【第4回再放送】が終わって市販された、

特別機動捜査隊 スペシャルセレクション<デジタルリマスター版> [DVD]

の作品から抽出しました。

市販品なので、

(あらすじ)などストーリーの本質にかかわるところは伏せ、

スタッフやキャスト、また(備考)・(ネタバレしない範囲での一般的感想のみ

にとどめます。

将来、東映chなどで、一般的視聴されるようになったら書き加えていく予定です。

 

※ 特別機動捜査隊 まえがき

捜査担当班の詳細については、wiki特捜隊-キャストを参照、また、(本放送)とはNETでの放送、(再放送)とは東映chでの放送を指します。出演者については配役名を略していますが、本文で書くこともあります。なお、出演者をもっと知りたいときは、リスト特捜隊で検索。

また、1963年公開の、映画版・特別機動捜査隊全2作とは趣が異なることに注意。

なお、オープニングやエンディングで配役名表記がされない作品については、従来の「発声のみの役名については平仮名表記」の原則だと平仮名だらけの文面となります。そこで役名・地名等は、検証本その他を引用、あるいは当方での当て字により、以下表記します。

 

 

 

☆・・・#122  ひったくり

特別機動捜査隊(第122回)ひったくり

 

 

 

(収録DVD)・・・VoL2、disc1、2021年1月13日発売

※なおVoL2の説明本に、高倉班紹介で、顔写真を載せ鷲見刑事(柴田昌宏)と説明があるが、顔写真は田中係長(山田禅二)のものであり、VoL1のときのような訂正プリントも無い。

(本放送)・・・1964年2月26日

(脚本)・・・松井稔

(監督)・・・今村農夫也

(協力)・・・警視庁

(協賛)・・・無し

(助監督)・・・天野利彦

(劇中ナレーター)・・・島宇志夫

(捜査担当・オープニング表記)・・・立石班

西本捜一係長(鈴木志郎)、鑑察医(仲原新二)、橘部長刑事(南川直)、

荒牧刑事(岩上瑛)、桃井刑事(轟謙二)、岩井田刑事(滝川潤)、

村上刑事(小嶋一郎)、立石主任(波島進)

 

(出演者・オープニングまたはエンディング表記)・・・配役名表記無し

津村悠子、浅沼創一、並木瓶太郎、西川敬三郎、里木三朗、西島悌四郎、橋本菊子、

池田よしゑ、沖竜太、木島伸二、美船洋子、志摩栄、秋月喜久枝、大下真司、

有馬新二、三島一夫、今西美奈子、都健二、高山正也、長島武夫、北のり子、

武藤周作、柳生尚美、岡田敏宏、小甲登枝恵、田中優江、四志譲二、竹村佳子、

北原廸子、永井久子、佐藤薫、酒井由利、菊地重栄、小林元治、北村栄二

 

 

(あらすじ・予告篇から

・・・ ※当時のナレーションをそのまま聞き写しています。

 

頻々(ヒンピン)と起きるひったくり事件の現場で、ひとりの女性が殺害された!

被害者と、瓜二つの女性。

その陰には、事件の糸が・・・!

怪しい○○○の暗躍。

そして、哀しい過去を振り切り、○○○として○○○〇の前に、

暗い波紋が広がっていく・・・。

次週、「ひったくり」に御期待ください。

 

※ストーリーの本質に触れる部分はボカします。

※予告篇は、disc1の#121 けだもの【スペシャルセレクション】 のエンディングの後に収録。

 

 

(備考)・・・

・リスト特捜隊には、「脚本=松井稔、監督=松島稔」とあり「一部資料では、脚本:大和久守正(大和守久正)と記載されている」とある。真偽不明ゆえの記載であろうが、劇中では「脚本=松井稔、監督=今村農夫也」が正しく、全くの誤り。これは、リスト特捜隊を編集の際、検証本72頁の「脚本・大和久守正、監督・松島稔」の誤った記述に影響された表れと思われる。

・【スペシャルセレクション】VoL1からの流れだと、村上刑事(小嶋一郎)初登場の回だが、リスト特捜隊をみると当作以前の欠番回#002-#117に、小嶋一郎出演回が散見される(小嶋一郎がゲスト、レギュラー、どちらの出演かは確認不能)。

・後年の特捜隊常連俳優の里木左甫良は、この当時の俳優名は里木三朗であった。

・劇中の定期券について、立石主任が持ち主住所を「板橋区板橋5丁目」と読み上げるのは、本放送当時は「板橋区板橋町5丁目」(現在の板橋3・4丁目)が存在したこともあると推察される。

・劇中の「少年養護所」とは古くは孤児院と呼ばれた、現在の児童養護施設である。

 

 

(視聴録)・・・開始約分半まで

(ネタバレしない範囲での一般的感想)

配役名表記が無いこともあり、また主な関連人物をまとめますと以下のとおりです。

(演者は・・・の次に、判明出来る俳優名を表記)

 

〇八百屋・八百勝店主・山田

〇山田の妻

〇山田の娘で東西電工社員・トシ子

〇南十條署駅前出張所勤務・堀田巡査・・・・・・・・・西川敬三郎

〇堀田の妻

〇堀田の子(男)

