※ 特別機動捜査隊 まえがき

捜査担当班の詳細については、wiki特捜隊-キャストを参照、また、(本放送)とはNETでの放送、(再放送)とは東映chでの放送を指します。出演者については配役名を略していますが、本文で書くこともあります。なお、出演者をもっと知りたいときは、リスト特捜隊で検索。

また、(出演者)は、エンディングで、一列~三列で表示された男優・女優に限定しました。

1963年公開の、映画版・特別機動捜査隊全2作とは趣が異なることに注意。

 

☆・・・#752  我が輩は 犬である

 

 

 

(本放送)・・・1976年4月14日

(再放送)・・・2020年2月27日

(脚本)・・・松本昭典

(監督)・・・中村経美

協力)・・・無し

(協賛)・・・無し

(捜査担当・オープニング表記)・・・三船班

関根部長刑事(伊沢一郎)、石原刑事(吉田豊明)、水木刑事(水木襄)、

松木部長刑事(早川雄三)、畑野刑事(宗方勝巳)、三船主任(青木義朗)

 

(出演者)・・・

日野麗子、立花直樹、野村けい子、宮沢康、菅沼赫、大江徹、北九州男、加東三和、

石黒正男、イアデールテリア・バートランド号、スコッチテリア・コーラ・オブ・エストリータ、

大東梁佶、和久井節緒、小笠原弘、簡野典子、曽我町子、山下洵一郎、山田康雄

 

 

(あらすじ・予告篇から)

・・・ ※当時のナレーションをそのまま聞き写しています。

 

走る、走る、サン吉が走る!

可愛がってくれた御主人が殺された!

それは、ゴルフ練習場を巡っての、人間の欲望の果てか?

男と女の愛情の果てか?

サン吉と特捜隊の、合同捜査が始まった。

そして、サン吉の捜査の前に、立ちはだかるものは!?

追いつめられた犯人が、次に狙う標的は!?

サン吉の追う、憎むべき犯人とは!?

次回、特捜隊、「我が輩は 犬である」、御期待ください。

 

 

(備考)・・・

・エンディング表記には、サン吉=イアデールテリア・バートランド号、パピー=スコッチテリア・コーラ・オブ・エストリータ、とあり以下では、単に犬、ペットとして、サン吉。、パピーと表記する。なお、犬の言葉が人間に伝わらないため、サン吉の心の声として山田康雄が吹替をしている。

・また、山田康雄は特別機動捜査隊(第281回)正午のアリバイ に実写として出演歴が有り、【第2回再放送】でも欠番を免れ、一部がツイキャスで観られたことがある。それから、9年以上経っての特捜隊への出演であった。

・以下本文は、ネタバレになるため、サン吉目線ではなく、三船班目線で記述。

 

 

(視聴録)・・・開始約20分半ばまで

 

小金井ゴルフガーデンはゴルフ練習場で、職員(立花直樹)がレッスンプロさながらコーチをしているが、オーナーの横川英子(エイコ、野村けい子)の飼う犬・サン吉がいきなりやって来て吠え始め、外へ走っていく。ただならぬ気配に職員はサン吉を追跡すると、近くの林の中にゴルフボール1ダースの箱、そしてロープで首を絞められた英子の死体を発見した。

 

三船班は現場に到着。職員がひぐち(未詳)という客からゴルフボール1ダース取り寄せるよう依頼電話を受けたことで、英子は届けに向かったと証言。妻のひぐち夫人(加東三和)が現場に呼ばれる。しかし、ひぐち夫人は、自宅にゴルフボールの在庫はあるからと、現物を見せ否定する。松木はいずれにせよ英子は誰かに誘い出されて殺されたこと、三船主任も場所的に人目につかないことから、計画的犯行であったことは疑いが無いと判断。ただ物証が乏しいことから、三船主任は畑野・水木に、犬とはいえ目撃した気配のあるサン吉を連れ、聞きこみに回るよう指示。乗り気では無い畑野だが、水木は賛成してサン吉を抱え聞きこみに向かう。

 

と、サン吉はゴルフガーデンに来ると走り出し、12番打席で座り込む。他を回ろうとする畑野に、水木はサン吉が何か言おうとしていると判断、ここに残り様子を見ることにする。そして、このゴルフガーデンは立地が良く、売買でも㎡=10万とすれば3億円となることに気づいたところで、野島建設の工事作業員(大東梁佶、北九州男、石黒正男、他2人)が入ってくる。親から、英子はゴルフガーデンを与えられ、兄・横川(宮沢康)も原宿の高級ブティックを与えられているのだが、その妻で英子の義姉・リサ(日野麗子)から工事の依頼を受けたという。

そこに、英子が亡くなったから相続できると思ったからか、リサは横川、愛犬・パピーだけでなく、東京スコッチテリア協会の会長(簡野典子)、副会長(曽我町子)を連れてやって来た。どうやら、パピーの他にもスコッチテリアために、芝のあるゴルフガーデンを遊び場として運営したい意向とともに、運動不足からくるパピーの糖尿病解消の理由もあるようであった。

 

このことを水木は、近くの神社に詰めている三船班、そして職員に報告。職員から、10日前からリサはパピーを連れ、客もいるのに芝を走り回っていたこと、何度注意しても改めない態度に、英子はサン吉を吠えさせリサ・パピーを退散させたこと、その帰り際にリサが「殺してやる」と口走った新情報を得て、三船班はこの事件に新たな局面を迎えるのだった・・・。

 

 

その後ストーリーは、リサの前夫・都築正道(山下洵一郎)、その勤務先の同僚(大江徹)、豆腐店店主・半田(和久井節緒)、ブラックシャフトの販売店責任者(小笠原弘)、保健所係員(山田貴光、菅沼赫)など、怪しげな人物が登場。事件に関係があるのか? 今までの登場人物との繋がりは? 事件の真相は? そして、上記には書き出せなかったですが、真相を知るサン吉の役割は? ・・・など、興味深く後半に向かっていきます。

 

 

当作の本放送は1976年4月14日なのですが、なにやら正月番組を観ているようなノンビリムードでつくられた作品です。これはサン吉の存在、サン吉の心の声をナレーションする山田康雄のトークの妙もあるのでしょうが、上手いアプローチだったと思います。

 

ただ、刑事ドラマとしては

・序盤にサン吉の回想により、怪しげな人物が登場してしまうので、犯人探しの妙が無いこと

・上記本文の直後、「犯人にサン吉が噛んだ傷がある」ことを、なぜ松木が知っているのか

・犯人の回想では、ロープでの絞殺場面が無いこと

・そもそも、犯人の犯行動機が納得しづらいこと

など、粗がどうしても目立ちます。

それでは人間ドラマとしてはどうかという点でも、展開にメリハリがなく、何かを風刺しているふうもありません。自分は首をかしげる回は、通常以上に見直して少しでも良いところを探そうとするのですが、あまり印象に残る場面というのが無かったというのが実感です。

敢えて挙げれば、サン吉を3人称に見立てて描く展開ですが、これが冗長に続くのは何ともしがたく、せめてサン吉が見聞したことに「瑕疵」があり、それを三船班が正解に導くやり方もあったかもしれません。

 

当作は、#604 金と毒薬と 老嬢 ほどではありませんが、個人的にはどうにもノリがよくなかったですね。山田康雄は、本放送時は「ルパン三世」の吹替で有名になった時期(というより、夕方の日テレ再放送で人気が出たころ)ですので、張り切っての吹替だったのですが、作品自体が?がついてしまったとも思えます。当作の翌年、ルパン三世の第2シリーズ放送で、山田康雄は大きく羽ばたくことになります。