※ 特別機動捜査隊 まえがき

捜査担当班の詳細については、wiki特捜隊-キャストを参照、また、(本放送)とはNETでの放送、(再放送)とは東映chでの放送を指します。出演者については配役名を略していますが、本文で書くこともあります。なお、出演者をもっと知りたいときは、リスト特捜隊で検索。

また、(出演者)は、エンディングで、一列~三列で表示された男優・女優に限定しました。

1963年公開の、映画版・特別機動捜査隊全2作とは趣が異なることに注意。

 

☆・・・#713  涙の渡り鳥

 

 

 

(本放送)・・・1975年7月9日

(再放送)・・・2019年10月17日

(脚本)・・・佐々木武観

(監督)・・・高桑信

協力)・・・無し

(協賛)・・・石和町、石和観光協会、旅館・糸柳

(捜査担当・オープニング表記)・・・三船班

田中係長(山田禅二)、鑑識員(田川勝雄)、鑑識員(西郷昭二)、

関根部長刑事(伊沢一郎)、石原刑事(吉田豊明)、水木刑事(水木襄)、

松木部長刑事(早川雄三)、畑野刑事(宗方勝巳)、三船主任(青木義朗)

 

(出演者)・・・

手塚茂夫、市川好朗、石津康彦、浅香和子、建部道子、伴藤武、佳川ヨコ、

花岡菊子、北町嘉朗、明石潮、浅香光代

 

 

(あらすじ・予告篇から)

・・・ ※当時のナレーションをそのまま聞き写しています。

 

女との幸せを夢見て、仲間を裏切った若者は、

警察に追われ、仲間に命を狙われながら、

山梨県の石和(イサワ)に逃れた。

しかし、そこに待っているはずの恋人は、

温泉芸者に身を売っていた!

明日の希望も無い思いつめた男女に、

救いの手を伸べる年増芸者がいた。

ふたりの姿を見るにつれ、彼女の胸に昔の傷が蘇る。

だが、その若者が、

生き別れになった我が子とは、知る由も無い・・・。

そして、親子が巡り会う最後のチャンスは、

拳銃の弾(タマ)で砕け散った!

次回、特捜隊、「涙の渡り鳥」、御期待ください。

 

 

(備考)・・・

・舞台となる旅館・糸柳は「いちやなぎ」と読み、石和温泉では「創業120年名湯自慢の老舗旅館」である。現在では、「石和名湯館・糸柳」と「糸柳別館・離れの邸・和穣苑」と、拡張して展開しているようである。

・その糸柳の女中を演じた本多洋子は、脇役も含め3作連続出演。

・女事務員を演じた沢まき子は、「柔道一直線」で、主人公・一条直也(桜木健一)が高校進学した際、直也に興味を持つ「不思議ちゃん」的な女子高生を演じていた。

・実見したところ、鑑識員(西郷昭二)の出演場面は見当たらない。

・劇中の相模湖駅(当時は国鉄)は、中央本線で舞台となる石和へと路線が有り、放送当時(1975年)石和駅と呼ばれていたが、1993年4月に石和温泉駅に改称された。

 

 

(視聴録)

・・・開始約14分半ばまで

 

前科者の岡崎辰夫(市川好朗)、近藤亮治(石津康彦)、秋山かんた(伴藤武)は一獲千金の犯罪を狙い、秋山の友人で富士土建勤務の塚本茂(手塚茂夫)を仲間に引き入れようとしていた。秋山の元勤務先・東西建設の給料清算日にあわせ侵入・現金強奪するため、茂の運転する砂利トラックが必要だったためで、茂は500万報酬を条件に引き受ける。

 

そして、東西建設の警備員2人のチェックをくぐり抜け、岡崎・近藤・秋山は事務所を襲う。経理担当者・吉村しんじろう(堀川雄一)を殴打、女事務員(沢まき子)を縛り上げ、現金2000万を強奪、茂の待つ砂利トラックに乗り逃走を図るが、女事務員が非常ベルを鳴らしたため警備員2人は門で待ち構える。そこで、警備員2人と格闘する間に、茂に現金を預け砂利トラックで脱出させ、相模湖で再会することに。。。

 

所轄署刑事・石川(晴海勇三)の要請で現地到着した三船班は、検証を始める。警備員2人と吉村は八王子第二病院に搬送されたが、吉村は背後からの一突きで絶命していた。しかし、女従業員の証言で、犯人のひとりを秋山と特定、あと意識回復の警備員から砂利トラックのナンバーが判明、さらにもうひとりの警備員が亡くなる前の証言で、逃走した運転手と3人が相模湖で翌朝落ち合うことを聞いていたことから、三船主任は相模湖を勝負処と踏む。

