【第4回再放送】が終わって市販された、
特別機動捜査隊 スペシャルセレクション<デジタルリマスター版> [DVD]
の作品から抽出しました。
市販品なので、
(あらすじ)などストーリーの本質にかかわるところは伏せ、
スタッフやキャスト、また(備考)・(ネタバレしない範囲での一般的感想)のみ
にとどめます。
将来、東映chなどで、一般的視聴されるようになったら書き加えていく予定です。
※ 特別機動捜査隊 まえがき
捜査担当班の詳細については、wiki特捜隊-キャストを参照、また、(本放送)とはNETでの放送、(再放送)とは東映chでの放送を指します。出演者については配役名を略していますが、本文で書くこともあります。なお、出演者をもっと知りたいときは、リスト特捜隊で検索。
また、1963年公開の、映画版・特別機動捜査隊全2作とは趣が異なることに注意。
なお、オープニングやエンディングで配役名表記がされない作品については、従来の「発声のみの役名については平仮名表記」の原則だと平仮名だらけの文面となります。そこで役名・地名等は、検証本その他を引用、あるいは当方での当て字により、以下表記します。
☆・・・#129 非行少年
特別機動捜査隊(第129回)非行少年
(収録DVD)・・・VoL3、disc1、2021年2月10日発売
(本放送)・・・1964年4月15日
(脚本)・・・守田二郎
(監督)・・・北村秀敏
(協力)・・・警視庁
(協賛)・・・無し
(助監督)・・・鈴木一也
(劇中ナレーター)・・・島宇志夫
(捜査担当・オープニング表記)・・・立石班
西本捜一係長(鈴木志郎)、鑑察医(仲原新二)、橘部長刑事(南川直)、
荒牧刑事(岩上瑛)、桃井刑事(轟謙二)、岩井田刑事(滝川潤)、
立石主任(波島進)
(出演者・オープニングまたはエンディング表記)・・・配役名表記無し
緒方敏也、村井宏安、浜こうじ、簡野典子、矢車新子、稲吉靖、中田久美子、
浦野光、藤井薫子、中田浩二、真木亜沙子、堺新太郎、小泉静司、北峰有二、
久保比左志、森良介、秋山敏、海老原響子、小川美由樹、岩倉節子、飯沼操、
丸山詠二、水木一人、朝見朗、佐多英子、杉本くにお、中川真紀、須賀良、原信夫、
小池羡光(註・該当漢字が見当たらないため羡は当て字)、亀谷慶子、池上昌人、
美屋京子、公敦子、堀輝子、石川達郎、金子澄江、新山道夫、宮尾博、前岡信行、
名高ますみ、増田直樹、小泉博
(あらすじ・予告篇から)
・・・ ※当時のナレーションをそのまま聞き写しています。
※予告篇無し
(備考)・・・
・当作は、北村秀敏監督の特捜隊第1回監督作品であり、リスト特捜隊や【スペシャルセレクション】での作品群からでも、それは裏づけされる。
・西本捜一主任から、西本捜一係長への変更が再度なされている。
・手形割引については、wiki手形割引 に詳しいが、金融庁 からの注意喚起がある。
・死体発見現場は、青山通りの「赤坂見附~平河町」周辺の高速道路建設現場で撮影したものと思われ、完成後、この箇所は特捜隊の後日作品やオープニング映像でも登場する。
・鳥越百貨店の年配女子社員が発声する「かいしゃしんぱん」とは、おそらく「会社信用販売」の略語で、「お得意様である会社」の関係者には、代金後払い(現在のクレジットカードの扱い)や割引の特典をつけたものと思われるため、当て字で「会社信販」を充てることにする。
・特捜隊本部に板書された内容は、おおまかに以下の通り
>高速道路殺人事件
>被害者:斉藤いね子・25歳
>死因:扼殺
>死亡時刻:24時~1時頃
・(追加)R6.3.14
コメント欄のtam2wさんから、以下人物表の、「佐伯守」「チンピラ・中村」を演じた男優を指摘されたので、(tam2wさん指摘)と書いたうえで、男優名を追記した。これは自分自身が「浦野光」「須賀良」の顔を完全に認識していないところに起因している。
(視聴録)・・・開始約分半まで
(ネタバレしない範囲での一般的感想)
配役名表記が無いこともあり、また主な関連人物をまとめますと以下のとおりです。
(演者は・・・の次に、判明出来る俳優名を表記)
○明和商会の社員・斉藤いね子
〇いね子の母
〇いね子の幼子
〇いね子の同僚で婚約者・佐伯守・・・・・・・・浦野光(tam2wさん指摘)
○佐伯の叔父
○いね子の同僚女子社員
〇赤坂の工事現場監督
〇夜学に通う工事作業員・広瀬
〇工事作業員(2人)
〇鳥越百貨店・年輩女子店員
〇同・若手女子店員
〇病院・医師
〇同・看護婦
〇第三銀行石神井支店・支配人
〇同・出納係の木村秀子
〇商事会社社長
〇成瀬産業社長・成瀬喜一郎
〇成瀬の娘
〇成瀬の息子・隆志
〇東都高校・男性教師
〇同・女性教師
〇隆志の友人・目黒芳二(ヨシジ)
〇同・大場金太郎(註・喫煙する学生服男)
〇同・細谷三郎
〇芳二の母で評論家・目黒文野(フミノ)・・・・・簡野典子
○テレビ局・女性キャスター
○同・局員
○鑑識員(3人)
〇有線放送事務所井上組・社長 ・・・・・・・・稲吉靖
〇同・社員
〇フジヤマパン・社員
〇チンピラ・前田正夫 ・・・・・・・・・・・・中田浩二?
