【第4回再放送】が終わって市販された、

特別機動捜査隊 スペシャルセレクション<デジタルリマスター版> [DVD]

の作品から抽出しました。

市販品なので、

(あらすじ)などストーリーの本質にかかわるところは伏せ、

スタッフやキャスト、また(備考)・(ネタバレしない範囲での一般的感想のみ

にとどめます。

将来、東映chなどで、一般的視聴されるようになったら書き加えていく予定です。

 

※ 特別機動捜査隊 まえがき

捜査担当班の詳細については、wiki特捜隊-キャストを参照、また、(本放送)とはNETでの放送、(再放送)とは東映chでの放送を指します。出演者については配役名を略していますが、本文で書くこともあります。なお、出演者をもっと知りたいときは、リスト特捜隊で検索。

また、1963年公開の、映画版・特別機動捜査隊全2作とは趣が異なることに注意。

なお、オープニングやエンディングで配役名表記がされない作品については、従来の「発声のみの役名については平仮名表記」の原則だと平仮名だらけの文面となります。そこで役名・地名等は、検証本その他を引用、あるいは当方での当て字により、以下表記します。

配役名表記が有るため、従来の「発声のみの役名については平仮名表記」「オープニング・エンディングの表記と、劇中発声・表記が異なるときは、後者を優先」する原則に戻り、以下本文を表記します。例外は、その都度(備考)で示します。

 

☆・・・#252  雷雨

特別機動捜査隊(第252回)雷雨

 

 

 

(収録DVD)・・・VVoL3、disc2、2021年2月10日発売

(本放送)・・・1966年8月24日

(脚本)・・・元持栄美、舟木文彬

(監督)・・・龍伸之介

(協力)・・・警視庁

(協賛)・・・無し

(助監督)・・・天野利彦

(劇中ナレーター)・・・島宇志夫

(捜査担当・オープニング表記)・・・立石班

西本捜一係長(鈴木志郎)、鑑察医(仲原新二)、鑑識課員(上田侑嗣)、

橘部長刑事(南川直)、荒牧刑事(岩上瑛)、桃井刑事(轟謙二)、

岩井田刑事(滝川潤)、松山刑事(松原光二)、立石主任(波島進)

 

(出演者・オープニングまたはエンディング表記)

・・・劇中優先のため配役名表記を省略

有沢正子、加藤忠、伊藤巴子、奥野匡、遠藤慎子、高木均、笹川恵三、吉田豊明、

山下貴絵、安藤三男、菅沼赫、柏三七子、水沢麻耶、志摩燎子、島田潤子、

由木みよ、高木二朗、大村文武

 

 

(あらすじ・予告篇から)

・・・ ※当時のナレーションをそのまま聞き写しています。

 

激しい雨と稲妻が走る、ある夏の夜、郊外の住宅街に起こった殺人事件!

妻を裏切った夫・・・。

夫を裏切った妻・・・。

同じつくりの家が建ち並ぶ、その住宅街の屋根の下には、人生の縮図がある。

男女の愛の葛藤と現代の著作界の醜い一面を鋭く追究し、

事件解決に活躍する立石班!

次週、「雷雨」に御期待ください。

 

※ストーリーの本質に触れる部分はボカします。

 

 

(備考)・・・

・バートリコのマダム、小西の常連バーのマダムは、エンディング表記の「マダム=柏三七子」「静子=志摩燎子」のいずれかにあたると思われるが、判定困難なため以下本文の配役名は空欄とする。

・後年、レギュラーとして石原刑事を演じ、6人の全主任の捜査班エピソードに出演する吉田豊明が、山口由夫役でゲスト出演。wikiの情報が正しければ、石原刑事初登場は特別機動捜査隊(第413回)麻薬 (1969年10月1日本放送)まで、リアルタイムで約3年間待たねばならない。

・谷川啓二郎著「危険な垣根」の一節は以下の通り。

>雨上がりの垣根は、また一寸も大きくなったように思われた。

>垣根はどんどん大きくなり続け、やがて僕はこの35坪の土地から、

>一歩も外に出られなくなってしまう・・・。

 

 

 

(視聴録)・・・開始約分半まで

(ネタバレしない範囲での一般的感想)

主な関連人物をまとめますと以下のとおりです。

(演者は・・・の次に、判明出来る俳優名を表記)。

 