 

しかし翌朝、相模湖に現われない茂を、持ち逃げしたものと考えた岡崎・近藤は、友人である秋山をリンチにかける。しかし、近づく特捜隊車両を目撃した岡崎・近藤は逃走、残された秋山は三船班に確保される。

一方、ナンバーから富士土建を訪れた関根・松木は、運転手が茂であること、茂の実家が山梨県塩山であることを突き止め、茂の下宿先の捜索で恋人の宮田すみ子(佳川ヨコ)が、石和温泉の置屋・仲よしで芸者をしていることを探り当てる。さらに、相模湖駅周辺での砂利トラックの発見、秋山から岡崎・近藤・茂の存在を自白させたことで、茂はすみ子に会いに石和温泉に向かったと断定、舞台は石和温泉へと移る。

 

石和温泉へは、亡き親の借金返済のため芸者となったすみ子を、助けようと茂が訪れていたが、岡崎・近藤も引き寄せられたように石和駅へと降り立つ。そのすみ子は、置屋・仲よしへ行くと、女将(花岡菊子)から今夜は旅館・糸柳に依頼があると言われる。控室では、一緒に行く仲間芸者2人(建部道子、松本松江?)、先輩芸者・安代(浅香光代)がすでに待機していたが、そこでは安代が20年以上前に生き別れになった幼子のことが話題になっていた・・・。

 

 

ストーリーはその後、安代と大立ち回りを演ずる芸者・時江(浅香和子)、山梨県警刑事・沖口(北町嘉朗)、旅館・糸柳の長老(明石潮)、茂の伯父・周一(笹川恵三)、食堂・竹やの店員(ちほひろみ)、旅館・糸柳の女中(本多洋子)が登場。茂の出生についての秘密が周一から、三船班・仲よしの女将・安代の前で語られることで大きく展開。そして、三船班が山狩りをしたところをクライマックスとして、大団円を迎えることを狙いとしています。

 

 

前に#709 華麗なる殺人計画 では、脚本・佐々木武観について、

>前半から鞭を入れっぱなしで、後半どころか中盤で足が止まった感が強い

監督・高桑信について

>当作に至っては構成力不足を指摘されても仕方は無いでしょう。

とか、手厳しく評価しました。

それでは、当作はどうだったかというと、個の部分とはいえ

(1) 東西建設の経理担当員・吉村の死因が、なぜ劇中で描写されていないのか?

(2) なぜ、岡崎・近藤が茂の潜伏先がわかったのか?

(3) 旅館・糸柳に、なぜ避難ハシゴかかけられていたのか?

という点があるため、視聴者をフェイクに陥れるようなつくり、予定調和というかご都合主義に見えてしまう弊害があります。

 

ですので、上記の山狩りのクライマックスが成功しているかと言われると・・・、これは実見していただいたほうが良いと思われます。

特に、(1)では、初めから見ていると「ある人物」が真犯人と思わずにはいられず、後半になっても「ある人物」がクローズアップされないので、自分自身は「あれ?」と思いながらクライマックスを迎えてしまいました。あと、今回は敢えて予告篇をボカさず、そのまま記載しましたが、その理由は上記までを観賞していただければわかると思います。

 

ただ、酷評気味になった反面、こういうこぢんまりとしたテーマゆえ、脚本・佐々木武観、監督・高桑信の組み合わせが逆に良かったような気もするのです。というのが、自分自身がこういう「母子もの」、古くは大映映画の三益愛子主演の「母もの」が好きというのがあります。かなり前ですが、池袋の映画館のオールナイトで、三益愛子主演の「母もの」を上映しており、客席はまばらながらも見入って朝を迎えたことがありました。今振り返ると、お涙頂戴のワンパターンものには違いないのですが、それでも集中して観れたのは引きつける何かがあったのでしょう。観たなかでは「母千鳥」が良かったように記憶しています。

 

当作は、それを思い出させるような小品で、前述までの短所が見受けられながらも、意外にラスト(出来はともかく)まで観られたのは「母もの」を観た経験もあるのですが、脚本・佐々木武観も、こういう路線なら見どころは有ると思いました。監督・高桑信については、映画「麻薬Gメン」(主演・千葉真一)の実績から、「アクションもの」が得意と思っていたのですが、最後まで見れたのは「母もの」もイケるほうかもしれません。

 

母の演じ方としては「三益愛子>浅香光代」の感が強い。。。かな? 浅香光代は、男勝りの剣戟系統のほうが、より強い個性が発揮できると感じます。