〇同・坂井哲司
〇同・中村 ・・・・・・・・・・・・・・・・・須賀良(tam2wさん指摘)
〇同・1名
○前田の情婦
〇渋谷署・男性刑事
〇渋谷署・女性刑事(婦人警官、2人)
〇喫茶店の不良少女(3人)
〇仲間の不良少年(3人)
「110番からの急報に接した特捜隊・立石班は、直ちに現場へ急行した」
(ナレーションから、訂正無しで抜粋)
現場は、オリンピックに向けて高速道路その他周辺工事中の赤坂、堀の下に設置された材木資材に、裸足の女の死体が横たわっていた。死因は扼殺、頭部の傷は堀に投げ込まれたときに材木資材にぶつかったもので、生活反応は無かった。死亡推定時刻は昨夜12時前後(註・備考参照)、誰かを引掻いたのか爪の間に血痕・剥ぎとった皮膚が残されていた。また、スカートには千切れた後があり、(上着の)洋服には鳥越百貨店のマークがあった。
立石主任はこれらを総合し、荒牧には足に付いた泥の分析を、桃井・岩井田には洋服のマークを、それぞれあたるよう指示を出す。併行して、橘は工事現場の状況聞きこみを行なうが、
「立石班懸命の聞きこみ捜査にもかかわらず、現場付近から目撃者を発見するには至らなかった。。。」(ナレーションから、訂正無しで抜粋)
桃井・岩井田は、鳥越百貨店の年配女子店員から、サイズ直しのことで記憶にあり、かつ会社信販で購入したことを聞き出し、身元が斉藤いね子と判明した。そして、いね子の勤務先、自宅と訪れ、ようやくいね子の母、幼子へと辿り着く。。
立石主任・橘の待つ霊安室に、幼子を連れた母が訪れると、いね子の亡骸に号泣。そして、いね子は出産後程なく夫を交通事故で失い、母・幼子のため会社勤めをした経緯が明らかになる、さらに、いね子は会社の同僚・佐伯と今秋再婚予定であり、佐伯は現在入院中である情報も得る。
このことから、橘・荒牧は入院中の佐伯の病室を訪れると、佐伯はがっかりと肩を落とし、いね子は昨夜7時ごろ見舞いに来院、9時過ぎまでいたという。そのとき、いね子は10時半にお客様に会うと言っていたという発言に、荒牧が聞き直すと、佐伯は意外な話をし始めた。
実は佐伯といね子は組んで、手形割引の仕事をしており、これが婚約のきっかけであったという。いね子は佐伯に手形を安く割ってくれる「相手」を求めてきたが、いね子は手形受付の窓口となり、例えばそのときの「手数料」を一割として、預かった手形を「相手」に五分で割ってもらえば、差引き五分がいね子の利益となり、佐伯が協力すればその利益も共有できるというものだった。そこで、佐伯は会社社長の叔父に手形を割ってもらうよう依頼、いね子とは、かれこれ2年越しのつきあいになるということだった。
橘は、いね子が手形をどのルートで手に入れているかを問うが、佐伯は、いね子からは説明は一切無かったと答えるだけであった。ただ、2件ほど手形が不渡りになり、いね子は暴力団に頼んで取り立てたことがあったが、自分はそこいらへんのことはわからないという。あと、いね子は200~300万は貯蓄しており、常に通帳・印鑑を持ち歩いていたという。
病室とは別に、岩井田は看護師に佐伯のことを聞きこむ。佐伯は体調は悪くないのに、まだ1週間休暇があるらしく、退院しようとしないことが判明。さらに昨夜のアリバイも、佐伯はよく出かける癖が有るようで、わからないということであった。
この聞きこみを横目に、橘は今までの状況を立石主任に電話連絡。立石主任の指示に従い、橘はいね子の取引先銀行へ向かうことになるのだが・・・。
上記本文は開始約16分半ばまで。ストーリーの入り口部分が10分少々なのが【スペシャルセレクション】での立石班ストーリーの特徴なのですが、当作は北村秀敏・特捜隊第1回監督作品ということもあるのか、土台作りに時間を割いた感があります。