〇作家・田辺秀夫・・・・・・・・・・・・・・・加藤忠

〇田辺の妻・悦子・・・・・・・・・・・・・・・有沢正子

〇田辺の左隣家・小西隆三・・・・・・・・・・・高木二朗

〇隆三の妻・孝子・・・・・・・・・・・・・・・伊藤巴子

〇田辺の右隣家・山口ミツ・・・・・・・・・・・遠藤慎子

〇ミツの息子・由夫(ヨシオ)  ・・・・・・・・・・吉田豊明

〇作家・谷川啓二郎 ・・・・・・・・・・・・・・大村文武

〇大御所作家・江戸 ・・・・・・・・・・・・・・笹川恵三

〇出版社・編集長 ・・・・・・・・・・・・・・・高木均

〇同・女事務員    ・・・・・・・・・・・・・・・島田潤子

〇とうしょう産業常務・池沢かずお ・・・・・・・奥野匡

〇池沢の秘書・くさの洋子 ・・・・・・・・・・・山下貴絵

〇池沢の妻 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・水沢麻耶

〇悦子の勤めるバー・トリコのマダム

〇小西の常連バーのマダム

〇そのバーテン ・・・・・・・・・・・・・・・・安藤三男

〇ゴルフ場・キャディ ・・・・・・・・・・・・・由木みよ

〇練馬区高野台の農家 ・・・・・・・・・・・・・菅沼赫

〇所轄署警官

 

 

雷雨の中、練馬区高野台の路上で男性が亡くなっているというとの通報が有り、

「直ちに特捜隊・立石班は現場に急行したが、死因は脳底骨折、死亡推定時刻は午後9時前後、激しい雷雨の中での犯行と推定され、手がかりになるものはすべて洗い流されていた。ただ、被害者の身元は遺留品等から、この近くに住む小説家・田辺秀夫と判明した」(ナレーションから、訂正無しで抜粋)

雨上がりの翌朝、法事で席を外す松山を除いた立石班は、所轄署警官の案内で田辺家へ向かうが不在。そこで、立石主任・荒牧・岩井田は左隣りの小西家へ、橘・桃井は右隣りの山口家へ、それぞれ聞きこむことにする。

 

小西家では妻・孝子が応対、立石主任が隣家の田辺の死を告げると驚いた表情を見せ無言。さらに、気づいたことについて問うが、孝子は無いと否定、しかし手は小刻みに震え尋常な様子とは思えない。外に出ると、荒牧は孝子の態度にひっかかり、岩井田も何かがあると立石主任に具申する。

山口家ではミツ夫人が橘・桃井と応対、ミツはいきなり、田辺夫婦は仲が良いとは思えないと発言。2,3日前、庭で水まきをしていると、田辺家から田辺の怒鳴り声が聞こえ、見ると妻・悦子が庭先で割れたカップを片付けていたのを目撃したという。さらに、夫婦喧嘩は日常茶飯事で、悦子をバーで働かせ、自分は売れない小説家という境遇に、田辺は悦子にコンプレックスを感じていたのではないかと語る。そして、ミツは、この様子を覗いていた息子・由夫を見つけると、席を外すようにたしなめる。

 

両家への聞きこみが終わった立石班は、田辺家の前に集まったが、田辺家では電話のベルが鳴り続けていることで、居留守を使っているようではなかった。そこで、立石主任は橘・荒牧と悦子の勤務先・バートリコへ、桃井・岩井田は近隣への聞きこみを行なうことにして特捜隊車両に乗り込む。しかし、この様子を由夫が眺めていることには気づいていなかった。

 

バートリコのマダムからは、昨夜8時30分に田辺から電話があり悦子に引き継ぐと、悦子は笑顔で早退させてくれというので認めたのだが、その行先まではわからないという。そして、悦子の異性関係については、ホステスという仕事柄つきものではあるが、仕事以外のつきあいについては干渉していないと締めくくった。これに橘は、ミツの証言で悦子の夫婦関係は良くなかったとみられることから、電話の相手は本当に田辺だったのか、疑問を呈す。これに立石主任は、田辺からの電話だとしても、その後、家に帰っていないことにひっかかるのだった。

近隣への聞きこみでは、桃井・岩井田が農家から重要な証言を得る。昨夜9時ごろ、妻が急病になりバイクで医院に向かったところ、事件現場あたりでスピードを出した車に水を跳ねられたという。そして目撃した内容は、運転者(男)は女を連れた2人組、車はセドリックの1963年型、ナンバープレートは練馬ナンバー、下2桁が「86」ということだった・・・。

