしても辛めにならざるを得ませんでした。

 

さて、作品の評価とは別に、今回のゲスト出演者には、(備考)で触れたように興味ある俳優さんたちを多く見かけました。ただ、50年以上前の作品ゆえ、鬼籍に入られた方々が多いのも事実。特に、片桐を演じた吉田豊明、どちらかというと三船班の石原刑事の印象が強い俳優さんですが、wikiではついに

>2018年現在、関係者と連絡が取れない状態となっており、一般社団法人・映像コン

>テンツ権利処理機構の不明権利者のリストに掲載されている

とされてしまいました。よくいう脇役俳優のひとりではありますが、15年以上も続いた刑事ドラマのレギュラーとして過半を過ごしたことで、もっと注目されてもいいように感じます。それゆえ、不明権利者のリストに入っているというのは残念なことであります。。。