※ 特別機動捜査隊 まえがき
捜査担当班の詳細については、wiki特捜隊-キャストを参照、また、(本放送)とはNETでの放送、(再放送)とは東映chでの放送を指します。出演者については配役名を略していますが、本文で書くこともあります。なお、出演者をもっと知りたいときは、リスト特捜隊で検索。
また、(出演者)は、エンディングで、一列~三列で表示された男優・女優に限定しました。
1963年公開の、映画版・特別機動捜査隊全2作とは趣が異なることに注意。
☆・・・#720 待っている女
(本放送)・・・1975年8月27日
(再放送)・・・2019年11月7日
(脚本)・・・佐々木武観
(監督)・・・中村経美
(協力)・・・無し
(協賛)・・・無し
(捜査担当・オープニング表記)・・・矢崎班
田中係長(山田禅二)、鑑識員(田川勝雄)、鑑識員(西郷昭二)、
谷山部長刑事(和崎俊哉)、神谷刑事(山口暁)、岩本刑事(萩原信二)、
桂刑事(佐竹一男)、田坂刑事(倉石功)、矢崎主任(亀石征一郎)
(出演者)・・・
佐原健二、桜井浩子、宝井宏冶、目黒幸子、舞砂里、晴海勇三、松崎真、
椎谷建治、君夕子、守屋俊志、外山高士、奥野匡、池田忠夫、神田隆
(あらすじ・予告篇から)
・・・ ※当時のナレーションをそのまま聞き写しています。
がむしゃらに、自己の欲望を貫いて死んだ男・・・。
そして、もうひとり、○○○○○○!
○○○○でありながら、○○していたふたり。
相手に打ち勝った方は、大会社の社長に・・・。
一方は、借金をしょい込んで、どん底生活へ・・・。
その人の良い哀れな父親のため、我が身を捨てて懸命に働く娘は、
親の敵(カタキ)の秘書にまでになり、果ては身体まで投げ出した。
人を人とも思わぬ男のエゴは、
周りの憎悪を掻き立て、ついに女と女の闘争へと発展した!
この悲劇を待ち望んでいた者は、誰だったのか・・・!?
次回、特捜隊、「待っている女」、御期待ください。
※本篇ストーリーの展開上、一部を○○でボカしました。
(備考)・・・
・題名の「待っている女」は、wikiによると、当時君夕子が歌うレコード名と同一である。ネット検索で歌詞を調べると、作詞・山口洋子、作曲・藤本卓也のものに引っかかるが、関連不明。
・ゴルフ場でのコンパニオンについて、3番女は、エンディング表記の早苗=小貫瑞恵と特定。その他の、11番女・6番女・10番女は、弘美=川瀬ミキ、淳子=志麻恭子、光子=沖倉啓子、若い女A=三崎景子、若い女B=徳竹由美子、のいずれかに該当すると思われるが、劇中での判別がつきにくいため、以下本文では未詳とする。
・エンディング表記で、重吉=池田忠夫とあるが、劇中では常に「しまむら」と発声されていることから、苗字表記は無いが検証本にしたがい、以下本文では島村とする。
・同様に、君夕子の配役名も、「ふじいけいこ」の別名を名乗るところもあるが、以下本文では島村妙子と統一する。
(視聴録)
・・・開始約11分半ばまで
東陽電気工業・社長室では、社長・磯部知之(神田隆)が秘書・島村妙子(君夕子)にセクハラまがいのことをしているところに、娘・都(桜井浩子)が入室する。本日、別の会社で総務課長をしている夫・有川(佐原健二)の招待ゴルフに父の磯部が参加するからだが、本心は都の母(目黒幸子)に父が目を向けているので、女癖の悪さを直してほしいと考えていた。
そして、ゴルフ場でのプレイが終わり、有川が司会で表彰式が行われるが、これには趣向を凝らしてあった。塚田(守屋俊志)が運営する、塚田企画のコンパニオン11番女(未詳)・6番女(未詳)・3番女(小貫瑞恵)・10番女(未詳)と並び、成績に応じて持ち帰ろうというものだった。よつまる電気専務・河口(外山高士)は10番女、さんゆうデパート常務・広瀬(晴海勇三)は3番女、まるこし電気専務・西原(奥野匡)は6番女をそれぞれ持ち帰ることになるが、成績の悪かった磯部には、義父ということもあり、有川は別にストックした女を進呈しようとする・・・。
しかし、その2日後の夜、磯部家では磯部本人の通夜が行なわれていた。磯部の妻(=都の母)、息子・芳彦(宝井宏冶)、都、有川が並ぶ中、矢崎主任も焼香をする。というのも、昨日(=ゴルフの翌日)の朝、階段からの転落死体で磯部が発見され、殺人事件として矢崎班が捜査を担当していたからだった。焼香には妙子も来訪するが、芳彦はそれを押しとどめ応接間で話し出す。身内の風当たりが強いことを考え、焼香は明日にして、その際磯部の印鑑を持って来るよう頼むのだが、それを待機中の矢崎主任は目撃する。