 

 

当作の序盤には、例により立石班の知らない場面が有り、雷雨の中、とうしょう産業常務・池沢が助手席に秘書・洋子を乗せ運転中、洋子に抱きつかれて急ブレーキ停車します。どうやら、池沢は家庭が有りながら洋子とつきあっている体で、ニヤニヤしながら車を発進させます。と、今度は、池沢が自ら急ブレーキ、倒れた背広の男(註・田辺のこと)の側にワイシャツの男が佇み、池沢の車のヘッドライトで照らされると、ワイシャツの男は立ち上がり逃げていっていったのです。そして、これが上記本文の「男性が亡くなっているというとの通報」を池沢がしたのかしないのかわからないままストーリーは進行します。

そして、上記本文最後のナンバープレートの話が出た直後、車のナンバープレート「練馬5 す○○86」(註・フルナンバーはボカします)と車が場面に現われ、家の駐車場に停まる車、家の表札には「池沢」、そして家で池沢と妻との朝食場面、テレビで田辺殺害事件の報道を食い入るように見つめる池沢。その後、おもむろに立ち上がった池沢は、妻に午前中会議があったのを思い出したと、車に乗って出かけます。池沢はどこに行くのか、事件とかかわりがあるのか、こういった出来事が開始約10分半ば過ぎまで。これからどのようにストーリーは展開していくのか、興味津々に残り約40分少々を過ごすことになります。

 

今回は多少ネタバレに踏み込むところがありますが、刑事ドラマの点から観てみると、最終的に凶器が何であるかは明かされていないこと、テレビで「計画的犯行」と報じているにも関わらず、展開・回想場面ともそのようには描かれていないこと、動機にしてもそれに至る伏線がわかりにくいことが挙げられます。確かに、アリバイ崩しのところなどは見どころがあるのですが、「人物」の言い分をそのまま認めてしまうというのは?がつきます。

これらの点で思いあたるのが、脚本=元持栄美、舟木文彬 のエンディング表記。もしかして、特捜隊252回目にして、元持栄美脚本での旧作を、舟木文彬がアレンジしてリメイクしていたかもしれないということ。リメ作は旧作の箇所を改変あるいは削除して、手をつけた脚本家のオリジナルにすることがありますが、やり方をしくじるとトンデモ作になることがあります。なので、【第1回再放送】【第2回再放送】を観賞していない自分としては、当作以前の作品を検証本やリスト特捜隊で調べたのですが、検証本にすべてのストーリーでのあらすじが書いているわけでもありませんので、当作がリメイク作かどうかは実証できませんでした。

まあ、いずれにしろ、刑事ドラマとしては、容疑者が多数おり真実追及に興味を抱かせるまでは良いのですが、上記の指摘により?がつくことに変わりはありません。

 

次に、人間ドラマという点では、ポイントでもある予告篇で抱き合う男女が、なぜこのように至ったのかは明かされることはありません。さらに、当作では

(1) 田辺夫妻

(2) 小西夫妻

(3) 池沢夫妻

が描かれ、これを「対比」による膨らみを持たせようとする意図はわかります。しかし、これが奏功しているかは、配偶者が片割れからひどい仕打ちを受けながらも「夫婦」という枠を守りたい、という描写が薄い印象は否めず、単なる「アタマの硬い配偶者のワガママ」と解釈しかねない効果をもたらしています。せっかく「垣根」という概念を用いて「夫婦=家庭」を表現したのですから、ここいらへんに時間を割いても良かったように感じるのです。

 

ですので、これらをまとめると、題材は良いもの選択したのに「惜しい!」の印象。#460 砂の墓 での有沢正子に好感を持った自分としては、遡ること約4年前の当作では宝の持ち腐れの感が強い。有沢正子の和服姿と台詞廻しは、それこそ高峰秀子主演の「女が階段を上る時」(1960年、監督・成瀬巳喜男)を彷彿とさせるだけに、もうちょっと。。。という感じでした。

しかし、これらは、特捜隊を観慣れた点からの感想であり、もし初見の方でしたら犯人探しという点で及第点はつけられるでしょう。また、自分としても現在までの【ベストセレクション】での龍伸之介監督作品(本放送順での)直近作#210 ペンフレンド【スペシャルセレクション】 よりは、上手く仕上がっていると確信出来ます。ですので、先入観を持たずに観賞すれば、当作は佳作レベルにある作品といえましょう。