〇堀田家近隣の青果店夫人

〇堀田の同僚巡査

〇南十條署・婦人警官

〇事件現場の野次馬(2人)

〇三河屋酒店の店主

○大久保家の夫人

○大久保家の女中

○焼き鳥屋・鳥玄の店主

〇小料理屋おかぶの女将

〇小料理屋おかぶの仲居・春江

〇パチンコ屋・ヨシノホールの女性店員

〇パチンコ屋・ヨシノホールの常連男性客

〇鈴木木工・社長

〇鈴木木工の社員・渡新吉

〇渡の同僚・岡田良介・・・・・・・・・・・・・・・・浅沼創一

○鈴木木工の事務方

〇池中ひろ子

〇ひろ子の母(美容院経営)

○ひろ子の勤務先上司・牧村

〇池中家の女性弔問客(2人)

〇住職

〇住職の姪で保護司・佐々木千代

〇中学生・青島

〇中学生・永野

〇中学生に声をかけるコートの男

〇少年養護所の細身の要務員

〇少年養護所の小太り要務員・・・・・・・・・・・・・里木三朗

 

 

南十條駅近くの川岸で、女性の死体が発見され、特捜隊・立石班の捜査となる。後頭部の裂傷による打撲死とみられ、婦女暴行の跡は見られなかった。所轄の南十條署巡査・堀田によると、昨夜11時過ぎ、駅前出張所での勤務中、黒いハンドバッグを持ったこの女性が帰宅するところに声をかけ、この先の道は痴漢・ひったくりが多いことから、道を変えるようアドバイスしたが、こちらのほうが近いからと断り、1人で歩いて行ったということだった

現場では、三河屋酒店の手ぬぐい、パチンコ・ヨシノホールの玉、煙草の吸殻を発見、さらに桃井から、現場で争ったとみられる2つの靴跡、右足が不自由らしい引きずった跡を指摘される。ただ立石主任・橘は、黒いハンドバッグは見当たらないことが気がかりで、荒牧はひったくりの犯行の可能性を考える。

 

と、そこに、野次馬への聞きこみから、村上が被害者の両親と思われる八百勝の山田夫妻を連れて来て、身元確認を行なう。妻によると、被害者は娘のトシ子であり、家業を手伝うのを嫌い東西電工に勤務していたと泣きながら語る。夫妻としては、早く荼毘に伏せたいものの、事件ということもあり、司法解剖に立ち会うため解剖室まで同道することになる。

司法解剖が終わり、鑑察医からは、死亡推定時刻は昨夜11時前後、腹部に盲腸の手術跡が有ると報告される。しかし、山田夫妻はトシ子は盲腸の手術を受けたことは無いと言い出し、この掴みどころのない出来事に立石主任は頭を悩ませる・・・。

 

 

その後を端折ってまとめますと、立石主任は荒牧から、現場から離れた川筋で黒いハンドバッグを拾い上げ、中に「南十條⇔京橋」の定期券を発見したという報告を受けます。そして、そこから捜査網を拡げ、数々の聞きこみ、回収した遺留品を鑑識が様々な角度から分析することで、事件を追及していきます。

 

当作の率直な感想を言いますと、上記本文まで(開始約20分前まで)は面白く、捜査がどのように進展していくのか興味津々に観賞出来ました。ところが、それ以降の後半部は、矢継ぎ早に「出たとこ勝負」的に新事実が浮かび上がり、前半部の伏線らしい箇所に触れることなくストーリーが進行します。「ある人物」と「別の人物」の結びつきにも触れることなかったり、脈絡も無いのに別の事件の関係者に当該事件の聞きこみを行なうのもさながら、ラスト川岸(荒川か?)の鉄橋での、「時間の巻き」があるのか投げやりな場面はいただけません。

以前、今村農夫也監督について

>前後半の面白さのバランスが悪い

と評したことがありますが、当作はこれに該当します。前半はテンポよく展開するのに、後半は停滞気味で、「瓜二つの女」の題材なのにもったいない気がします。

 

さらには、桃井の指摘した

>現場に争ったとみられる2つの靴跡、右足が不自由らしい引きずった跡

について、両者は同じ範疇にあるというのが捜査映像表現であるのに、回想では別の範疇にあるという再現映像表現となるのは、何かキツネにつままれたようです。

また、題名の「ひったくり」とは

>路上などで不意を襲って人の持ち物を奪い取り逃げること。また、その者。

を意味(goo国語辞書)しており、劇中の様々な場合に該当しているかというと疑問があり、これは題名に踊らされた自分も悪いのですが、ミスリードの感もあります。

 

ただ、それでも前半部の、テンポよく進行する流れは捨てがたく、簡易版・「迅速(スピード)、科学(サイエンス)、秘密(シークレット)の3S」を表現出来ていると評価できます。もし、後半部の停滞を挽回できるとしたら、開始約35分過ぎ、岩井田を見舞う橘の場面に肉付けを行ない、ベッド・ディテクティヴを「より」強調するストーリーに出来なかったかなとも思います。

ただ、こういう見方は特捜隊を観続けた立場からのものなので、先入観無く観賞というならば、受け入れやすい内容ともいえ、一見する価値はあるでしょう。