そして、矢崎主任は有川に聞きとり。(一昨日の)ゴルフは午後6時に終了、8時に宴会が終了、その後磯部は自分で車を運転して帰ったことを確認するが、有川の口からコンパニオンの持ち帰りについて触れることは無かった。
一方、谷山・岩本は、窃盗の常習犯・健太(椎谷建治)を逮捕、取り調べる。犯行現場の磯部の車から、腕時計を健太が盗んだ形跡があるからだった・・・。
※整合性を持たせるため、劇中表現を一部改変その他手を加えています。
ストーリーはその後、妙子の父・島村(池田忠夫)、塚田のバックにいる高利貸(舞砂里)、島村と旧知の中年男(松崎真)、六本木のレストラン・支配人(山田貴光)が登場。事件の真相に近づく役割を、それぞれ演じています。
上記の※で書いたのですが、いつもは、出来るだけ(視聴録)の冒頭は、実見した内容通り、(100%とはいわないまでも)先走りを避け記述しています。これは予告篇である(あらすじ)が、実見してみると「あれ、違うぞ」というところを、【第3回再放送】で何度か経験したからです。
しかし、今回ばかりは多少手を加えています。というのは、1回だけの視聴では掴みきれないところが多く、結局、何度も録画を見直しました。要は、後回しにすれば良いものを、先走って明らかにしているため、視聴者から観れば「驚き」というより「口あんぐり」になってしまうところが散見されるからです。あるいは、ある出来事が突拍子も無く描かれ、その理由がかなり後になってから明らかになり、さらにそれが何度も繰り返されるという悪循環の構成になっているところも見受けられます。
具体的にいえば(ネタバレも何も実写通りなのですが)
>有川は別にストックした女を進呈しようとする・・・。
として、すぐに塚田とともに登場したストック女が、島村妙子であるのですが、驚く表情の妙子に不自然さを感じない視聴者はいないでしょう。まあ、刑事ドラマだから、秘書なら社長のスケジュールを知っている(さらには、社長室で都からも聞いています)はずだから、知っていて敢えてしたものだと好意的にとっても、観終わってみれば「?」がつくことに変わりはありません。
これらの点は、当作では数多く、上記冒頭本文にも見受けられるのを、部分的に改変したり、ボカして繕ってはいますが、どうにも不自然さは避けられません。まあ当作の、この点に関しては、これ以上は、敢えて触れないようにしたいと思います。
その他には、特捜隊の代名詞とでもいうべき現場検証場面が、軽く数秒描かれるだけで、あとは各人の発言やら回想だけでは、「特捜隊らしさ」が見立たないのも残念なところです。
ただ、過去の因縁に遡って、現在の悲劇の遠因とする流れは、使い尽くされたストーリーとはいえ悪くはありません。特に、電気関連技術が、犯罪発生の一端を担うのは、近作#706 魅せられた賭け でもみられたことでもあり、興趣のあるところです。
その仇役を演じたのが神田隆で、リアルタイムで前週の#719 瞼の母が憎い と比べての落差ある配役にも驚かされます。この落差がインパクトの強さに繋がり、視聴者の目を当作に引き付ける一因になっていることは否定できません。この神田隆という俳優さん、自分が幼い時、テレビドラマの火曜日の女か?土曜日の女か? 死体消失とアリバイを掛け合わせた作品で、もう題名や共演者も覚えていないのですが、農夫役を演じたのはハッキリ覚えています。テレビドラマデータベースに見当らないので記憶違いかとも思うものの、善役か、悪役か、どっちともつかない役柄で、前週作と当作続けて観たら、ふと昔のことを思い出した次第です。
こうして良いところもある当作なのですが、全体を見渡すと、やはり構成力が脆弱なイメージが勝ります。以前触れましたが、高視聴率刑事ドラマ・刑事コロンボの影響がやはり強いのだと思います。ただ、同じ刑事が出るからといっても、アメリカと日本の警察は違うのであり、特捜隊には長年蓄積されてきたノウハウがあるだけに、安易に融合させるのではなく、徐々に進めていくやり方もあったのだと思います。
特捜隊自体も、立石班・藤島班スタイルから一気に三船班スタイルにしたわけではないのは、【第3回再放送】からもわかるところですので、「急いては事をし損ずる」ことのないようにしてほしいと感じました。