手形割引における犯罪というのは、単純にA=売り手、B=買い手の取引において、Bがキャッシュオンデリバリーできないとき、Bが振り出した手形を巡るものになります。そもそも、Aが受け取った手形を、銀行などの金融機関(註・通例は手形記載の金融機関)に渡して現金化、あとは金融機関とBとの関係にすれば良いのですが、金融機関も商売ですから手形が正常なものかどうかBの信用調査をする必要があります。その期間を待たされたり、あるいは却下されてしまうと、Aからすればたまったものではありません。そこでAとしては、いくらか叩かれても「一銭にならないよりはまし」と、「別の業者」に手形を渡し(値切られた)現金化、あとは「別の業者」とBとの関係になるわけです。いわゆる手形の裏書を利用した経緯で、たいがいのテレビドラマではこの「別の業者」がストーリーの核になり、面白さの肉づけをすることになります。
当作は、上記本文でいう、佐伯といね子が「別の業者(註・ここでは佐伯の叔父)」を設定、自分らが上前をはねる「ピンハネ屋」になっていること。もちろん、「別の業者」が不渡手形を喰らったときは佐伯といね子に物言いが来るわけで、上記本文では、いね子が手形の窓口になっているため、取り立てで暴力団を使ったということになります。さらには、手形入手ルートというのは、いね子個人で出来るのかという問題があるため、暴力団が自ら、手形割引をするのはマズいから、いね子という一般人を使って上前をはねたのかということも考えられます。
ここまで長々と手形犯罪について書きましたのは、1964年、昭和39年のオリンピック直前のこの時期、一般視聴者が手形犯罪についてどれだけ知っていたかということ。口頭のみの文章的描写になっていることもあり、1度観ただけではわかりにくいのではないか?
正直、自分も大学で手形・小切手法を学んだものの、その実態については恥ずかしながら、社会人になり、契約取引を行ない手形・小切手を扱うようになってようやく理解できたものです。もし自分が、何も知らないまっさらな状態で、当作を観賞していたら、たぶんわからないままで終わっていたことでしょう。
そもそも、いね子がなぜこういったツテを見つけたのか、後半になっても明らかにされないのも、わかりにくさの一因でしょう。
これは構成の主である、脚本・守田二郎の問題でもあるのですが、#121 けだもの【スペシャルセレクション】 での積み上げとは若干劣った感があります。たぶんに、「非行少年」というタイトル題材というところから、大人の世界の犯罪をクローズアップしたいから、少年とは縁の無い「手形割引」を持ち出したようにも考えられるのですが、わかりにくいということは変わりありません。北村秀敏監督の後年の「器用さ」を考えると、上記本文にはそれらしき描写も見受けられるのですが、詳細過ぎたゆえにストーリーの土台作りはグラつき気味で、全体のバランスは悪くなったような気がします。
また、後半のストーリーで、いよいよ「少年」が出て来るのですが、こういう構成ならば、手形割引を扱うより、単に少年が起こした「軽犯罪」が、いわゆる「高速道路殺人事件」に繋がった形にするのがベターであり、1964年の東京オリンピックへの機運に向けてのドラマづくりもアリだったのかと思います。北村秀敏・特捜隊第1回監督作品としては、残念ながら出来は良いとは思えず、次回以降に期待するところです。
ただ一点いえることは、当作の映像を観て、東京オリンピックに将来の東京(日本)に期待した人は多かったと思います。しかし、現在の視点で当作を観るにつけ、2021年開催の東京オリンピック2020は、選手個人の活躍は別として何かグチャグチャしているなあ。。。と感じます。